表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
田舎の町興しにダンジョン民宿を提案された件  作者: マルルン
2年目の秋~冬の件

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

997/1010

それぞれのエリアで第1層目の攻略に励む件



 現在の護人は、肩に軟体幼児ではなくミケを乗せての熟考中。恐らくダンジョンは、薔薇のマントの『飛行』のズルを見逃さないだろう。

 それが判明した際のペナルティだが、例えば敵が出て来るとか罠の発動とか色々考えられる。もしくは、それ以上の理不尽な罰があった場合がちょっと怖い。


 それなら素直に、このアスレ仕様のエリアを体力の限りに挑戦すべきか。幸いにも、パッと見た限りはそこまでキツいコースでは無さそうだ。

 例えば、ジャンプして渡る浮き島とか、雲梯(うんてい)で渡る5メートル程度のエリアとか。縦や横回転している巨大お邪魔障害歯車エリアもあるし、本当にサスケみたい。


 問題は、スタート地点に設置されている台の上のスタートボタンである。その隣には電光パネルのタイマーがあって、何分でクリアすべきか表示される仕様らしい。

 つまりは、このアスレエリアは時間制限付き?


「う~む、俺もそんな詳しくは無いんだが……このアスレコースだが、まずは水に落ちたらアウトなのかな? それとも、少しくらい濡れてもゴールすればセーフ?

 あと、このタイマーの仕掛けはやっぱり時間制限があるって事だよな」

『当然ダロ……私が時間ヲ見ててやるカラ、精一杯ゴールを目指セ? 失敗したラ、多分だが一定時間の再挑戦ヲ禁止されるっテ感じカナ?

 命までハ取られないカラ、安心しロ?』


 そんなチビ妖精の有り難い助言を貰い、護人は紳士的にどうもとお礼の言葉を返す。ここで喧嘩しても始まらないし、恐らく妖精ちゃんの飛行はノーカンだろう。

 その再挑戦の禁止時間だが、1時間とか1日ならともかく、1か月とかだと目も当てられない。子供たちに対して面目が立たないし、そんな事態は避けたい所。


 そんな訳で、護人はチームに対して短く作戦会議を行なう事に。護人自身は、重い鎧を脱いでアスレのクリアに集中する。万一、敵が邪魔して来たらそれはミケに対処して貰う。

 それから時間の管理や周囲の危険については、妖精ちゃんにも手伝って貰う。こんな感じで、チームで協力しての1発クリアを目指す感じ。


 了解したとの小さな淑女の返答だが、いまいち信頼し切れないのは気のせいだと思いたい。そしてミケには、飛んだり跳ねたりするから落ちないように言い含め、薔薇のマントには『飛行』能力は本当に危ない時以外は禁止と言い渡す。

 ただまぁ、例えば《奥の手》スキルなど、アスレに使用したらチートに近い気も。その辺をどこまで、向こうが許容してくれるかも悩むところではある。


 それにしても、時間制限は果たしてどの程度なのか……ここはダンジョン内なので、ひょっとして物理的なモンスターの妨害も充分に考えられる。

 そんな正気の沙汰(さた)でないアスレコースなど、どこを探しても無いだろう。理不尽な仕様に文句も言えず、護人は一呼吸してチームに始めるよと告げる。

 そうして、スタートボタンを押しての挑戦の開始――





 森を抜けて見えて来たのは、割と立派でシュールな建物だった。何かヘンだなと思ったら、その外装はまるでお菓子の家そのもの。

 ダンジョンって何でもアリだなぁって、香多奈はひとしきり感心してその家に近付く。すると、鼻腔をくすぐると言うか思い切り侵入して来る甘ったるい香り。


「わっ、冗談かと思ってたら本当にこの家ってばお菓子で出来てるのっ? ビックリだね、匂いからしたら本当に食べれそうだけど。

 さすがにこの中に、そんな食いしん坊はいないよねっ」


 そんな香多奈の言葉に、茶々丸(遼)も萌も小首を傾げてお菓子に興味は無いよってポーズ。ムームーちゃんやヒバリも同じく、クッキーやチョコで出来た壁を不思議そうに見ている。

