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二十二話 ガラス越しに
抱き合う美女の姿の前に店長はただ呆然と見ていることしかできなかった…
美しすぎて見いってるのもあるが、二人から感じるオーラみたいなものに圧されいる一面もあった。
自分の嫁をアーサにとられてしまうのではないかと、思ってしまうほど二人の抱擁は単なるスキンシップの域を脱した感があった。
「…」
声もなくただガラス越しに二人の姿を見ている店長の姿は、はたから見たらストーカーの様に見えなくもなかった。
「キャ!」
私は小さな悲鳴をあげてしまった。
早苗の向こう側に困惑と怒りが入り交じったような険しい表情を浮かべた大男が此方をじっと見ていた。
「先輩?」
早苗が私の小さな悲鳴に疑問を感じて私の顔を覗き込んできた。
ガラス越しの大男の顔が驚愕の色に染まっていく…
私は背中になんとも言えない悪寒のようなものを感じて体が微かに震えた。
必死に声を絞り出した。
「早苗!後ろ!」
「えっ?」
彼女は電動モーターでも使っているのかしら?と思えてくるくらい頭を回転させ一瞬の静止の後、今度はゼンマイでも使っているのかしら?と思うくらいぎこちなく顔を戻してきた。
「あれが…婚約者です」
奈落の底から響いて来たような…彼女の重く響く声で私の耳に届いてきた。




