二十五話 月明かり
私は一人買い物かご片手にスーパーの中をウロウロしていた…
なにか買うものがあったと思ったのだけど…
用もないのに鮮魚売り場の前で足が止まった…
「美味しそう…」
目の前にアジ…サバ…サバよね…表面に斑模様があるし…一人暮らしだと魚なんて滅多に食べないし…料理もしない…
一人だとついめんどう
になって…
「最近料理してないな…」
何となくサバの切身が入った発泡スチロールのトレイを手に取った。
ヒンヤリとした冷たさが心地好い…
二切れ綺麗に並べられたサバの切身…
焼き魚で食べるには私には量が多く感じた。
南蛮漬けにして三四日かけて食べてもよいのだけれど…
一度、サバを揚げなくちゃいけないし…
美味しいけど…
手間がかかる事が煩わしいと感じて容器を元の場所に戻した。
結局、料理をすることを諦めた私はそのまま車に戻った。
「何だか今日は家に帰りたくないなぁ…」
スーパーの屋上駐車場で私は一人お気に入りの音楽を聴きながら、フロントガラス越しに微かに湾曲した夜空を見ていた…
月が白く輝いて…とても綺麗だった。
まるで自ら輝いているかのように見える月を見ながら、何となく親近感みたいなものを感じていた。
「あんなに綺麗に輝いてるのに…月は太陽が無くちゃ輝くことが出来ないのよね…私も回りの人から見たら、そうなのかしら…AV女優か…もっと輝きたいなぁ…」
ルームミラーにはスーパーの看板が写っていた。
鳥を彷彿とさせるそのマークは月に向かって羽ばたいている様に見えた。




