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五十三話 とまどい
今、目の前の現実が…夢か幻か…はたまた空想か妄想か仮想世界か…
私は信じられなかった。
だって…私の望むものをいつも目前で忽然と消えるから…
この間だって、パンプスを買いに靴屋に行った…ラウンドトウのシンプルで履きやすそうなパンプスを見つけた。
試し履きしようと思ったら、私のサイズだけなかった…
……………いつも…
今…私の手の中にあるものは…全ていちばん欲しかったものじゃない…
AVだって…きちんと就職したら辞めようと思っていたし…
今のバイトだって…たまたまだし…
きっと、これは何かの罠か、悪戯の類いにしか…思えなくって…
そして、気がついたら…いつも心の何処かが痛くって…もう、傷つきたくないし、傷つけたくない…
これも、手にいれても…本当のことかもしれないけど…
もし、本物だったとしても、本物ならなおさら長続きしないだろうし…
まやかしかもしれないし…その可能性の方が大きい気がした。
「ありがとう」
私はそんな言葉を彼に言っていた。




