第42回配信「初春都市」
「ラジオの前の皆様、お久しぶりです
さちです。」
「・・・・・・ノワよ。」
「本日もウィッカラジオをお聴き下さりありがとうございます
最後まで楽しんでいって下さいね。」
「とりあえず、放送が、遅れてしまって、ごめん。」
「まぁ、ちょっとしたトラブルがあったんですが
それでも予定よりかなり次の街への到着が遅くなっちゃいましたね。」
「何事も、予定通りには、行かない。」
「ちなみに、今回は盗賊の活動が活発になったとかどうとかで
街道が封鎖されてしまって灯明都市で足止めを食らっていました。」
「足止め中に、一回ぐらい、放送をする事も、考えたけど
話題がなくて、グダりそうだったから、やめた。」
「そのせいでちょっと間が空いてしまいましたね。」
「その辺りは・・・・・・放送内容を、安定させられない、こちらの不手際、だと思ってる。」
「いっそのことノワさんが魔法で盗賊を一掃すればもっと早く進めたのでは?」
「依頼として、街のギルドにでも、出てれば、それもいいけど
勝手にやるのは、基本的に、歓迎されない。」
「ですよねぇ、この辺りの地方では治安組織がそう言った事は基本的に片付けるので
冒険者に依頼するって文化がないようですし。」
「その辺りは、地方色が強いから、現地の状況に、合わせるのが・・・・・・一番。」
「そう言うわけで解決待ちでひたすら待機してたわけなんです。」
「文句を言ってても、始まらないし・・・・・・その時間を、有効に使って、次の放送を、良くしていけばいい。」
「と、言われましてもお便りの一通も来てないような状況ですし。」
「来なくても、盛り上げれるように、ネタの引き出しを、増やすとか・・・・・・。」
「・・・・・・すみません。待機中ずっと本を読んでてそう言うこと全く考えてませんでした。」
「・・・・・・。」
「えぇ、沈黙が怖い。」
「まぁ、しょうがないから、とりあえず、今日は、いつも通りの感じで、始めるよ。」
「分かりました
それではウィッカラジオ、スタートですっ。」
「改めまして皆様こんにちは
ウィッカラジオ、本日は初春都市リルプイエよりお送りしています。」
「・・・・・・まずは、恒例の、現地紹介。」
「はい、この初春都市リルプイエは年がら年中春っぽい雰囲気の街です。」
「さちの、頭ぐらい、ゆるい説明ね。」
「えぇ、何か悪意を感じますよ。」
「厳密には、一般的に、春と呼ばれる季節に、近い気候が、一年のほとんどの期間を、占める地方に、ある街。」
「やっぱり春っぽいじゃないですかー。」
「・・・・・・春っぽいだけじゃ、何がか、分からないから、ちゃんと、主語やら述語を、付けて。」
「そ、その辺りは雰囲気で何とか・・・・・・。」
「ちなみに、一年のほとんどと言ったけど、冬場だけは、寒くなるらしい。」
「言っても結構北の方まで来ましたからね。」
「ただ、この寒さもあって・・・・・・桜の花が、綺麗に育つと言う、メリットも、ある。」
「この季節でも街中は桜がまだまだ元気に咲いてましたね。」
「寒い時期を除くと、長い期間、何かしらの品種の、桜が、咲いているから
桜が、名物の、街とも、言えるね。」
「なるほど、他の国では咲いてない時期でも桜が見れるなら観光として成り立ちますね。」
「そう・・・・・・だから、年中ほとんど、桜を見れる、公園とかが、いくつも整備されている。」
「いいですね。前の世界で住んでた家もいっぱい桜が植えてあって時期になるととても綺麗でした。」
「庭の手入れは、結構、力を入れていた、みたいだからね。」
「友人に綺麗な庭を持っている人が多いから負けてられないって本人はおっしゃってましたね。」
「他の人の家は、あまり見たことないから、何とも言えないけど・・・・・・。」
「冒険者が皆家を持ってるのが普通の世界でしたからね
冒険で稼いでお金を家具に費やす方も多かったようですよ。」
「この世界だと、基本的には、各地の宿を、点々とする、感じなのにね。」
「はい。世界によってここまで暮らしぶりが違うのはびっくりです。」
「技術や、文明、世界によって、全然違うから・・・・・・慣れるしか、ないね。」
「この世界もこうやって歩いてみると、色々と楽しい発見があるので嫌いじゃないですよ。」
「さて、そんなこの世界、この街だけど
桜が名物なだけあって・・・・・・桜を使った、料理や、染物等も、盛んみたいね。」
「桜を使った料理、つまり桜餅ですね
前の世界では春になるといっぱい集めました。」
「桜餅は、間違ってはいないけど・・・・・・集める?」
「あれ? 前の世界では花見の季節になると桜餅をいっぱい集めて
それを色々な景品と交換してもらえるお祭りがあったんですよ。」
「・・・・・・まぁ、世界によって、風習は、色々だから。」
「と言うかノワさんって前の世界にいた頃花見ってやった事なかったですっけ?」
「私は・・・・・・皆と出会ったのが、夏で、そこから一ヶ月程度で、こっちの世界に、飛ばされたから。」
「そうでしたか、すみません。」
「気にしないでいい・・・・・・。」
「じゃあ、せっかくなのでこの街にいる間にお花見を沢山楽しみますか。」
「一日ぐらいなら、ゆっくり、桜を見ながら、休んでも、いいかもね
ただ、桜餅集めは、やりたいとは、あまり思わない。」
「じゃあ明日は公園でお花見って事で行きましょう。」
「・・・・・・分かった。」
「では、この辺りで現地紹介終わりますねー。」
「さて、時間が、少しだけ余った。」
「いつもほど余裕はないけど終わるには早いですね、非常に中途半端です。」
「せっかくだから、興味本位で聞くけど・・・・・・ここ一週間ほどの、待機時間の間に、何を読んでたの?」
「あれですか? 前の世界から持って来た漫画です。」
「どんな話?