 ルルンバちゃんも、こんな家の掃除は大変そうだなって思ってそう。それより騒いでいたら、家の後ろから大アリとアリ獣人の群れがわらわらと寄って来た。


 懐かしいモンスターの登場に、張り切って駆逐に動き出す面々。軟体幼児やヒバリも、前線を乱さずに戦えているのはまず褒められる点だろうか。

 何より、茶々丸(遼)と萌のチビッ子前衛の頼り甲斐と来たら。更にその背後には、魔導ゴーレムのコンビも控えている鉄壁のガードラインである。


 文字通りサクサクと雑魚のように、大アリとアリ獣人の群れは2人の槍に狩られて行く。あっという間に数を減らす敵の群れに、香多奈も応援を惜しまず降り注ぐ。

 そんな末妹の心の中では、甘い匂いに誘われてアリが寄って来たんだなぁって感想しかない。そんなアリの群れも、チビッ子軍団に全て討伐されて行った。


 茶々丸や萌の活躍を褒めながら、落ちた魔石を拾い始める末妹とルルンバちゃんである。それよりも気になるのは、このお菓子の家の中に入れるのかって事。

 物語と言うか、童話で聞いた時は凄いなって感想しか無かった建物である。ただし、それを目の前にすると甘い匂いで脳が(しび)れそうで全く嬉しくない。


「このお菓子の家の中、入るべきかなぁ……茶々丸に萌、匂いとか大丈夫? ただまぁ、周りを見回しても木とかばっかで、他に目印的なモノ無いんだよねぇ。

 魔法のコンパスも、多分だけどこの中に次の層のゲートがあるって示してるよ。ムームーちゃんやヒバリも、やっぱり嗅覚が変になりそう?

 そんじゃまぁ、ルルンバちゃんと2号ちゃんに頑張って貰おうか」


 どうやらペット勢の大半は、この周囲に立ち込める甘ったるい匂いに戦い所では無さそうな雰囲気。香多奈も同じで、鼻を(つま)みながらの探索になりそう。

 そうしてビスケットの扉を開いて、お菓子の家の中へと入り込む一行。中も凄い仕様で、チョコの椅子やマシュマロのソファなど見ただけで口の中が甘くなりそう。


 飴のシャンデリアも豪華で、ビスケットの本棚に入ってるのはスナックの本の束だろうか。見ているだけで胸ヤケして来たが、これも仕掛けの一部なのかは不明。

 香多奈のおぼろげな記憶では、確かお菓子の家はグリム童話か何かだった筈。意地悪な継母(ままはは)に森に捨てられた兄妹が、お菓子の家を見付けるのだ。


 そして空腹でそれを食べてたら、実は悪い魔女に家に招かれて捕まってしまうのだったか。人質に取られた妹が太るまで、兄は働かされて最終的には逃げ延びてハッピーエンドだった気がするがどうだろう?

 詳しい話はよく覚えてないけど、このエリアは予想以上に広い仕様となっていた。ここはリビングかなとか考えていたら、奥から太ったオーク兵が出現。


「うわっ、また敵が出て来たよっ……みんな、頑張ってやっつけて!」


 リーダーの香多奈の号令に、張り切って敵と戦い始めるチビッ子前衛陣である。とは言え、甘い臭いのデバフ効果で、その動きはやや精彩に欠ける感じ。

 魔導ゴーレムのコンビは、後衛からのお手伝いに従事してオークの魔法使いを真っ先に始末してくれた。新生2号ちゃんは、予備の魔銃を持っていて遠隔支援もバッチリだ。


 もっとも、その弾の詰め替えは香多奈の役割だったりする。そう言う意味では、みんなと言葉が通じる末妹はチームで重宝される存在には違いない。

 そんな感じで、半ダースくらいの敵の群れを片付け終わったチビッ子チーム。そして感じるのは、このエリアの敵の出現パターンである。


 元々の“鬼のダンジョン”は、1エリアに50体近くの敵が出る蝶難関ダンジョンだった。ただ、さすがに人数制限付きのこのエリアでは、出て来る敵の数も少なくなっている気が。

