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田舎の町興しにダンジョン民宿を提案された件  作者: マルルン
2年目の秋~冬の件

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999/1009

姉達に続いて香多奈も第1層を突破する件



 魔女のいる部屋は広い居間兼台所のような場所で、(かまど)には炎が燃え盛っていた。その上に置かれている巨大鍋を、巨大なオタマでぐるぐる回す影が1つ。

 それが魔女なのは、誰が見ても一目瞭然で議論の余地も無さそう。おおっと感動する香多奈は、感性が少し独特なのかも知れない。


 ここだけは、お菓子の家とは別エリアで古風な小屋みたいな建物内だった。それは良かったが、アレがボス的な存在なのは間違いなさそう。

 何しろ部屋の奥には、しっかりと次の層へのゲートが窺える。それを目にしたペット勢は、俄然(がぜん)ヤル気になって目の前の邪魔者の排除へと動き始める。


 ところが老齢の魔女は、料理に夢中なのかこちらに気付かず。いや、そんな訳はないので敢えて無視を決め込んでいると思われる。

 それが何を意味するか、深く考えずに茶々丸(遼)と萌のチビッ子コンビは魔女へと殺到して行った。それをフォローすべく、ルルンバちゃん達も動き始める。


「えっ、うわあっ……アレの中身、ひょっとしてモンスターだったの!?」


 その途端、煮えたぎった鍋の中からドロッとした液体が飛び出して来た。スライム状のそいつは、チビッ子コンビを包み込もうと熱々の抱擁を仕掛ける。

 驚きの香多奈のコメントも何のその、運動神経に優れた両者はその攻撃を飛んで(かわ)す。ただし、追い掛けていたヒバリはその飛沫を浴びて割と悲惨な目に。


 騒ぐ仔グリフォンを回収しようと、2号ちゃんは防御盾を構えるが相手は軟体生物である。上手く(かば)えず、仕方なくヒバリを抱えて後退する2号ちゃん。

 その代わり、ルルンバちゃんはわざと的となって、魔銃を撃ちながらその熱湯スライムと対峙する。その背後からは、魔女の炎魔法が飛んで来るがAIロボは全く意に(かい)さず。


 氷の魔玉があれば、相手に大ダメージを与えられたのに魔銃にはセットされていない。末妹にセットして貰うには時間が掛かり過ぎるし、仕方なく前進するルルンバちゃんである。

 それを脅威と感じたのか、完全に相手のタゲを取ったAIロボは今やスライムまみれで悲惨な見た目に。その隙を突いて、離脱した茶々萌が反撃を仕掛ける。


 それに今回はムームーちゃんも参加して、スライム相手に怒りの《氷砕》魔法を喰らわせる。その弱点属性の攻撃に、一気に活動停止する熱湯スライム。

 魔法使いがベースの老婆の魔女も、近接攻撃に対してはとことん弱かった。茶々萌コンビの槍アタックで、反撃する間もなくお亡くなりに。


 後に残ったのは、魔石(小)が2つとスキル書が1枚で勝ったペット達は大喜び。もっとも、ヒバリを治療中の香多奈は仔グリフォンを叱り飛ばすのに忙しそう。

 それでも、解熱ポーションと回復ポーションの併用で、何とか火傷は治ってくれた。ホッと安堵のため息の末妹は、姉達の不在にちょっと気弱になりそうに。


 別々の探索も面白そうと思っていたが、やはり家族は揃っていた方が良いに決まっている。そう思い直した香多奈は、さっさとここをクリアするよとペット達に(げき)を飛ばす。

 ドロップ品を拾っていたルルンバちゃんは、毎度の頑張るのポーズ。その向こうの茶々丸と萌は、ちゃっかりと宝箱を発見したよと報告して来た。


 その知らせに胸中の不安も忘れて、香多奈は胸にヒバリを抱えて飛んで行く。そして中身の確認、中からは鑑定の書や木の実や薬品類、それから魔玉(炎)や魔結晶(小)が7個ほど。

