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田舎の町興しにダンジョン民宿を提案された件  作者: マルルン
2年目の秋~冬の件

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四面楚歌の状況に香多奈が覚醒をする件



 その時、2号ちゃんの取った行動はとっても素早かった。背中の羽根のような盾を張り巡らせて、紗良と香多奈を守るべく完璧な防御役に徹して前面へ。

 それに遅れて、パペットを操るエルヴィスはかなり慌てていたのだろう。操作をミスって、2号ちゃんに衝突してスッ転んでしまうと言う醜態をさらす破目に。


 パペットも転ぶのかと思われるかもだが、現に転んでしまってるのたから仕方がない。しかもパペットは、()()の“知恵持つ剣”を手放してしまって、それは地面を派手に滑って行った。

 それと共に、背後を襲った敵団の銃撃が始まって、場は途端に修羅と化す有り様。それに気付いた護人だが、現在は絶賛空の敵との戦闘中である。


 ここで持ち場を離れたら、今度は空と背後からの挟撃に()ってしまう恐れが。そんな四面楚歌の現状で、香多奈は自分の前に滑って来たエルヴィスを無事キャッチに成功した。

 ただし操ってたパペット兵は、銃弾の雨に(さら)されて酷い有り様。


「ああっ、迷子ちゃんの操ってたパペットが、銃撃でボロボロになって行ってるよっ。遠隔操作は出来ないの、ルルンバちゃんみたいにさ?

 ……そっか、そこまでは無理かぁ」

「呑気にしてるけど、これは結構なピンチじゃないかな、香多奈ちゃん? 護人さんはワイバーンと戦って戻って来れそうも無いし、姫香ちゃんとハスキー達も向こうの相手で精一杯みたい。

 連戦で申し訳ないけど、ここはまたミケちゃんに頼るべきかなぁ?」


 ミケさんはお年寄りだよと、来栖家の長老の連続勤務に難色を示す末妹は家族想いには違いない。ただし、当のミケは家族のピンチにヤル気は満々だったり。

 ところが、それを制して『俺を使え』的なメッセージが末妹の脳内に響き渡った。ハッと驚いて周囲を窺う香多奈だが、発したのは手の中の剣と言うオチ。


 赤く刀身を光らせる“知性を持つ剣”は、実は剣士が手にする事で一層その力を発揮する。香多奈は剣士では無いが、取り敢えず木人形よりMPも理力も潤沢(じゅんたく)だ。

 そんなヤル気のあるエルヴィスに触発され、香多奈もその燃えるような剣を思わず掲げてやるぞのポーズ。はあああっとか怒声を上げちゃって、まるで漫画の主人公の覚醒シーンの演出など。


 その額には、もちろん謎の紋章が浮かび上がる訳でもない……単なる雰囲気に酔ってるのは、エルヴィスも全く同じである。

 このピンチを俺達で乗り切るぜと、勢いだけはエース級なのはアッパレ? そんな末妹の奇行を、隣の長女はビックリ顔で眺めている。


 何が起きたのと、肩の上のニャンコと経緯を眺めて止めるべきかと戸惑っていると。赤いオーラを放つ剣を持つ香多奈は、それを敵目掛けて振り下ろした。

 そしてすぐに2号ちゃんの影に引っ込むのは、運動神経のなせる(わざ)か。そして放たれた衝撃波は、さっきまでの飛ぶ斬撃とはレベルの違う強烈さだった。


 それは波打ちながら真っ直ぐ進み、敵軍をまるで並んだピンのように撥ね飛ばして行く。それと同時に止む射撃音と、握った剣から流れて来るやってやったぜ感。

 迷子ちゃんも、自分の本来の性能を発揮出来ずずっとモヤモヤしていたのだろう。その結果はまだ確認出来ないが、相当に強烈なツッコミを相手に与えられた。


 その感触に高揚する末妹だが、さすがに疲労で第2弾は撃てそうもない。何しろ、さっきの一撃で相当なMPと理力を吸われてしまったのだ。

 下手したら、召喚した精霊がヤンチャするよりキツいかも……それでも、一旦(いったん)は安全を確保出来たようで、素直に迷子ちゃんに感謝する香多奈である。

 いや、2人で成し遂げた達成感は、ひょっとして精霊召喚以上かも?



