二十四話 帰路
車の行き交う音の合間に小鳥のさえずりが聞こえてくる。
私は優しく二回彼女の背中を触れる様に叩いた。
「もうそろそろ夕飯時よ、早苗戻りましょ?」
「はい…先輩…また、来てくださいね」
「そうね…バイトの帰りにでも寄らせてもらうわ」
「えっ…先輩バイトって…仕事辞めたんですか?」
「辞めてないわよ…売れないだけよ…」
「あっ、えっ…ご免なさい…」
「何も貴方が謝る事じゃないわよ…ほら、彼も待ってるわよ…」
二人で店に戻ると、三人の男たちは、それぞれに複雑な表情を浮かべながら私たちを待っていた。
私は早苗を店長に預けると…食事を奢ってくれた彼にお礼を言って…早苗とのやり取りの直後と言うこともあり、そのまま帰宅しようと車に乗り込んだ。
一人、車を走らせアパートに向かった。
ラジオからはアイドルのくだらない話が聞こえてくる…
いつもは、このくだらなさが面白くてつい笑ってしまうのだけれど…今日は、何だか…どうでもよく思えてきた。
「彼氏……か…」
男との経験値なら、それなりにあるけど…彼氏となると話は別だった…
彼氏…好きな異性…愛する人…パートナー…つがい…
色んな言葉が頭の中で浮かんでは消えて…
言葉…か…
便利なようで、案外不便なものよね…言葉って…
お互いの気持ちを確かめ会ったり、傷つけたり…
今日は楽しかったけど…なんだろう?…何だか寂しい…
私は何となく深夜まで営業しているスーパーに向かう事にした。




