八十三話 下着
わたしは、思わずナースコールに手を伸ばした。
しかし、その手は早苗の左手に押さえつけられてしまった。
「白衣の天使を呼ぼうとしても無駄です…それとも先輩は複数プレイがお望みなんですか?」
早苗の目が鋭く私の胸を睨んでいる。
「裸にエプロンも良いかもしれませんが、裸に白衣なんてとか…裸より、裸より…いやらしいとか…先輩…凄すぎますから、こんな先輩を見たら、男女問わず股の間に手を伸ばしちゃいますから…だから!だから!これ持ってきました!」
と言って、早苗はわたしに紙袋を渡してきた。
中には下着が入っていた。
「あっ…ありがとう…」
「先輩無防備過ぎます!」
早苗の変態なんだから優しいんだかわからない、言動と行動に苦笑しつつ、改めて袋の中身を確認した。
「…下着…だけど…」
確かに、ブラとショーツが入っていた。
デザインも割りとまともなのは、早苗にしては良いチョイス?
…何処が見たような…
袋の中身を覗き込みながら、わたしは数年前の記憶を呼び起こした。
「早苗?これって…」
「先輩が昔、仕事で着ていた。」
「そう…で何で早苗が持っている訳?」
「私の引退記念にもらったんです」
「誰から?」
「マネージャーさんから…」
「…」
「意外なところで役に立ちました…良かったです」
「早苗…」
わたしは思いもしない展開に怒ってよいやら、喜んで良いやら分からず呆然としてしまった。




