六十二話 シャボン玉
早苗の仕草がとても可愛らしかった。
ため息も…空を見上げる瞳も、自信がないのか時々肩をおとす姿さえも…
後ろからそっと抱き締めたい程だった。
彼女がまた空へ向かって息を吹きかける。
煙草をふかすようにも見えなくもないが…どちらかというと、もっと子供っぽい仕草に見えた。
「星宮さん…ちょっと待ってて…」
私は彼女のあどけなく少女のようなその姿からあることを思い付いた。
少し子供っぽいかも知れないけれども、きっと彼女がすれば、可愛らしく見えるだろうし、何よりちょっとした息抜きになるだろうと思った。
私は控え室に向かおうとして、ふと思い付いたことを彼女に言ってみた。
「次の撮影は星宮さんも出るの?」
「えぇ…」
「それじゃあ?もしかして水着とか着てる?」
「まぁ、一応は…」
「じゃ、私と一緒だね」
「?」
彼女は不思議そうな顔で私を見ていた。
私は控え室のテーブルの上に置いてある飲みかけのアイスコーヒーに手を伸ばした。
透明なプラスチックの容器中には水と底に薄いダークブラウンの液体が残っている。
淡い乳白色のストローの先は楕円形の形に少し潰れていた。
それを給湯室かわりに使っている、近くの洗面所に持っていくと、手早く洗う。
自分のバックの中からソーイングセットのハサミを取りだしストローの先を切った。
「はい!」
「はい?」
私はプラスチックの容器を彼女に渡すとストローの先を彼女の胸元に向けて息を吹きかけた。
ストローの先から七色に輝くシャボン玉があらわれると、早苗の胸元に吸い寄せられるようにして弾けた。




