ダンジョンの中も外も戦況は割と大変な件
心配されたコロ助と茶々丸の傷の具合だが、治療して貰った2匹は元気をアピール中。その辺を飛び回って、まだ探索を続けられるよと態度で示している。
間引きもようやく3層で、新造ダンジョンだけにコアの破壊までは至りたい。そんな訳で、護人も離脱しようと言えず何とも苦渋の選択を迫られる。
一応、すぐ外にいる岩国チームに問うてみた所、外では何故か派手な戦いが始まっているそう。どうも駆逐し損ねた野良モンスターと、ついでに空母の乗組員の生き残りとの三つ巴戦となっているとの話。
勘違いとは恐ろしい、米兵も船を乗っ取られると必死の抵抗を試みている模様。ちなみに艦長や、トップクラスの指揮官がその中にいるかは不明との事。
「向こうも大変そうだな、遮蔽物越しの撃ち合いはなかなか決着がつかないみたいだし。映画なんかじゃ簡単に制圧してるのに、現実はまるで違うみたいだね。
まぁ、岩国チームにはスキル使いも多くいるから、無理に制圧も可能っぽいけど。人間相手だと、やっぱり勝手が違うんだろうなぁ」
「それはそうかも……まぁ、こっちはウチのチームだけでも平気でしょ。ミケの稼働率の高さがちょっと心配だけど、コロ助と茶々丸の怪我はいつも通りと言えばそうだし平気じゃ無いかなっ。
これに懲りて、後半戦は2匹とも多少は慎重になるでしょ」
「お調子乗りの性格は治らないけど、そこはまぁ仕方無いよねっ。コロ助に茶々丸、もう家族に心配かけるんじゃないわよっ!」
末妹のお叱りを受けて、元気に尻尾をブンブンと振る両者である。迫力のない香多奈の叱咤だが、チームに多少なりとも緊張感は芽生えたかも。
そんな来栖家チームは、現在3層の丘エリアでの休憩中。ドロップ品の回収と怪我人の治療も終わって、護人も地上班との通信を一旦完了した。
ついでに言うと、メリーゴーランドのあった丘の上に宝箱も発見。その中身は、既に姫香とルルンバちゃんが回収済みで問題はナシ。
魔法アイテムも数点あったし、儲けに関してはさすが新造ダンジョンって感じ。魔銃やアクセサリー系も入っていて、それには香多奈も妖精ちゃんもニッコリ。
他にも薬品は中級エリクサーを含め、魔結晶も小と中サイズが出て来て割と豪華。後は鑑定の書に魔玉(風)、それから木の実に虹色の果実と種類も多かった。
定番のアイテムの他には、木馬や飼い葉や馬の鞍など馬に関係した物が幾つか。元気になった仔ヤギが、それ美味しそうと寄って来てつまみ食いを始めている。
それはともかく、休憩後にどう進もうと護人と子供達の話し合い。丘の上からは空母のテーマパークが一望出来るが、怪しい場所がどこかなど良く分からない。
結局は、魔法のコンパスを頼りに、反対側のエリアをチェックして行くしか手はなさそう。そう結論付けて、休憩を終えた一行は残りのエリアの探索を始める。
「このエリアには、もう変な仕掛けはなさそうかな? さっきのメリーゴーランドの仕掛けも、2層のホラー館みたいなイレギュラーな気がするよね。
だったら、後は普通に敵を倒してゲートを見付ける作業だけだね」
「だったら楽で良いけどね……いや、ここは空から奇襲を仕掛けて来る奴と、銃持ちモンスターがいるからかなり面倒ではあるけど。
おっと、噂をすればのワイバーンだ」
「ここの飛竜は、普通のよりサイズが大きい気がするねっ。あっ、海側のエリアからバルーン型モンスターも漂って来てるよっ!
