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シケモク  作者: 桂朔
9/10

8.暗闇

誰かが僕を呼んでいる。

辺りを見渡すが暗くて何も見えない。

立ち上がろうとして、何かが太ももの上に乗っていることに気付く。

「お前、そうやって人の事見下すんだな。」

帯刀だった。

右頬に穴が空いている。

思わず跳ね除ける。

立ち上がって逃げようとするが、腰が抜けたのかうまく立てない。

水が滴る音。

顔を向けるとそこに尻が突き出ていた。

僕と同じ制服のスカート。

その下の布から液体が染み出て、下に水たまりを作っていた。

僕は身体を引きずりながら後退りする。

そして何かにあたる。

振り向くと、それは渚だった。

「ねぇ、どうしてだと思う?」

半裸で、地べたに座り込んでいた。

「どうして、こうなっちゃったと思う?」

その目は虚ろだった。

「ごめん、私のせいで。」

僕は思わず渚からも離れようとした。

「ねぇ。」

渚は追いかけては来なかった。

だが、渚の背後から男達が現れる。髭面とロン毛だ。

「お前もこうなるからな。」

二人の顔には1センチくらいの穴が空いていた。

「よく見ておけよ。」

二人は薄気味悪い笑みを浮かべている。

僕は身体を返し、這いつくばってその場を離れようとする。

早くこの場から逃げたかった。

必死で手を動かし、脚をバタつかせる。

どのくらいそうしていただろう。

時間の感覚が無い。

僕は後ろを振り返った。

そこに先程の3人は居なかった。

変わりに居たのは三芳だった。

いつもの格好でぽつんと立っている。

ハルちゃん…

その腹部がドス黒い赤で染まっていく。

眼鏡の奥に細い目。

無表情なその口から血が垂れだして、歪んだ。

「なんでだよ。」

いつものあの顔だった。

「なんで笑ってるんだよ!」

僕の目からは涙が落ちていく。

「ごめん。」

僕は目を閉じて言った。

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