 その頃、姫香やハスキー達が支える最前線は酷い有り様。敵の多さに手古摺(てこず)っていたら、何と奥の建物の奥から竜種が顔を覗かせたのだ。

 向こうはバッチリ、ここの騒ぎを聞き及んでこちらをロックオン状態。もう数分後には、勇んで戦線に飛び入り参加して来るだろう。


 今回の敵の攻勢は、重歩兵ゴーレムが多めで討伐に時間が掛かっていた。普段はコロ助が倒す役目だが、今回は《防御の陣》での盾役を(にな)って手が足りない。

 代わりに姫香が『天使の執行杖』をハンマーモードにして、敵の盾役(ゴーレム)の討伐に忙しい。相手の軍隊は統制が取れていて、重歩兵を盾に銃撃が止む事は無い。


 なので、邪魔なゴーレムを先に倒す必要があって、それが手間取っている原因。ハスキーや茶々萌コンビの得意な機動力を封じられ、ストレスのたまる戦況が続く。

 それでも遠隔スキルを多用して、やり合うハスキー達はさすがと言うべき汎用(はんよう)性。得て来た戦闘経験は伊達ではない、そしてようやく敵の数を半減させた。

 そこに乱入する緑の鱗の竜種は、軽く体長20メートルはある大物だった。


「うわっ、これはキツいなあっ……ルルンバちゃん、あんまり必殺技は多用しないでね。長期戦になった時の、万一のガス欠が怖いから。

 ハスキー達も、無理に一気に決めようとしなくていいからねっ」


 そう口にする姫香だが、頭上や背後の戦況も気になって割と大変。さっき護人が薔薇のマントで、頭上からの襲撃を迎え撃ちに飛び上がったのは確認済み。

 ただし、背後からの襲撃に至っては完全に計算外であった。ミケや2号ちゃんがいるから、いきなり攻め潰される事は無いと思いたいが心配には違いない。


 特にお調子者の香多奈や妖精ちゃんが、何かやらかさないか気掛かりなのはさすが家族の把握力。よく性格を理解しており、実際にそんな暴走があったのを姫香は知る(よし)もない。

