十七話 高揚感
私は自分の気持ちを一通り考えてから、早苗が置いていった、ポイントカードをそっとポケットの中にしまった…
別にこれから彼を誘うわけでもなく、別の誰かと行くというわけでもなく、ただ何となく…久しぶりにあった友人から貰ったプレゼントがうれしかった。
何だか気弱な私の事を見透かしたような、早苗の言動や行動に元気を貰った気がした。
私…また、普通に男の人とお付き合い出来るようになるのかな…?
できたら、私の体じゃなくて、私の心を抱いてくれるような、そんな異性がいたらいいのに…
ふと、そんな事を思いながら私は彼の横顔を見ようと顔をあげた。
彼は…窓の外を見ている。
どうやら、窓ガラスの向こう側に停まっている車を見ているようだった。
「車…気になるの?」
自然と言葉が出ていた。
「何となくミニって車が気になって…つい、見ちゃうんですよ…」
彼は窓の方を見ながら呟く様な声でこたえてくれた。
「近くで見ても良いわよ…私のだし…」
「良いんですか!…あっ、でも…やめておきます…」
「どうして?」
「ここから見せてもらえればそれだけで十分です」
「良いのよ…さっき貴方の頭をしっかり見せてもらったから…」
「…いや、それとこれとは…別の話…」
「別の話ね…じゃ…私が貴方の車を見ていいかしら?…それなら、それで別の話でしょ?」
「えっ、あっまぁ…ただ古いだけの車ですよ…」
「古くても何でもいいじゃない、何だか可愛らしいし…見ちゃダメ?」
「まぁ…良いですけど…」
そう彼が言いかけた時には、私は席を立って出口の方へと歩き出していた。
私は久しぶりに高揚感と言うか、ワクワクした気持ちを感じていた。
なんだろうこの感じ…ジェットコースターの始まり…いや、それよりミステリアスな感じ…
あっ!映画のナイト上映会のような感じ…
封切り前の先行ロードショーのあのワクワク感にとても良くにていた。