本当に、油断も隙も無いエリアだね……2号ちゃん、やっちゃって」
末妹の指示を受けて、2号ちゃんの魔銃が風船タイプの敵を撃ち落として行く。その隣では、俺も負けねぇとエルヴィスも飛ぶ斬撃での敵の駆逐の手助けなど。
一方のワイバーンは、姫香とルルンバちゃんのペアが《豪風》スキルとレーザー砲のコンボで見事に撃ち落としに成功。ミケだけに頼ってはいられないと、姫香も気合いが入っている。
姫香の中ではミケは来栖家一の高齢で、労わってあげないといけない存在みたい。それは妙薬で若返っても変わりなく、なるべく負担は掛けたくない模様。
気紛れなミケは、そんな子供達の気持ちとは裏腹に気分が乗ったら戦闘参加も厭わない感じ。と言うか、腹が立ったら自制が利かないのは周知の事実。
そんな訳で、子供達が幾ら心配しようが、ミケは今後も自由気ままに行動するだろう。護人は内心でそう悟りながら、戦いのフォローに入る。
空からの敵は、そんな感じで無事に討伐完了の運びに。
それから地上の襲撃を2度ほど退けて、ゲートを探して彷徨い歩く事15分余り。そして発見する、小さな店舗の立ち並ぶテーマパークの販売エリア。
そこはもちろん無人で、屯っていたパペット歩兵を倒すと本当に静か。BGMもかすかに聞こえて来る程度で、ただし売り物は数多く置かれていた。
例えばキーホルダーやキャラクターの縫いぐるみ、つけ耳型のヘアバンドやらキャラプリントのあれこれ。それらを眺める子供達は、お土産にはいいかもと幾つか持ち帰る相談を始める。
ただし飲食店のコーナーでは、値段表を見て高いを連発している。どうやら夢の国価格は、現実路線の姉妹には不評を通り越して詐欺だとまで言われる始末。
末妹も、お金に関しては厳しくて、これはぼったくりだねと舌戦に参加を決め込んでいる。そもそも田舎に慣れ親しんだ子供達は、大金を払ってテーマパークを訪ねるって行為に懐疑的な模様。
こんな時代なので、稼働している遊園地など数える程しかないとは言え。保護者の護人としては、その辺は微妙な表情を浮かべている。
もう少し遊びに連れ歩くのも社会勉強だったなぁと、まぁ今更後悔しても遅きに失するのだが。しかしダンジョンも、まさか売り物も置いてない飲食店を批難されるとは思っていなかったかも?
そして肝心のゲートは、何とトイレ施設の中にハスキー達が発見。
「あっ、こんな所にあったんだ……でも、何でトイレにゲート? まぁ、見付かったんなら後は潜るだけだよね。ハスキー達、ご苦労様だったねっ。
これでこのダンジョンも、ようやく折り返しかなっ?」
「次は4層目だっけ、新造ダンジョンなら5層かそこらでコアの間に辿り着けそうだよね。コアが2つ以上あるかもって推測だけど、そう深くはない筈だよねっ。
後は……オーバーフローで出て来た竜種が、そろそろお目見えかなっ?」
「香多奈……いや、まぁ仕方無いか」
歯切れの悪い護人のツッコミに、口にしたら確実に招く末妹の奇病が家族の脳裏をかすめる。確かに注意しても詮無いよねと、納得する姉達だったり。
オーバーフロー騒動で竜種を見たのは事実だし、そろそろ出て来ても全くおかしくない。それならば、香多奈の口にチャックしても意味はないだろう。
それでも理不尽に末妹の頭を叩く姫香に、何すんのよと噛み付く香多奈であった。そんないつもの姉妹喧嘩を宥めつつ、一行はゲートを潜って次の層へ。
休憩も短く済ませたのは、或いはこのテーマパークに知らずにハイになっていたのかも。ペット達は相変わらずで、チームでの探索に喜びを感じてる表情。
そんな勢いのまま、来栖家チームは4層目のエリアへと足を踏み入れる。そこはやっぱり空母の広過ぎる甲板で、遊園地の遊具があちこちに散見された。