 それはともかく、強そうな竜種の出現は空中にも追加で1匹及んでビックリ。こちらも20メートル級で、ワイバーンの倍近くの体積で迫力満点である。


 せっかく護人とムームーちゃんが、敵の数を減らしたのに元の木阿弥(もくあみ)である。いや、他人の心配をしている余裕は現状こちらにも無いのだが。

 それでも銃持ち獣人の数は残り2匹となって、ついでに盾持ちのパペット兵が3体のみ。そいつらも1体が竜に踏まれ、何故か右往左往し始める始末。


 それにしても、オーバーフローで(あふ)れ出た竜種が、5層で2体も出て来るとは。てっきり大ボスの間のボスかと思ってたら、何ともせっかちな連中である。

 とにかく立ち(ふさ)がるなら切り伏せるべしと、姫香はペット勢に号令を掛ける。コロ助と茶々萌コンビには、竜の出現に慌てている残りの銃持ちオーク兵の瞬殺を命じる。


 残りの面々には、この大物を押し留めての討伐の実行を言い渡す。それを受けて、待ってましたとコロ助は《韋駄天》を発動しての急襲を仕掛けた。

 そんな事に構わない竜種は、咆哮(ほうこう)を上げてまずはブレスの構え。それに単身立ち塞がるレイジーは、《オーラ増強》で普段の倍の巨体へと変貌を遂げた。


 そして竜の(あぎと)から噴き出た炎のブレスを、毎度の『魔喰』で美味しく頂く。さすが来栖家チームのエース、竜種を倒すテンプレまで備えているとは。

 このままだと、手柄を全て取られてしまうと思った姫香とルルンバちゃん。加勢するよと言葉を発して、呆気に取られているお茶目な竜種に反撃を加え始める。

 その時点で、最前線の戦闘は(おおむ)ね終了の運びに。



 一方の空中での戦いだが、護人と軟体幼児は手分けして空を飛ぶ敵の駆逐を行なっていた。向こうはこちらを完全に標的にしており、そう言う点では万事順調。

 一番怖いのは、こちらを無視して地上の味方に向かわれる事である。敵が単純で良かった、ついでに動向を読みにくかったバルーン型の敵も全て駆逐完了。


「さて、後はワイバーンが2匹に飛行ドローンとコウモリ獣人が4体ずつ……かな? さっさと終わらせて、後衛の警護に戻らないとな。何だか後衛も妙な事になってるが、今の所は落ち着いているみたいだね。

 さっきのあの派手な攻撃は、恐らくエルヴィスの仕業かな。まぁ、助かったし良かったとしておこう。おっと、紗良の追撃の《氷雪》が見舞われたようだね。

 これで背後の奇襲軍は、ほぼ壊滅したかな?」


 空中戦は見回す視野が半端ないので、油断はならないのだが護人には《心眼》スキルがある。だから高速で飛び回っての一撃離脱を繰り返す連中相手だと、こんな確認が出来る時間も存在する訳だ。

 ついでに薔薇のマントもオートで反撃してくれるし、ムームーちゃんだっている。そんな肩の上の軟体幼児も、下は安全になったデシと請け負ってくれた。


 ただし、自分たちのいる空中と前衛陣には追加の敵がやって来たとの報告が。さすが野生では外敵の多いスライム(?)種族、危機察知能力は誰より(ひい)でてる。

 護人が慌てて確認すると、そいつ等は何と竜種でかなり強そう。速度はワイバーン程ではないが、体長は倍近くあってパワーは間違いなく上だろう。


 幸いにも、空を飛んで接近する竜種のタゲは間違いなくこちらみたい。そして残念ながら、地上の竜種は前衛陣を標的と定めた模様。

 それは仕方ない、後衛陣に行かずに良かったとプラスに思うしか。それより新手の敵の出現に、護人も気を引き締め直して敵と対峙する。


 空を飛ぶ竜種は獰猛そうな面構えで、威嚇するように咆哮しながら接近中。その態度に近付いて欲しくないデシと、軟体幼児の《闇腐敗》が先制で見舞われた。

 この毒攻撃を受け、明らかに(ひる)んだ様子の飛行ドラゴン。墜落するんじゃないかってふらつき方で、巨大遊具の合間を縫って低空飛行へとシフトして行く。


 構っていられない護人は、今の内にと残った残兵を撃ち落としに掛かる。それを手伝う薔薇のマントは、最近は収納した近代兵器の使い方も上手くなって来た。

 もちろん飛行能力と同時には使えないが、観覧車の上に舞い降りて素早く砲弾を撃ってまた離陸と、意外と器用なマントである。お陰で、敵のドローン兵器は全て駆逐を完了した。


 ムームーちゃんも《水柱》スキルの水の槍で、コウモリ獣人を全て串刺しにして残るはワイバーンのみ。その飛竜も、竜への仕打ちを見て腰が引けている感じ。

 最終的には、やけ気味に連なっての特攻を仕掛け、見事返り討ちのワイバーンであった。後はチームの無事を空中から確認して、撃ち()らしが無いかの確認のみ。


 丁度もう1匹のドラゴンも、姫香とレイジーとルルンバちゃんの手によって、ボコ殴りで魔石に変わっていくところだった。もう1匹はどこ行ったと、護人は軟体幼児とテーマパークを飛びながら確認する。

 すると、ムームーちゃんからあそこにいたデシとの報告が。護人が目を向けると、そこには不時着して息も絶え絶えの哀れなドラゴンが1匹。

 このスライム幼児、まさか魔法1発でドラゴンを仕留めた?





 ――恐らく異界でも珍しい、スライム下克上って需要はあるのだろうか。








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