↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/93

八十九話 プレゼント

「…教会の写真?…ですか…」

と、私は言った。

「廃墟の写真を撮っています」

と、歯切れが悪そうに彼は答えた。

私は、じっくりと写真を見た。

薄暗い森の中の荒れ果てた、教会…

そこに差し込む一筋の光…

少し寂しげな、静かな風景だった。

「変わってますね」

と、私は言った。

「変わり者だとよく言われます…心霊写真を撮っているのかと言われる事もなくあります」

と、彼は言った。

「あっ、私が言いたかったのは、貴方の事じゃなくて、写真の事で…普通なら、怖かったり、汚く見えるはずなのに、穏やかな…少し寂しく見えるけど…不思議な写真だなって思ったから…」

「…もし良かったらアーサさんに差し上げます」

「いいんですか?だってこれって、お仕事の…」

「いいんです…嫌われたり、怖がられたりするんじゃないかと思って…なかなか、言い出せなかったんです…」

「…」

「でも、心配するほどでもなかった…先まで心配していた自分が馬鹿みたいで…」

「わたし、ほら普通じゃないですから…心配することなんてないですよ…それなりに色々と経験も積んでますし…」

「そうですよね…」

「そうですよ…でも、素直に異性から『そうですよね』とか言われると、ちょっぴり傷つきますけど…」

「あっ!ごごごめんなさい」

「冗談ですよ…冗談、そんなに本気で謝られたら、こっちが恐縮してしまいます」

「恐縮だなんて…俺の方が悪いのに…」

「ありがとう…大切にしますね」

「えっ…は、はい」

「ふふっ」

わたしはつい笑ってしまった。

彼の返事がいつものように、頼り無さそうだったのが、なんだか嬉しかった。と、私は言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。