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第15回配信「山麓の街」


「ラジオの前の皆様、こんにちは

 さちです。」


「・・・・・・ノワよ。」


「本日も始まりましたウィッカラジオ

 本日は山麓の街ストゥプスよりお送りしております。」


「ここまでは・・・・・・順調に、来れた。」


「はい。目立ったトラブルも無く、寒さに負けて風邪を引いたりもせず

 予定通りにここまで歩けて来てますね。」


「この辺りは、そこそこ暖かいとは言え

 夜になれば冷えるし、野宿の時は体調管理も、重要。」


「そうですね、油断はしないようにします。」


「私も、寝てる時は、環境操作フィールドコントロールが維持できないから、気を付けないと。」


「あ、そこまで万能じゃないんですね。」


「便利ではあるけど・・・・・・過信は禁物。」


「魔法もそう都合よくは行きませんね。」


「あくまで使用者があってこそだから、どんな魔法も使い手次第・・・・・・。」


「魔法使いの皆さんは大変な努力をなされてるんですね。」


「それなりには、ね。」


「では、私たちも頑張って行きましょうか

 とりあえずは今日の放送から。」


「・・・・・・えぇ、始めましょう。」


「それでは、ウィッカラジオ

 本日も張り切ってスタートですっ。」






「ではでは、今回も現在地の紹介から始めましょうか。」


「今日は、山麓の街ストゥプス

 名前の通り、山の麓に広がる広大な街。」


「広いですね。郊外の田畑も入れれば今までに寄った街の中でも上位です。」


「元々は農業や畜産が主流だった街

 ・・・・・・大陸南部と中部の交流が盛んになるにつれて、その中継地点として役割が増し

 多くの人間が、移り住むようになった。」


「現に私たちも中部から南部に抜けるのに使っていますしね。」


「立地が良かった、それに、それだけの人が増えても賄えるだけの、生産能力もあった。」


「あっ、元々は農業や畜産をやってたって言ってましたものね。」


「まぁ・・・・・・過去形じゃなくて、現在形でもあるけど。」


「そうですよね。まだまだ田んぼも畑も沢山ありますよね。」


「そう言った田畑の類とは逆側に、移住してきた人間が街を拡張し

 様々な店や宿が増えた・・・・・・

 だから、広くて少し入り組んだ街になってる。」


「何度も建て増しされた結果ですか。」


「そう言うことね。」


「おかげで広いけど使うお店なんかは固まってるので

 初めてでも迷いにくくて助かりはしましたけど。」


「たしかに、情報収集も、必要な物資の補給も、どれも一角で事足りたわね。」


「と言うかその一角を離れると、本当に民家と田んぼばっかりになっちゃいますからね。」


「本来はそっちが中心だったはずだけど

 今は賑わい的には逆転してるね。」


「昔ながらの何か、とか面白いスポットもありませんでしたよ。」


「実用一点張りのようね

 ・・・・・・生産や商売で街は成り立つし、あくまで移動のための拠点だから

 観光の方には一切力を入れてない、みたいね。」


「せっかく広いし年季もある街なんですから、少しぐらい見るところがあっても罰は当りませんのに。」


「それなら眼前に立ち並ぶ、セクソゥ連山でも眺めればいい。」


「あぁ、たしかに凄い眺めですね。」


「まぁ、それを超えないといけないから、これから大変だろうけど。」


「高くて威圧感がありますからね、山越えを考えるとちょっと嫌になります。」


「高い山に隣接してるから、山風が強いのはこの街の悩み・・・・・・らしい。」


「雨風の被害は怖いですね。自然のパワーには勝てません。」


「まぁ、そんなところかしら?」


「そうですね。以上、現地紹介でしたっ。」






「さぁ、まだまだ尺が残ってますよ

 今日は何をしていきましょうか?」


「たぶん、これが今年最後の配信になるから、今年の総括でも・・・・・・。」


「と、言ってもまだこの番組始めてから数ヶ月なんですけどね。」


「まぁ、その辺りは、仕方ない。」


「そもそもいきなりラジオをしよう。ってのが驚きでしたけど。」


「完全に思いつきだったからね

 ・・・・・・付き合わせたのは、少々悪いかな、と思ってる。」


「いえ、これはこれで楽しいのでいいですよ。」


「そう言ってもらえるなら、助かる。」


「でも、まさかこんな風にこの世界を旅する事になるとは

 今年の頭では全く考えてなかったですけどね。」


「今年の頭には、既に街道都市に腰を落ち着けてて

 ギルドの依頼(クエスト)をこなしながら、特に何もなく、過ごしてたね。」


「そうですね。丸一年近く特に目先の目的もなしに生活費を稼ぎながら

 街道都市でだらだらしてたと思います。」


「一応、この世界に来た時に、離れ離れになった仲間と、合流するのが目的。」


「ただ、同じ世界にいるのかも何処にいるのかも分かりませんから

 完全に打つ手なしで待つだけの状態でしたからね。」