 これなら楽勝だねと、話し掛ける茶々丸(遼)や萌は変わらず鼻を(つま)んで、臭いに関しては人より敏感っぽい。仕方ないなと、香多奈は魔法の鞄を漁ってみる。


 結果、出て来たのは魔法のマスクが1個と、それから企業の移動販売車から購入したマスクが1個。それから厚手のタオルが何枚かあって、これでヒバリは我慢して貰う事に。

 そんな訳で茶々丸(遼)と萌のコンビは、何とか臭い地獄を(まぬが)れそう。明らかに安堵した表情の茶々丸(遼)は、これで安心して戦えるとご機嫌な表情。


 良かったねと口にする香多奈は、タオルを顔に巻いての応急措置を行なう。取り敢えず萌を含め、前衛のチビッ子2人はこれでデバフ効果から逃れられそう。

 ムームーちゃんは、どうやらこの甘い匂いが気にならない模様。それは良かったが、ヒバリはタオル処理が不服なようでコレ邪魔と暴れ回っている。


「我が(まま)やってるんじゃないわよ、ヒバリ……取り敢えずは、このエリアをさっさと抜けちゃうのが一番の解決方法かなぁ?

 茶々丸に萌、そんな訳でアッチの部屋から調べて回ろうっ」


 そんな香多奈の言葉に、マスクを装着した両者は素早く動き出す。探索での家探(やさが)しはすっかり慣れた面々は、あちこち確認しながら屋内を進んで行く。

 そしてお隣の台所エリアで、衝撃の大ゴキと大ネズミ集団と遭遇する事に。その数は軽く20匹以上で、さっきの香多奈の分析が完全に(くつが)される破目に。


 慌てる末妹を尻目に、雑魚敵の処理に励み始めるチビッ子コンビ。萌はマスクを外して炎のブレスまで吐いちゃって、複数の敵の処理もお手のモノ。

 そこに軟体幼児も魔法で参戦、茶々丸(遼)の肩の上から範囲魔法の《闇腐敗》をブッ放す。それを喰らって、殺虫剤を受けた様にバタバタ倒れて行く大ゴキ達。


 大ネズミも、それを見たヒバリが丁度良い敵だと判断、果敢にアタックを繰り広げている。その他の奴らは、ルルンバちゃんや2号ちゃんがそっと始末して行く。

 飽くまで妹分の分け前は残しておく、その優しさは本当に一級品の来栖家チーム。そうして、香多奈が落ち着きを取り戻した頃には敵の掃討はほぼ終わっていた。


 それを確認して、落ちてる魔石を拾って行くチビッ子たちは、香多奈の習慣も行き届いて素晴らしい限り。ちなみに、ここまでの回収品はほぼ魔石(微小)のみ。

 とは言え、周囲を見渡せば台所に散在するクッキー缶やスナックの詰め合わせ。飴やグミの入った袋もあるし、板チョコの束も戸棚にたくさん置かれていた。

 ――これらの回収、ゴキがいたとは言えするべき?




 その頃の紗良と姫香とハスキー達の組だが、割と波乱に包まれていた。何しろコロ助に続いて、姫香も顔にバッテンを貰っていたのだ。

 白い布の区切りだが、4メートル上はスカスカで空いてて覗き放題である。そこで、どちらに進むか確認の意味で、『圧縮』スキルの足場で顔を覗かせてみた所。


 これもペナルティを貰う行為だった様で、派手に顔にバッテンを貰った姫香であった。いやしかし、このダンジョンは不正に容赦がないみたい。

 それをブー垂れる少女だが、ハスキー達は素直に進もうよと率先して布の迷宮を歩き出してしまった。罰に()りた姉妹は、大人しくその後ろについて行く。


 そして5分後、割と派手な2度目の襲撃がやって来た。敵はシャドウ族とインプの群れで、その数も白く揺れる布のせいで分かり辛いと言う。

 ただし、感覚的には10体以上いそうでかなり厄介かも。





 ――張り切るハスキー達だが、布の迷宮の全貌は未だ見い出せず。







『ブックマークに追加』をしてくれたら、護人が来栖家に招いてくれます♪

『リアクション』をポチッてくれれば、薔薇のマントに気に入られるかも!?

『☆ポイント』で応援しないと、妖精ちゃんの手下にされちゃうぞ!w

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