 他にも鍋やオタマ、調味料やその他の調理器具が大量に入っていた。価値の高そうな物は入って無さそうだが、大事な回収品なので残らず鞄に詰めていく。


 それから香多奈は、姉達と叔父さんへと順番に連絡を入れてみた。姉達はどうやら、1番乗りで2階層へと進んで今は次のエリアを探索中みたい。

 叔父とミケさんと妖精ちゃんのチームは、残念ながら通信に出て貰えず。手(ふさ)がりな状況なのかも、何しろ向こうで通信機を扱えるのは護人だけ。

 ちょっと心配、変な状況に(おちい)っていないと良いのだけれど――





 その頃、護人は妙ちきりんなアスレコースで、変な状況に(おちい)っていた。コースは何とか半分は踏破したが、時間も同じく半減して余裕などない。

 それもこれも、アスレ要素に何故かモンスター討伐が組み込まれた凶悪なエリア仕様のせい。ハッキリ言って、スキルが無ければ完全に詰んでいた。


 それから、何気にミケの支援も有り難い。どうやら、透明性がゼロの泥水の中にも敵が潜んでいたようで、何度かミケの『雷槌』が水面を焦がしていた。

 ついでに、シャドウ族なんて奇襲大好きモンスターも、コースの障害物に隠れている始末。これはさすがにやり過ぎだが、幸いに全て返り討ちに出来ていた。


 とは言え、ドロップした魔石を拾う余裕もないままコース攻略は続く。既に挑戦から10分以上が経過しており、息は上がり気味で辛い状況が続いている。

 それでもクリアを目指して、護人のアスレ挑戦は続く。今は回転する障害物(シャドウ付き)を何とか避け切り、細い丸太のルートを渡り切った所。


 ともすれば、障害物を破壊しようとする薔薇のマントを取り成しつつ。何とか多様なアスレコースを、次々と踏破して行く護人は息も絶え絶え。

 運動神経は悪い方ではないけど、年を取るとこんな継続した運動は普通に辛い。それでも、ワイヤーを伝っての高台からのスライダージャンプも見事に成功。


 アスレコースはかなり辛いが、途中からクリアする喜びを得始めた護人は次の仕掛けを見定める。今度は重しとなる足場をある場所まで、押して移動させる必要があるらしい。

 探索者の運動能力なら、足場が無くても次のルートへ進む事は可能である。それでもズル認定されると厄介なので、1メートル半四方の足場を押し進めて行く。


 背後からは、頑張レとの適当な妖精ちゃんの声援が。どうやら撮影が楽しいらしく、(きょう)が乗って被写体に語り掛けるのが癖になっている模様だ。

 それは別に良いのだが、もっと派手に動けとか演出者気取りなのは如何(いかが)なモノか。末妹とは良いコンビだが、護人はそんな関係への参入は御免(こうむ)りたい。


「おっと、またモンスターが待ち構えているな……今度は大蜘蛛にガーゴイルの混成軍か。これなら、遠慮なく薔薇のマントにも参加して貰えるな。

 時間も残り5分しか無いし、さっさと倒してゴールまで進もう」


 その言葉に、待ってましたと“四腕”を発動させる薔薇のマント。もちろん《奥の手》を発動させたのは護人だが、何だか乗っ取られた気分がしなくもない。

 敵の群れは硬いのと立体機動が厄介そうだが、薔薇のマントはノリノリでそんな混成軍をやっつけて行く。当然それを助ける《奥の手》も、硬いガーゴイルを殴り倒してキル数を伸ばす。