「そうね・・・・・・そう言う意味では、少し現状に飽きていた、かもしれない。」


「それでラジオですか?」


「もし合流するのなら、こっちからも能動的に動けたらいい

 ぐらいの気持ちだったけど。」


「結局当人がこのラジオを聞いてるのか不明のままですからねぇ。」


「何もしないよりはまし、程度でしかない。」


「えぇ、私は自分から探す方法を作ろうなんて思いもしませんでしたから

 ノワさんは凄いと思いますよ。」


「まぁ、それが結局、こうやってこの世界を巡る事になるとは

 私も考えてなかった、けど・・・・・・。」


「ラジオが存在しない世界でラジオ番組をしようってのが無茶でしたね。」


「結果的に、日々の退屈はなくなったから、良いのかもしれないけど・・・・・・。」


「パーティーのリーダーがいなくても私たちも冒険者ですからね

 これぐらいの冒険に出てこそだったのかもしれません。」


「あの人がどれだけ多彩だったか、身を持って知る羽目に、なったけど。」


「私たち二人だけだと野営にすら苦労するレベルですからね・・・・・・。」


「私たち以外にも、多くの冒険者や、もっと凄い人たちにも、顔が利いたから

 困ることも余りなかった。」


「二人だけで、しかも勝手も分からない世界だと本当に微力ですよね。」


「そうね・・・・・・魔力はあっても、それ以外には足りないことばかり・・・・・・。」


「でもでも、ここまで2ヶ月ほどは何とかやってこれましたし

 これからも何とかなりますよ。」


「少しずつは、今の環境に慣れて来ては、いるね。」


「えぇ、来年はこの世界を巡り終えて立派な冒険者になるんです。」


「ちなみに、ここまでで印象深かった出来事とか、ある?」


「・・・・・・ノワさんの可愛らしい衣装。」


「・・・・・・!?」


「えっ、わっ、ちょっと、いきなり無詠唱で魔力の矢(エネルギーボルト)撃って来ないで下さいぃ。」


「・・・・・・知らない

 そろそろ次のコーナーに、移るよ。」


「そこまで照れないでもいいのに・・・・・・。」






「・・・・・・それじゃあ、次回の予定、考えていくよ。」


「とりあえず目下は目の前の連山を越えることですよね。」


「一応、迂回ルートもあるけれど、大幅に回らないといけないから、かなり効率は悪い。」


「それよりはやっぱり山越えルートの方がいいです?」


「そうね、次の街まで、数十日単位で予定がずれるわ。」


「うっ、たしかに厳しいですね。」


「幸い、南部に近い暖かい地方だから

 よっぽど高いところに行かないと、雪は降らないらしい。」


「雪の山道は危ないでしょうからね、降らないってだけでも安心です。」


「ついでに、通る人も多いから、道はそれなりに、整備されてる。」


「ふむふむ、そうなると意外と何とかなる気がしてくるのが不思議です。」


「それでも、魔物も出るし、遭難や山崩れの危険性が、ゼロではないから、細心の注意が必要。」


「でも行くしかないのでしたら行っちゃいましょう

 何事も挑戦です。」


「それじゃあ、必要な物資の補充をして、山越え

 次の放送は、越えた先にある街や村に着いたら。」


「そんな感じでいいんじゃないでしょうか?」


「ただ、一つだけ難点がある。」


「難点ですか、何でしょう?」


「今の日程から考えると、山越えの途中に、新年を迎える事になる。」


「せめて年末年始ぐらいゆっくりしたいですね。」


「ただ、それをすると、一週間ぐらいここで足止めになるから

 急ぎではないとは言え、流石に無駄に感じる。」


「この街でもう何度か放送しながら年明けまで滞在

 うーん、それも悩ましいところですね。」


「たぶん、放送するネタがなくなって、困る。」


「うぅ、現状旅の近況報告頼りですからね。」


「そう言うわけで、定常コーナーの案とか、絶賛募集中

 感想機能から、気軽に送ってくれると・・・・・・助かる。」


「ちなみに普通の感想とかそう言うのも待ってますので

 どんどん送っちゃって下さい。」


「で、結局山越えは、どうする?」


「行きましょう。こうなれば前進あるのみです。」


「分かった、じゃあ、次回は南部地方に入ってからの放送で。」


「先にある街の詳細とかはまだ分かってない感じですか?」


「山の反対側にも、それなりの規模の街があるらしいけど

 詳しい事は・・・・・・ちょっと分からない。」


「そうですか。それなら行ってみてのお楽しみですね。」


「さて、今後の予定も決まったし、今日はこれぐらいかな?」


「はい。今日も最後まで聴いて下さってありがとうございました。」


「次回は、来年の放送になると思うけど・・・・・・また聞いてくれたら、嬉しい。」


「では、今年一年お疲れ様でした

 お相手はさちと。」


「・・・・・・ノワでした。」


「皆様、良いお年をー。」


「・・・・・・また来年も、よろしく。」


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