三十四話 憧れ
「まったく早苗には敵わないわ♪」
「そうですよ♪こう見えて私、天下無敵なんですから♪」
「ぷっ、どっからそんな自信がでるわけ?」
「笑わないで下さいよ♪結構本気なんですから…」
「さっきまであんなに不安がってたのに…?」
「なんとでも言ってください♪先輩の前なら私、無敵ですから♪」
「えっ?それって…私が弱すぎるとか…」
「違います!先輩は私のエネルギー源ですから♪」
「なにそれ?早苗…まさか…貴女、吸血鬼だったの?」
「実はそうなんです…夜な夜なうら若き乙女の血を…って、何を言わせるんですか!」
「だって…エネルギー源って、…普通…言わないじゃない…私は何時から、栄養ドリンクになった訳…」「すいません…そういうつもりで言ったんじゃないです…でも、先輩のお陰で生きる気力が湧いたのは事実なんです…」
「えっ…」
「…話しちゃいますけど…私が先輩の事を知ったのは五年ほど前なんです…」
「そう…」
五年前と言えば私が写真集を出した時期だ。
私は静かに早苗の声に耳を傾けた。
「あの頃、私…全てが嫌になりかけてて…彼と別れたり…勤め先が潰れたり…借金もあって…」
「………」
「もう人生どうなってもいいやって…投げぎみになってたんです…」
「………」
「でも…借金は返そうって…実入りの多い仕事探してたんです…」
「………」
「キャバとかソープとか…色々考えたんです…でも…いざとなると…そんなとき、ふと立ち寄った本屋さんで先輩の写真集を見つけたんです…何だか…自然とてにとってたんです…」
「私の写真集…」
「はい♪本の中の先輩見てたら…ちょっと羨ましくなって…」
「羨ましい?」
「はい、すごく元気でにこやかで…お転婆なのに…大人っぽくて…素敵でした…それなのに私は何をやっているんだろうって…」
「そう…」
「ちょっとしたジェラシーを覚えました…でも…それはすぐに興味に変わっていきました…仕事を探しているとき、偶然…先輩の本業を知ったんです…どうしてあんな素敵な笑顔ができるのかなって…私も先輩みたいに笑顔になりたくて…」
「そうだったの…で、私にあってがっかりした…?」
「がっかり何てそんな…一緒にお仕事が出来るようになって、どきどき、ご飯とか一緒に食べて…先輩の事、見るたびに、好きって言うか…憧れるようになったんです」
「…ありがと…」
私は何て返したらいいかわらずに、ただ、短くお礼の言葉を言うことしか出来なかった。