 その奥には、恐らくゴール地点らしき反り立つ壁の湾曲した道順が見えていた。レベルアップの恩恵を得ている護人からすると、楽勝だが油断は禁物だ。

 何しろこのコースには、モンスターの配置が普通になされているのだ。両手で崖を上っている最中に襲われたら、普通の人間は万事休すとなってしまう。


 まぁ、“四腕”の二つ名を持つ護人からすれば、全く平気だとは思うけど。モンスターの種類にもよるし、油断せずにゴールしたいと思う所存。

 などと考えていると、出て来た敵は全て倒し終えていた。今度はしっかり魔石を拾って、護人は電光板に表示されている残り時間を確認する。


 まだ時間は3分以上あるし、ゴールを終えたらさっきから掛かって来てる末妹の通信に答えられそう。心配している筈なので、さっさと返信してあげないと。

 そして壁の前で華麗に跳躍、そしてゴールのスイッチを確認する。その奥には次の層へのゲートと、それから宝箱が設置されているのが窺えた。


 幸いにもゲートを守る階層主はおらず、本当に良かったと安堵の表情の護人。さすがに20分のアスレコースに、へとへとでこの先の展開が思いやられる。

 そう考えながらゴールのボタンを押し込むと、その途端に派手なファンファーレが鳴り響いた。それから宝箱の色が、ちょっと派手になったのはボーナス追加の合図か何かかも。


 まぁ、嬉しくないと言えば嘘になるが、残り時間に合わせてボーナスが追加されるならもう少し頑張ったのに。いや、それは嘘と言うか燃料が持ちそうにない。

 年齢に不相応の頑張りは、身を亡ぼすなと悟りの表情の護人であった――





「あっ、裁縫セットとか布が入ってるね……これは家の備品にキープかな、お隣さんに融通してもいいからねぇ。裁縫バサミや編み針も、これは嬉しいかもっ。

 毛糸もあれば……ああっ、入ってたよ、姫香ちゃんっ!」

「それは良かったね、紗良姉さん……私も練習で、ミケかヒバリに何か編んでみようかな? いきなり大物に挑戦して、失敗しても嫌だもんね。

 ああっ、毛糸も良い色合いだねっ」


 そんな感じで喜ぶ姉妹は、今は最初の層の宝箱の中身のチェック中。垂れ下がった布に隠されていたその中身は、平凡な鑑定の書や魔玉(風)などがメインだった。

 それから薬品系が何種類かに混じって、裁縫道具が幾つか入っていた。それらを喜ぶ姉妹だが、全体的に価値の高い物は入っていなさそう。


 追加の布系に関しては、ひょっとして魔法の品が混じっているかも。紗良も《鑑定》スキルは持っているが、詳細はこのダンジョンを出てからになりそう。

 さっさとここをクリアして、みんなと合流するよと姫香の意気は高い。それに乗っかって、ハスキー達も頑張るよとさっさと次の層へと向かう構え。


 怪我チェックは既に終えたので、進むのに何の(かせ)もないけど護人と繋がらない通信が少々気掛かりかも。末妹とは、さっき散々に喧嘩(まが)いの遣り取りを交わし合った。

 向こうもやはり、叔父や姉と離れての探索に不安感は大きい模様。それが雰囲気で分かってしまう姉2人は、とにかく頑張ってと励ますしかない。


 何ならリタイアしてもいいよと、姫香の言葉が口喧嘩の引き金となるのはいつもの事。優しさって難しい、気遣いの言葉が売り言葉に買い言葉になるなんて。

 かくして香多奈は、カラ元気と共に2層目へと挑んで行ってしまった。こちらも負けずに、次の層を華麗に突破しないと姉としての示しがつかない。


 そんな勢いのまま、一行は第2層目を目にして驚きのリアクション。ここも1層と似たエリアと思っていたのに、何とお城風の重厚なエリアのようである。

 石造りの床や天井は、かなりな巨大建造物の気配。


「うわっ、今度は全く別のエリアに出ちゃったよっ……これだから、3層構造のダンジョンは(あなど)れないよねっ。お城みたいな感じだけど、ずっと室内エリアかな?

 ハスキー達っ、どっちに進むか分かる?」

「う~ん、恐らく統一的なテーマはあると思うけど良く分かんないね。年齢に関係してるのかな、それとも全く違う角度の視点があるのかな?

 香多奈ちゃんは、お菓子の家が出て来たって言ってたけど」


 お子様はお菓子好きだからねと、姫香は楽観的と言うか思考を放棄している感じ。それよりさっさと敵を倒して、ゲートと宝箱を確保する方が建設的。

 3層構造のこのダンジョン、宝箱の多さだけは評価出来る。





 ――この層にもきっとある筈で、それをモチベに進む姫香なのであった。







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