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真・恋姫†無双~三人の御使い~  作者: 泣き虫
閑話
32/35

一話(魏) 圭吾プロデュース

既に二年弱、投稿更新せず大変申し訳ございません。


本話は、最後に更新した"董章"と次編の呉が独立するストーリー"独編"の間のお話になります。

何が「圭吾プロデュース」だ・・・。

と、悪態ついても仕方がない。

急な展開だが、

現在、俺は元黄巾党のトップ、"張三姉妹"とともに大将に告げられた拠点までやって来た───


地和「なによっ、このオンボロ小屋はっ!?」


一番我が儘の生娘・・・次女の地和が叫ぶ。

そして、後ろにいる俺のほうを振り向いて怒りをぶつけてきた。


地和「ちょっとアズマ! どういうことよ、これはっ!?」


圭吾「んなもん知るかよ」


天和「もっと、大きくて立派なとこでやりたーい!」


人和「天姉さん、ちい姉さん、私たちは捕虜の身でありながら自由にしてもらっているのよ。生かされているだけでも感謝すべきだわ」


気が緩み切ってる長女・・・天和。

生まれてくる順番を間違えたのではないか?、と思わせるぐらい姉二人をたしなめる三女・・・人和。


人和「しかしアズマさん、宣伝活動と言ってもこれでは活動そのものが出来ないのではないですか?」


地和「そうよそうよ! 第一、なんで牢屋で寝泊まりしてる奴が私たちの監督者なのよ!?」


この三姉妹と初めて面を合わせたのは、洛陽から帰還して大将からこっぴどく罵られた後のことだ。

精神的に参りながらも、牢屋(自室)へ戻ってくると裏口から連れて来られていた三人と目が合った。

最初は地和が、甘えた声で助けを求めてきたが当然スルー。

だが、その翌日に王座の間に呼び出されたと思ったら、この三姉妹がいて


華鈴『罰として、この三人の管理をあなたに任せるわ。魏にとって立派な逸材にしなさい」


何でも、俺が前の世界で話した内容の一つ、「女優」「アイドル」関連に張三姉妹を重ねたらしい。

話した当時は、夏侯惇にやらせようと冗談言って、殺されたかけたな・・・。

ちなみに、俺が牢屋暮らしされてることは口止めされている。


地和「ちょっと聞いてるの、アズマ!?」


圭吾「聞いてないよー」


地和「っ! もう! あったまに来るわね!!」


地団太踏んでる地和は置いておき、俺は大将に告げられた内容をそのまま三人に伝える。


圭吾「『今日からこのオンボロ小屋を拠点に、お前らの知名度ならびに魏の宣伝活動を行う。目的としては、勇士ある者を魏に引き込み、魏の良い印象を農民や商人に植え付ける』・・・ってことなんだが」


再び、オンボロ小屋を一瞥して頭をかく。


圭吾「ほんと、出来んのかこんなの?」






てなわけで、最初の講演を目指すため、色々と準備を始める・・・のだが。


圭吾(資金がねぇから、チラシもポスターも作れねぇじゃん)


すでに万事休す。

芸能界プロデュースのノウハウなんてあるはずもなく、俺は初日から頭を悩まさせている。


天和「ねぇねぇ、けいごぉ~。お腹すいた~」


圭吾「・・・あんた、俺より年上だよな? しかも、長女だよな?」


人和「天姉さんは昔からこんな感じ。長女だからって期待しても無駄よ」


天和「れんほーちゃんヒドイ~!」


地和「でも、確かにお腹が空いたわね。アズマ、早くご飯買ってきて」


圭吾「・・・はぁ。どうせ、俺のおごりだもんな」


地和「当たり前でしょ」


人和「というより、私たち一文無しですから」


天和「けいご、よろしくっ♪」









結局、自分のポケットマネーから肉まんを四人分購入した。


人和「それで、アズマさん。このあと、どうされるおつもりですか?」


拠点(仮)で肉まんを頬張りながら、人和が質問してくる。

どうするって・・・んなもん、分かるわけないだろ。


天和「あ~あ、どうせならもっと優秀な人が来て欲しかったなぁ~」


地和「ほんとよね~」


人和「しょうがないわ。この人、世間知らずで能力無さそうだし」


圭吾「・・・何だと?」


人和の発言に、俺は食べる手を止めた。

今にして思えば、こんな安い挑発に乗るあたり、俺は餓鬼なんだなと実感した。

まぁこの時は三姉妹に突っかかってしまったのだが・・・


圭吾「世間知らず? それは、こっちの言い分だ! てめぇら、本来なら外に出ることすら叶わない身の分際で、やれ小屋がボロいわ、やれ腹が減っただ、生意気にも程があんだよ」


