六十六話 信号
明けましておめでとうございます
なんとか六十六話までたどり着きました。
一ヶ月近く休んでしまいましてすいませんでした。
ちょっと心が疲弊すると色々と投げ出したくなったりして…三週間ほど完全に筆が止まってしまいました。
アーサの恋の行方は未だに未定の部分がありますが、登場人物たちが勝手に話を進めてくれそうなので、不定期ではありますが、最期まで書けるように頑張りたいなと思っております
お付き合いのほどよろしくお願いいたします
彼の言葉に言葉以上の何かを感じた。
私は弱い肯定をするより他に選択肢がなかった。
「はい…」
「僕は卑怯な男なんです」
突然、彼の口からそんな言葉が流れ出す。
「すぐ緊張するくせに、見栄っ張りで強欲で、言い訳好きで…自分の保身しか考えてないんです…」
私は無言まま、視線だけを彼に向けた。
ハンドルを握っている彼の指先がピクリと跳ねた
彼が今言った言葉の通りなら、言い訳にしか聞こえない、その言葉に私は違和感を感じた。
彼が本当に見栄っ張りで保身に走るなら、その言葉は今言う言葉でないだろうと思った。
「突然何?付き合ってもいないのに別れ話かしら?」
自分でも驚くほど、自然に冷たい言葉が出ていた。
すると、目の前の信号が青色に変わり、彼の左手がシフトレバーに伸びる。
彼の指先が私の左足を掠めるようにして、ハンドルへと帰って行く。
「そうじゃなくて…」
「じゃあ!何が言いたいわけ?まさか、キスの一つや二つで彼女にでもしたつもり?」
「………」
「はっきりしなさいよ!」
「どうしようもなく貴女が好きなんです…」
一瞬、自分の全てが止まってしまいそうになった。
私は聞き流すべきか、受け入れるべきか、何より彼の言葉の意図するところが不鮮明ですぐには言葉が出てこなかった。
「…突然なによ…意味わからないわ…」
「僕もよくわかりません…傷つけたくない…傷つきたくない…なのに…」
急に車が道路左脇の路肩に停まった。
「キャッ!ちょっと…なに?」
「ごめんなさい…降りていただけますか?」
「は?貴方何言っているの?」
「僕、貴女に酷いことをしそうなんです…」
「ちょっと、落ち着きなさいよ!」
「降りてください」
「嫌です」
「どうして?僕は貴方に…」
「本当に酷いことをする人なら、車を停めたりしないわ…だいたいこんな街外れで下ろされても、こっちが困るわ」
「でも」
「私から貴方の車に乗ったのよ…多少の事は覚悟の上よ…って、フッ、AV 女優もなめられたものね…なんだったらスーパーやめてホテルでもいいのよ」
そう言いながら、私の心臓はあり得ない速さで脈を打っていた。




