八十八話 写真
「あ…貴方を…最初に知ったのは…あの写真集だった…無垢で、あどけなくて、天真爛漫で…何処か、妖艶で、…背伸びをしているようで、でも…しっかりと自分を持っているような…とても不思議な大人の女の子が写っていた…それがアーサさん、貴女だった…」
彼はわたしの顔を見つめながら、やさしく微笑んで、そして、彼の話は続いていった。
「大学生だった…進路に悩んでいたです…就職先もなかなか決まらずに、焦っていた…バイトでもいいかなぁ…なんて思っていたいたんです」
「……」
「物事にたいして積極的になれないでいた…」
「……」
「そんな時、知り合いに、何か好きなことでもして気分転換したほうがいいよって言われて…」
「高校生の頃、写真部にいたんです…写真を撮るのも好きだったですけど…写真を見るのはもっと好きで…」
そう言いながら、彼は頭を掻いて、言いにくそうに、言葉を続けた。
「女の人の写真が…好きで…久しぶりに本屋の写真集コーナーを覗いたら、貴女の写真があったんです…思わず買って何回も見ました…後からAV 女優だと知って驚きました…ただ、当時買った写真集は…」
少しの沈黙の後、彼はズボンのポケットから一枚の写真を取り出した。
「今、僕はこんな風な写真を撮っているんです」
彼はそう言って、私に写真を手渡した。
そこには朽ち果てた教会が写っていた。