天和「そうは言ってもぉ・・・」


圭吾「甘ったるい声で抗議してもダメだ! 俺は、監督者を任されただけで、世話までやるつもりはねぇんだよ」


地和「なによ、その言い方! ちぃ達は好きでこんな状況になってるわけじゃないわ!」


圭吾「俺だってそうさ!」


いきなり、こんな世界に飛ばされて、人の生き死に放り出されて・・・

衣食住を提供してくれていることには感謝しているが、帰れるなら即座に帰りたい。

まぁそんなこと、こいつらに言っても信じてはもらえないだろうがな。


地和「っ! もういい!」


天和「ちぃちゃん!?」


人和「え、えっと・・・失礼いたします」


顔を真っ赤にして走り去っていく地和を追いかけて、二人もこの場から離れていく。


圭吾「・・・ちっ、俺も餓鬼じゃねぇか」


ガシガシと頭をかきながら、この場を去ることにした。

残ったところで何も出来るはずがない。

・・・少し早いけど、流琉の夕食を食いに行こうかな。

そう思い、城下町経由で城に戻ることにした。すると、道中で珍しく警邏中の真桜と沙和を見かける。

だが、声をかける気にならず、そのまま素通りして城に向かった。


沙和「あっ、隊長・・・」


真桜「ほんまや・・・でも、何か元気がないなぁ」













圭吾「ふぅ・・・ご馳走様。いつもありがとう、流琉」


流琉「いえ、兄様のお役に立てるのでしたら、これぐらいお安い御用です」


今日も流琉の料理は格別だった。

一日頑張った褒美にしては、十分過ぎる美味しさである、


圭吾「洗い物は俺がやるよ」


流琉「そんな! 私がやるから大丈夫です!・・・それに今日の兄様、お元気が無いように見えますから」


圭吾「え・・・そう、見えるか?」


流琉「はい。兄様、警備隊のお仕事とか、また新しい任に就かれたと聞きましたので、お疲れなんだと思います。もし、お力になれることでしたら、私の方から華琳様にお願いを───[ナデナデ]───に、兄様?」


流琉に気を遣わせちまうなんて、だらしねぇなぁ。

しかし、それ以上に嬉しくて自然と流琉の頭を撫でていた。

季衣だとされるがまま喜ぶのだが、流琉は恥ずかしそうに俯いている・・・子供扱いっぽくて嫌だったかな?

と思い、サラサラな髪から手を放した。


流琉「ぁっ・・・」


圭吾「悪いな、つい」


流琉「い、いえ! 全然大丈夫です!」


圭吾「お、おう・・・」


季衣「流琉ー、今日のご飯は───あっ、兄ちゃん!」


ガバっと、季衣が抱きついてきた。

今日は夏侯惇と一緒に調練だったはず・・・こんな小さい子でも、そんなすごいことが出来るのに、俺は・・・


季衣「兄ちゃん?」

流琉「兄様?」


圭吾「ん・・・何でもないよ。ありがとな、二人とも」


[ナデナデ]

