十三話 ポイントカード
「わっ!先輩大胆…」
厨房からアーサ達の様子を伺う三人の男女の姿があった。
「店長提案があります!」
「何だ?シフトの変更は却下するぞ!」
「シフトではないです…休みです」
「なぬ!バイトAのくせして生意気だぞ!」
「俺…バイトAじゃないです!俺には…」
「黙れ!不愉快だ!」
「そんな!DVDあげたじゃないですか!返して下さいよ…あれ元々俺のですよ!」
「ダメだダメだ!俺の知美をおかずに深夜の自家発電とかけしからん!」
「別に私は良いけど…」
「えっ?」
「へっ?」
「だって、二人して私のDVDすでに何回も見たんでしょ?」
「まぁ…」
「はぁ…」
「しかも、お買い上げな訳だから…そのお金の一部が私の元に来てる訳で…とどのつまりお買い上げありがとうございましたって言ったら…変?」
「変!」
「だいたい知美は何で脱い」
「まった!そこは聞かない約束でしょ!」
「それはそうなんだが…」
「時期が来たら話すから…」
「おっおう…わかった…」
「それにしても先輩凄い!通り沿いの目立つ席で…ハレンチにフレンチな接吻なんて…」
「してませんよ!」
「えっ?」
「ほら…」
バイトAの指す方に防犯カメラのモニターがあった。
モニターを良く見てみると唇と唇の間にアーサの指と思われるものが写っていた。
アーサの艶のある唇が彼の唇の前で半ばお預け状態になっていた。
「うわっ!生殺しだ!」
「店長ヤバイっすよ!」
「全く迷惑というか?羨ましいと言うか?」
「淳史さん?今なんと?」
「だから迷惑…」
「その後…」
「うら…や…ま」
「ほう…私の目の前でそれいっちゃうんだ…」
「誤解だよ…誤解」
「二階でも誤解でも、デリカシー無さすぎ…もう一緒に寝てあげない」
「と、知美…」
「俺からしたら職場でイチャイチャしているお二人がデリカシー無さすぎだと…」
「あっ、店長にそんな事言っていいのかな?賄い飯のハンバーグの目玉焼きが無くなっても良いのかな?」
「それパワハラじゃないですか!」
「休みばかり欲しがるバイトAにはそのぐらいしても、バチは当たんない…」
「そうそう…店長休みですよ!休み!臨時休業しましょう!あのままじゃお客様の精神衛生的に良くないですよ…」
「まぁ、刺激が強いわな…」
「でしょ…ここはひとまず…あの二人以外客がいない今こそ!臨時休業で」
「ちょっと待って…たしか私の財布の中に…あった」
「知美…制服の中に財布入れちゃダメだって…」
「細かい事は良いから…淳史さんこれ先輩にあげて良いでしょ…」
そう言って早苗はホテルのポイントカードを二人に見せた。
ポイントは満タンで…要するに一泊無料券状態だった。
「知美…それはちょっと気が早くないか…」
「店長…二人でそんなに行ってたんですね…」
「それを今言うな…」
「先輩があんなに熱い視線で彼を見ているんですよ…きっと仲直りができたでしょうからここは一気に二人の世界で…ねっ!」
「ねっ!て…そんなに上手くいく…まぁ、いいか…このまま居られても…色々ありそうだし…わかった…知美に任せた!」
「じゃ!行ってきます」
早苗は二人の方へと歩き出した。




