↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/93

八十話 気が付いたら

「……えっ」

気が付いたら、わたしはベットの上にいた。

わたしは眠っていたらしい…ビジネスホテルとはいえ、折角のお泊まりを不意にしてしまった。

異性と一夜を共にしたのに…

というか、わたしに手をださなかったんだ…

あれっ?そもそも、いつ寝たんだっけ?

そしてわたしは左腕に違和感を感じた。

チリチリとした弱く継続的な痛みが気になり、視線を

そちらに動かせば、腕にチューブが刺さっていた。

「えっ?」

わたしはゆっくりと起き上がり、周りを見回した。

どうやら、何処かの病室らしかった。

「…はぁ…倒れちゃった…んだ…ケンジさんに悪いことしちゃった…」

わたしは天井を見つめながら、そんな事を呟いていた。

無理をしたつもりはなかった。

異性と一夜をともにすることも、今更驚くような事じゃなかった。

そのはずだったのに、…

わたしが純情乙女なはずもないし…汚れた身体のはずなのに…強がるつもりは無いけれど…弱いつもりはなかったのに…

「何をやってもダメなのかしら…何だかバカみたいね…わたし…」

そんな言葉が不意にこぼれ落ちた。

不思議と身体が軽くなるのを感じながら、溜め息にも似た深呼吸を一つ、天井に向かって息を吹き掛けてやった。

コンコン

静かな病室にドアをノックする音が響いた。

「…は…い…」

「荒川さん…体調はいかがですか?」

わたしと同じぐらい年頃の女性の看護師が入ってきた。

その後ろには、白髪の年老いた医師が立っていた。

二人は、ゆっくりと病室入り、わたしの診察をすると、点滴が終わるまで安静にしているように言って、部屋を出ていった。

また、わたしは一人きりになった。

わたしは点滴が静かに一滴一滴と落ちていく様子を、じっと眺めていた。

バン

「先輩!」

「早苗?!」

「先輩!先輩!…先輩…」

突然、早苗が病室を訪れてきた。

彼女は、走り出しそうな素振りを見せながらも、必死になってゆっくり歩いていた。

上半身と下半身の動きがおかしな事になっていた。

「早苗…動きが…」

つい、わたしは小さく笑ってしまった。

「先輩…笑っ…っていうか、心配したんですから、人の気持ちも知らないで、笑わないで下さい!」

「ごめんなさい…でも、動きが変だから、片足スリッパだし」

「へっ、あっ、やだ…」

早苗の左足には、怪獣の足を形採ったモフモフのスリッパがあった。

彼女は相当慌てて此処まで来てくれたのだろう。

申し訳ない気持ちと同時に嬉しさで心がけいっぱいになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。