第6話 試験&思わぬ再開
俺はユルリカに「散歩行ってくる」とだけ言って彼女の家を後にした。嘘ではねぇ。歩くことに変わりねぇんだから。
「クソおっさんが言ってた精鋭部隊。俺はここに入って人を、そしてあの生活を守るんだ。日雇いだったけど穢れ狩りにはなれたんだ。いけるだろ」
人が集まらねぇのか知らねぇけど、そこら中に精鋭部隊の入団試験の張り紙が貼ってあった。
大都市を二、三時間歩いたところでようやく精鋭部隊の入団試験会場に着いた。厳重な警備がおかれていて、殺伐とした空気を醸し出している。誰かに見られているような、そんな感覚にちけぇな。昼間のうちに来ればよかったな。
「ここが試験会場であってんだよな? 俺試験受けてぇんだけど」
警備がなかなかに厳しく、簡単には中には入れてくれねぇ。門の外での立ち話が今の状況だ。そもそも、この腕さえあれば穢れなんて駆逐できんだろ。
「どの科入団希望ですか? 穢絶団、供給団、建設団、守護団からお選びいただけま――お前のその腕……穢れだな!! 緊急要請!! 穢れ出現」
「……」
精鋭部隊の無線か? 遠くから無数の足音がこっちに近づいてくる。ユルリカなんてもんじゃねぇ。ざっと二百人くらいはいそうだ。すぐに俺の周りを囲いやがった。俺は思わず一歩引いてしまった。
「まずった、腕を出しっぱなしに……。おいおいおい、そりゃ聞いてねーんだけど? なんで剣が光ってんだよ!!」
精鋭部隊等は光る剣を鞘から抜いて俺を見据えている。それに対して俺はポケットに入っているまとめ紙とペンだけ。なんら丸腰と変わんねぇ。
「まさに万事休すってやつだな。俺悪いことしたっけ? ああ、そっか。穢れてんだっけ」
精鋭部隊は剣を左右上下に振り回す。何も起きてねぇ。と思ったら剣の波動が俺に向かって一直線に飛んでいた。飛んでいた、というより瞬間移動みたいだ。近くの建物に傷がついている。
「ぐはっ!! 避けれねぇなこれ……人間前だとただの人間なんだよ、俺も」
わざと急所を外しているのか、致命傷とまではいかねぇが、脇腹やら脹脛やらがひりひりしてきた。傷口に唐辛子を塗った時くらいだ。成す術もねぇ。おっさんが死んだ時以来だな、膝が震えてんの。
「いっそのこと試してぇことやっちまうか!! どーせ死ぬなら試してから死んでやるぜ!」
「聖なる光よ、穢れを滅せ」
そんな言葉が俺の耳に入ってくる。あ? 聖なる光? 少し遠くから何かがこっちに向かっている。
「まじかよ……俺死んだんじゃね? ちくしょう、ふっざけんな」
気づいたら、俺の目の前までその光、巨大波動が迫ってきていた。
ドゴーンと、すんげぇ衝撃とともに周りの物の原型が崩れた。俺の体もそうなってんのかもしれねーが、砂埃で何にも見えねー。だが、俺が地面とつながっていることは分かった。
足音が近づいてくる。徐々に呼吸がしづらくなってきた。砂埃が入って目が開けられねぇ。
「観念しろ。穢れにしちゃよく頑張った」
薄目を開くと、光が広がって見える。砂埃の中だからか? それとも薄目だからか?
砂埃が落ち着いてくると、俺付近に立っている奴の、全貌が明らかになってきた。んだよ、さっきまでいなかったじゃねーか。なあ、クソおっさん。
「安心しろ、この波動に殺傷能力はねーよ。案外早い再開だったな」