季衣「? えへへ~」

流琉「っん・・・」


さて、プランを立てるとするか・・・。

俺は既に頭に思い浮かべている"初公演会"のため、城下町に走り出した。













俺が自室(牢屋)に戻った頃には、既に夜空にお月様があった。

完全に門限は過ぎて、固く牢屋は閉められているが、顔なじみの夜勤兵に顔パスで通してもらった。

まぁ、あれこれ夏侯淵が理由を考えて、不審に思われないようにしてんだろうな。

いっそ普通の部屋に戻して欲しいものだが、ここまで来れば牢屋生活も悪くないな。


圭吾「ふぅ・・・警備隊長初日を思い出すわ」


牢屋内の座敷に寝転がると、疲れがどっと出てきた。

あの時は、字も書けなければ読めもできず、何をしていいのかも分からなかったからな。

だが、やってみれば大したことはない。疲れは尋常ではないがな・・・


天和「・・・」


圭吾「・・・」


目があった。

何故か、俺を見下ろしていて───


圭吾「おまっ───んんっ!?」


天和「シィーー!! ちーちゃんとれんほーちゃんが起きちゃう」


身を起こした俺に、しゃがみこんだ天和が俺の口を塞ぐ。

・・・コイツ、何で俺の牢屋に? つか、どうやって入ってきた?


天和「牢の鍵、開けっぱだったよ。無用心だね~」


圭吾「・・・あっそ、悪かったな。それで何の用だよ?」


天和「もぉ~、まだ昼のこと怒ってるの? あれから私達、反省したんだから」


圭吾「わぁったから、さっさと用件言え。今日のことは、俺ん中で決着はついてる。そして離れろ」


「よかったぁ」と気の抜けた返事をした天和は、さっと俺から離れて冷たい床に正座した。


天和「・・・ごめんね」


圭吾「───」


ポッと出てきた謝罪に、俺は面を食らった。


天和「今日のことは、私達も我儘言いすぎたかなぁって少し思って」


少し・・・?

かなりだと思うんだがな・・・言わなくていいか。


天和「でもね、私はともかくちーちゃんとれんほーちゃんは、自分勝手な悪い子じゃないの。

今まで三人助けあって生きてきて、ああ言うと周りの人が何でもしてくれてて・・・」


圭吾「そうやって、過ごしやすい環境を作ってきたわけか」


天和「うん。そうやって、生きてこれた・・・ちーちゃんとれんほーちゃんの力が大きくて、お姉ちゃんの私は足引っ張ってばっかだけどね」


舌を出す彼女は、どこか悲しそうに見えた。

だけど、「あぁ、この人はちゃんとお姉さんしてるんだなぁ」と、感じも同時に受けた。


天和「牢屋にいる人だけど、曹操様から信頼されているアズマさんからしたら、分からないわよね」


圭吾「いや、分かるさ」


天和「え?」


間髪入れずに反論した。

俺は決して優秀な人間じゃない。元の世界の俺は、世間で言うチンピラ崩れで親不孝もの。

この世界の苦労という苦労を、想像すら出来ない平和ボケ野郎だ。


圭吾「分かるさ。俺だって、"ここ"に来るまで好き勝手やってきたんだ。自分がやりたいように、他人の迷惑を考えないでな」


天和「アズマさんにも、そういう事あるんだ。素行が悪そうなのは感じてたけど」


圭吾「一言多いっての・・・あと、さん付けやめろ。こそばゆい」


天和「なら、けいごって呼ぶね。いいでしょ?」


急に距離を縮めてきやがったな・・・。

まぁ、いっか。


圭吾「んで謝罪だけか、用件は?」


天和「うん、そうだよ。でもせっかくだから、もうちょっとお話しない?」


圭吾「断る。疲れてんだ」


そう言って、座敷に寝転がる。

すると、つまらない天和が俺を起こしに揺らしにかかる。


天和「そんなこと言わないでよ~。けいご~」


圭吾「るっせぇな。明日は、さっそく動いてもらうんだから、天和も寝ろ」


天和「むぅ~、つれないなぁ」


圭吾「・・・一つだけ聞いていいか?」


天和「ん~?」


圭吾「お姉ちゃんって、大変か?」


突拍子もない質問。

だが、天和はしっかり質問に答えてくれた。


天和「大変、ではないかな~。可愛い妹達と一緒で幸せだし、私の生きがいかな~」


圭吾「・・・そっか」


その返答を聞けて、俺の意識は睡魔に負けて薄れていく。

何故、こんな質問をしたのか・・・それは、俺にしか分からないだろうな。





【『一応、警備兵だからな』に続く】

次話は、今日か明日中に投稿致します。

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