ちゅーはできないよ(2)
きっと、ティアラにも帰りたい理由があって―――
それは、多分すごく大切なことなんだろう。
でなければ、異世界へ転移してわずか10日であれほどレベルを上げることはできない。俺だって一応頑張ってレベル上げしてたけど10くらいだったし。ティアラは40以上だ。どんなペースでレベルを上げていたんだろうか。
―――状態異常回復ポーションを、ドロップさせに行く時間はない。最寄りのダンジョン『湖の王』のボスを倒せば、ポーションが七割ほどの確率でドロップするらしい。
しかし、壁抜けを連続で使用し、最高のルートを選び、最速でボスを撃破したとしても、恐らく1時間は掛かる。もしも、それでポーションをドロップさせられなかったら……?
もちろん、手違いでやって来た俺と違って、ティアラはゲームテスターだ。この異世界で体力ゲージを失ったからと言って、命まで奪われるとは限らない。
だが、そうならないという確証がない。
なので、行くしかないのだ。
最終ダンジョンへ。
「ティアラ……俺に任せて、少し寝ておくんだ。俺が―――この世界を終わらせて来る……」
自分で言ってて、なんか恥ずかしいと思った。
なんだこの世界を終わらせて来るって。24歳が言って良いセリフじゃない。いや別にふざけてるワケじゃないんだけど。
―――俺は、綺羅羅ちゃんと再会するため。
―――ティアラは……分からないが、なんか重要な用事のため。
その思い、俺が背負ってみせよう!
気持ち良さそうな表情(毒のため)で眠るティアラの顔が、どうしてか綺羅羅ちゃんの表情と重なった。この顔は―――先日、リリースされたシングルをテレビで披露した際のものに似ているような……
いやいや、あまりにも推しアイドルが恋しいからって、ティアラと姿を重ねてしまうとは。ティアラを最寄りのNPC宿へ送り、最終ダンジョンへ早いところ行こう。