・・・・・・時間潰しのついでに、聞かせて。」
「とある街へ引っ越してきた主人公が
その街の影で広まる謎の猫耳を付けた集団に目を付けられて
巨大な組織の陰謀と猫耳の謎に迫っていく話なんですよ。」
「あ・・・・・・よく言ってる奴ね。」
「はい。私のお気に入りの中の一冊です
謎の組織の正体を暴いていくミステリーやサスペンスと言ったシリアスな要素を
猫耳を付けた登場人物達の可愛らしさで和らげている独特の作風が魅力的で・・・・・・。」
「・・・・・・そろそろストップ。」
「えぇ、何で止めるんですか?
ここからノワさんにもしっかり主人公の女の子の可愛さをたっぷり説明しようと思いましたのに。」
「たぶん、それ、最後まで聞いてると、放送時間、オーバーするから。」
「はっ、すみません。そこまで考えてなかったです。」
「まぁ・・・・・・お気に入りの、物があるのは、きっと、良い事だから。」
「はいっ、どれもこれも冒険者になり立ての頃必死で依頼をこなして買った大切な物です。」
「・・・・・・そう。」
「でも、せっかくだからこの世界でも色々な新しい本を読んでみたいですね
世界が変われば流行の内容とかも違うでしょうし、今まで知らなかったような新しいジャンルとの出会いもある気がするんです。」
「さっきの、現地紹介でも、言ったように・・・・・・世界による、文化の差は、著しいからね。」
「まぁ、そもそもこの世界ではどうやら漫画そのものがあまり知られてない形態らしいのが悲しいところですが
それならそれで普通の小説とかも読んでみたいですし
実は漫画でも小説でもない全く未知の表現形態で書かれている本がないとも言い切れませんし・・・・・・。」
「よし、そろそろいい時間だし、フリートークは、終わろう。」
「一番良いのはやっぱりこの世界に書斎付きのマイホームを持つことでしょうけど
流石に普通に冒険者やっててそんなお金が手に入る気もしませんし・・・・・・。」
「では、次のコーナーで、しばらくお待ち下さい。」
「はい、エンディング始めるよ、いい?」
「えぇ、大丈夫です。ちょっと久々に本の話だったので熱くなりすぎました。」
「さちらしいと言えばさちらしいけど、ほどほどに、ね?」
「はい。すみません・・・・・・。」
「じゃあ、ここからは、次回の予定。」
「次の目的地は決まってるんでしょうか?」
「次は、渓流都市ソォインに、向かう予定。」
「ふむふむ、どんなところでしょう?」
「水が綺麗な街で、ここも比較的、穏やかな気候だとは、聞いてる。」
「詳しいところは現地に着いてからですね、とりあえず夏も近付いてきましたし極端に暑い場所じゃなければオッケーです。」
「これから、どんどん北に向かうと思うから、暑さに関しては、たぶん大丈夫。」
「寒い時期は南に逃げて、暑い時期は北に逃げる
身軽な冒険者ならではの過ごし方ですね。」
「まぁ、一年中移動し続けるのは、大変だと、分かったけど・・・・・・。」
「たしかに、季節に合わせて移動ばっかりしてると書斎付きのマイホームどころじゃないですね。」
「それ、まだこだわってたの・・・・・・。」
「そりゃ、もっと一杯本が欲しいですからね
全部あんみつに乗せて運ぶのも限度がありますし。」
「重いし、かさばるから、まぁ無理な話ね。」
「なのでもうしばらく本を買うのは我慢です。」
「さて・・・・・・それじゃあ、今日は、これぐらいで
次回までに、また、お便りを、募集。」
「現在募集強化中のお題は
今年になって自分のここを変えたい場所
冒険の疲れを取るための視聴者さんお勧めの方法
ノワさんの女子力をどうやって上げたら良いか
の、3つとなっております。」
「沢山、送ってくれると、嬉しい。」
「むしろ一通でも来てくれるとそれだけで感激します・・・・・・。」
「さて、今回も、お疲れ様。」
「ノワさんこそお疲れ様です
そして視聴者の皆様もここまで聴いて下さってありがとうございました。」
「次回は、渓流都市ソォインに、着いたら。」
「では、また次回お会いいたしましょう
お相手はさちと。」
「・・・・・・ノワでした。」
「次の放送もお楽しみにー。」
「・・・・・・またね。」




