第5話 朝ご飯&パン屋
痛ぇ、痛ぇ痛ぇ痛ぇ。なぜだか夢を見た日には痛みとともに起きる。
「はぁ、目覚めの悪ぃ朝だよな、まったく。それにしてもふかふかベッドはやべぇな。動けねぇ」
遠くからくる足音が鬱陶しい。誰かが自分を呼んでいる。嫌だ、起きねぇぞ。
「カインくん! カインくん! 朝ご飯の準備ができたよー!!」
バン、と勢いよくドアが開いた。俺は体を少し起き上がらせた。
「悪いけど、俺は今穢れよりもやべぇもんと戦ってっからあとにしてくれないか!!」
「何と戦ってるの!? 大丈夫!?」
俺が戦っているのは強敵中の強敵、
「ふかふかベッドという名の強敵だ!! こいつには勝てる自信がねぇ。逃げろ、ユルリカ」
ユルリカは、口をぷくうっと膨らませると、俺を強引にベッドから引きずり落とした。
「メっ! だよ? 働かざる者食うべからずっ!! さあさあ、おはようおはよう!!」
俺は「どうしてこうも強引な奴バッカ俺の周りにいんだ……」と小声でつぶやい
た。多分聞こえてねぇはずだ。机の上に置いてあるのは相変わらず真っ黒い食事……だ。普通に焦げ臭ぇし。まだまだ改良の余地ありといったところか。
「食べてるときにごめんなんだけど、私、パン屋さんだから雑用係お願いしたいんだけど……いいかな?」
突然の告白だったが、昨日からよくしてもらっていたのは事実。受ける他ねぇな。
「もちろんいいぜ、俺にできるならな」
ユルリカは「やった!」と腕を天に突き、その場を離れた。雑用係なら八百屋の頃もやっていたから対して変わんねぇだろ。当たりくじだ。正直、めんどくせぇけど。
「で、俺は何やりゃいいんだ? 品出し……じゃねぇよな?」
そもそも俺はパン屋に行ったことがねぇ。あの村にあったかどうかすら分からん。
「焼きあがったパンを並べるだけでいいよ!! それが終わったら自由にしてて!!」
「あんな黒い飯なのに、パンは焼けんのか?」
「焼けるよ! バカにしないでよね」
俺は、軽くうなずくとすぐに作業を始めた。勤務時間は昼間の九時から夕方の十七時までだ。八百屋の作業よりは断然楽だった。
「はぁーあ、意外と楽だったな。こっから自由時間か……ならやりてぇことやってみっか」




