第3話 出会い&弱点
枕元に置いたはずの金がなくなっている。一文無しに逆戻り。住を手に入れたのは大きいが、食がねぇのはかなりまずい。
「あー、俺こっからどーすりゃいいんだ。クソおっさんはいなくなっちまったし」
呼び方はクソおっさんに戻した。適当にぶらぶらと大都市を歩くが、どうも足までが重い。能力のせいにしてたが、普通に運動不足なだけかもしんねぇ。
「やっぱ、おっさんが生きていればな……生き返らせられねぇかな」
ボオォォォ!! ブツブツと言っていると息がしづれぇほどの熱風とともに轟音が響いた。
「熱っ!! 穢れがでたのか!? なんなんだよ」
俺は人を守んねぇといけねぇ。クソおっさんがいてもいなくてもそれは変わらない。
「どうしてここに穢れがいるの……? 死ぬのかな、ここで。嫌だな」
俺が見たのは獣型の穢れの前で動けなくなっている少女だった。年は俺と同じくらいか?
「獣型、それに炎を出してる穢れなんて初めて見たぜ。さすが大都市は田舎村とはちげぇな」
俺は迷うことなく少女の前に参上すると同時に、腕を前に上げた。お決まりのポーズだ。今後、必殺技名を考えるのもいいかもしれねぇな。
「お、おい。冗談きついって!! なんで穢喰が発動しないんだ!?」
前やった時みたいに血管が浮き上がってこねぇ。俺が頭を上に向けた時には視界がオレンジに染まっていた。少女は守れたかもしんねぇが、俺は炎を直にくらっちまった。熱ぃな。
「え、あれ、私生きてる!? でもさっきの人は……」
数分後、俺は目を覚ました。
「ったく、なけなしの服が燃えちまったじゃねぇか。着替えないんだぞ。この代償は高くつくぜ?」
俺は炎の中を無傷で生還した。とはいっても熱さはずっと感じている。それでも、あの時能力を使ったときから、死ぬ気がしねぇ。つか、死ぬわけにはいかねぇ。
「で、状況はまだこっちが不利なわけだ。穢喰使えないし。でも試してみたかったことが試せる好機だと受け取っとくぜ」
俺は近くに落ちていた建物の破片、棒状の金属を拾い、穢れめがけて投げた。しかしほとんどダメージを受けてねぇようにみえる。
「足は弱点じゃねーのな、りょーかい」
何度も何度も拾いは投げを繰り返す。
「っ! しつけぇ」
穢れ側も、俺が投げるたびに炎を吐いて吹き飛ばしてくる。炎といっても、範囲が広いわけではねぇ。ターゲットを俺に絞った精密な狙いだ。
「そろそろ終わらせてくれよ!! 飲まず食わずでただ働きなんだよ!!」
そんなことを聞いてくれるような奴じゃねぇよな。俺は、満を持して穢れに登り始めた。触ったのは初めてだ。ぼこぼこしてて嫌な感じ。粘着性があるのか、突起がなくても簡単に登れちまう。
「ふざけんじゃねぇ……。腹減ってんだよ。疲れたんだよ」
登り終えると、俺は持っていた棒で穢れをつつく。つつくなんてレベルじゃねぇほどの力で、突き刺しているはずなんだが、手ごたえがねぇ。
「うわっ!」
穢れが犬みたいに震えた。俺は少し吹き飛んだが、持っていた棒で体制を立て直した。俺を見失っているであろう穢れにむかって、力いっぱいに棒を投げた。見事、穢れの鼻に直撃した。穢れは思ったよりあっけなくピタリとも動かなくなった。穢喰がなくとも討伐可能だということがわかった。
「今日も今日とて良い発見できたな、弱点は鼻か、どの生物も鼻が弱ぇな……」
倒し終えると、俺の足元が緩くなってきた。視界も悪ぃ。水の中で目を開けたみたいだ。
バタンッ!!!
「大丈夫ですか!?」
少女は俺をおんぶして、どこかえ一目散に走りだした。