一番目立つのは、やはり外周をぐるりと囲むジェットコースターのレールだろうか。高低差も激しく、ぐるりと円を描いたりとバラエティに富んでいる。
それから観覧車も中央にあって、どこが元のモデルなのか知らないが、まぁ一般的な遊園地の印象を受ける。ただし、そこをうろつくのは着ぐるみキャラでなくて凶悪なモンスター達。
そいつ等に、嬉々として向かって行くハスキー達はまだまだ元気。幸いにも、怪我明けのコロ助と茶々丸の動きもいつも通りでまずは一安心。
そして、出て来たオーク軍団や重歩兵パペットを相手に果敢に戦い始める。中~後衛陣もすかさずフォローに入って、楽し気な空間に拡がる壮絶な戦闘音。
ここもファンシーな音楽が流れているけど、たまに銃撃音が割り込んでこの層も相変わらずだ。銃持ちモンスターの数は、減るどころかアサルトライフル持ちの敵まで出て来る始末。
こうなると、下手に突っ込んで行けない前衛陣。コロ助の《防御の陣》を盾に、遠隔スキルでチマチマ敵の兵団を崩して行く。その隙にと、盾役の重歩兵ゴーレムが前へと出て来て接近戦に移行しそうな気配。
それを迎え撃つ姫香と、ここは出番だとパペットを操りいつの間にか前衛へ出て来たエルヴィス。あれっと驚き顔の香多奈だが、特に心配はしていない模様。
ルルンバちゃんも壁役にと隣に立つ中、迷子ちゃんの太刀筋は信じられない威力。まるでルパン三世の五右衛門の斬鉄剣だなぁと、護人は中衛からフォローしながら思ってみたり。
そんな感じで、やられ役としては立派だった硬いゴーレムは全て退場の憂き目に。それから派手に銃弾を撒き散らす、銃持ちオーク兵も何とか討伐完了。
「ふうっ、今回は戦闘音で寄って来る敵はいなかったね……宙を飛んでる敵は、チラホラ見えるから注意は必要だけど。ってか、進むのに邪魔だから先に倒しちゃおうか、護人さん?
あのジェットコースターの出発地点に、コウモリ獣人がいっぱいいるね」
「ワイバーンとバルーンもいるね、巣みたいになってるのかなぁ? あっ、ジェットコースターも停まってるね。
あれって動くんなら、ちょっと乗ってみたいかもっ!?」
「危ないからそれは止めてくれ、香多奈……確かにこっちの移動中や戦闘中に、空からちょっかいを掛けられるのは嬉しくないな。
このエリアは安全確保出来たし、それじゃ次はあっちに向かおうか」
そんなリーダーの言葉に、ハーイと元気に返事をする子供達。ハスキー軍団も心得たモノで、次はあっちかと派手なタイル張りの歩道を指定方向へ歩き始める。
途中での邪魔は、何度かパペット兵士が出て来たくらいで5分足らずで目的地へと辿り着いた。その頃になると、ボチボチバルーン型モンスターも飛翔し始めて、こっちがタゲられているのが丸分かり状態に。
それらを遠隔攻撃で処理する一行だが、敵の破砕音はそれなりだった。結果、それを聞きつけたワイバーンやコウモリ獣人も、いざ戦闘参加を決め込む流れに。
空からの襲撃の相手は、それなりに大変だけど来栖家チームも慣れていて対処はスムーズ。特にミケがキレて割り込むと、敵の飛行部隊は割と悲惨な状況に。
そんな中、新たな動きが敵陣営に巻き起こった……何と、停泊中だったジェットコースターの長い車両が、途端に大蛇のように動き始めたのだ。
その頭部も、まるで蛇のように変形して蛇型の魔導ゴーレムのような動きを示している。ビックリ仰天の子供達だが、意外にスピーディにこちらに近付いて来る大蛇型ゴーレムである。
その背中のコースターの座席には、いつの間にか銃や弓矢持ちの獣人軍が。
――見た事のない強敵の出現に、大いに慌てる来栖家チームだった。
『ブックマークに追加』をしてくれたら、ルルンバちゃんが部屋の掃除をしてくれます♪
『リアクション』をポチッてくれれば、ミケが頭を撫でさせてくれるかも!?
『☆ポイント』で応援しないと、茶々丸に頭突きされちゃうぞ!w




