第7話 クソおっさん&逃げ
ほかの奴等と似ても似つかねぇゴツゴツとしたもんを身に着けてやがる。
「ックソ! なんなんだよ。なんで俺を殺そうとするんだ」
俺は、立ち上がりながらそう言い、クソおっさんの鎧? を両手で叩いた。
「だってお前穢れじゃーん。殺すにきまってんだろ。な、頭使えよ、頭」
……。
「俺は穢れじゃねーよ」
「穢喰は持ってんだろ?」
「それは……そうだけどよ」
砂埃が完全に晴れると、さっき、まで俺を囲っていた精鋭部隊が距離をとっていた。そーかよ、生きて返す気はマジでねーのかよ。
「そりゃ、穢れって認めちまったようなもんだぜ。ほんっとうに低能だな」
「あ? なんでだよ」
でもなんで俺にこんな能力を与えたんだ。
「あんとき持ってた本、まだ読んでねぇんだな。いいだろう、殺す前に教えてやるよ」
クソおっさんは、持ってた剣を鞘にしまった。その代わりに、周りの奴等が剣を光らせた。
「うそだよーんだ!! バーカ」
……。何言ってんだ此奴は。
「無念無念! 敵の言うこと信じるなんてな!」
ユルリカは心残りだが、俺にはほぼ失うものがねぇんだ。やってやるよ!俺は思いっきり高く飛び、右腕を前に伸ばした。
「人間が飛べる限界って、二メートルくらいだっけ? まあ、いいや」
思考を後回しにしたその時、血管が唸るような感覚とともに、右腕の手のひらから風のようなものが吹き出し、瞬く間に精鋭部隊の試験会場が小さくなった。
「動けねぇ……息できねぇ」
少し体が軽くなった気がする。都市中央にあるでっけぇ建物より飛んじまった。ほぼ脚の感覚がねぇ。
「まあ、試してみる価値はあったな。日々の妄想が役に立ったぜ」
俺は日々の妄想を糧に、穢れの技を使いこなした。ただ、俺が飛んだ直後から、剣の波動が飛んできている。そんなに飛距離あんのかよ。
「おいっ! それは反則だろうが」
四方八方から飛んでくる波動を、防げる範囲だけ右腕で守った。
都市が豆粒みてぇになっている。下半身あたりがぎゅんとなるような感覚、なんだ。
「ん? これこのまま落ちたら死ぬよな? 待て待て待て!! うそだろ、体勢が上手くいかねぇ!」
手足をバタバタと動かすが、気づいた時には地面が俺の視界を支配している。
バゴーン、と音をたて、都市の裏路地、ごみが散らかっているようなそんな場所に落下した。痛ぇ、熱ぃ、帰りてぇ。だが、不思議と怪我はあまりしていなかった。腕のおかげか?
「自分のタフさには驚かされるばっかりだ……まとめ紙に書かねぇと……」
助かった、まとめ紙もペンも無事だ。こいつだけは俺を裏切らねぇ、そんな気がする。
⑤穢れの能力は俺にも使える。(何パーセントくらい使えてるかは知らねぇけど)
まとめ紙にまとめ終えると、その場で静かに視界が揺れるのを体感させられた。外傷はなくとも衝撃で死ぬってか? 勘弁してくれよ。俺の視界はこの時真っ黒になった。
目が覚めると、さっきまでいた場所ではねぇ、見覚えがない場所にいた。地下水路……なのか?
「おう兄ちゃん、起きたんか」
目の前には傷だらけのおじさんが立っていた。取り巻きもちらほらいる。怖い顔をしている割には緊迫感がねぇ。
「また目覚めたら知らねぇ場所だったってやつか? こんなの何度も経験したかねぇんだけどな」




