十一話 食事の後に
私はやっとの思いでイチゴパフェを食べ終えた。
そして、その時には彼との距離が自然と近いものになっていた。
チラリと彼の横顔が見える…
私は改めて彼の存在を認識し始めていた。
そして同時に、少しずつ大きくなっていく自分の鼓動に違和感を感じ始めていた。
考えてみれば、いくら逃げられないようにといっても、初対面の異性の真横に座っているのだから、緊張しない方がおかしい…
でも、最初は勢いで座ったとはいえ、緊張のきの字も感じなかったのに…
短い時間とはいえ、少しだけ打ち解け、余裕が生まれたせいだろうか…?
出来るだけ彼の存在を意識しない方向にもっていこうと、私は窓の外に眼をやった。
そこには、私の車とそれより一回り小さい車があった。
二台とも赤色、屋根の所だけ白色なのも一緒だった。
形が違う二台の車…同じ様に後ろがわを此方に向けて停まっていた。
良く見るとMINIというバッチが目に入ってきた。
「…ミニ…か…同じ名前なんだ…私のは…かなり大きく見えるわね…」
私はガラス越しの車を見ながら、小さな声を漏らした。
すると、突然私の視界のほぼ全てを占領する様に彼の顔が現れた。
「あのミニ、アーサさんの?」
「そうよって、顔近いから…」
「すいません…」
そう言いながら彼は私から少し距離を取ろうと、顔を此方に向けたまま、体を退けぞって…。
「あっ!」
ドン!店内に大きな音が響いた。
「ぶない…」
私が注意しようとしたとき、彼の後頭部はガラスに激突してしまっていた。




