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スキルなどなど面倒なので《壁抜け》で異世界攻略してみます!  作者: にっこりバイアス
第3章 ストーリー・チャート使ってみよう
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ポップアップの内容、書き換えちゃおう(2)

 しかし―――俺たちの意見が一致したところで、ティアラの身体が動かなければ意味がない。というかどうしようもない。


 そもそも万全の状態でも、この遥か上空まで届くような塔を攻略―――そして何処にいるのかも分からないようなモンスターから『ストーリー・チャート』をドロップさせるのは、途方も無く難しいだろう。


 せめて、ティアラの魔法ゲージを回復させるためのポーションがあれば、斧兵・弓兵との戦い以前の状態まで巻き戻すことができるのだが―――


 ああ、もう。頭上に浮かんでいるポップアップ『クリア! 斧と弓の猛攻』との表示と祝福のサウンドエフェクトがうるさい! ちょっと静かにしてくれないか……


 待った。


 待った待った!


 ……ものすごいアイデアを思いついてしまったかもしれない。確証はないが……


 今まで、俺の前に出てきたポップアップ表示……そこに書かれていた言葉は、基本『クリア! (ダンジョン名)』みたいな感じだった。


 そして、それは今も同じ。つまり、何らかのダンジョンやミッションなどをクリアすると、この表示が出る。さらに、このポップアップは少なくとも10分ほどはその場で表示され続ける。


 俺たちが斧兵、弓兵を撃破してから経過した時間は、およそ―――


 まだ間に合うっ!



「ティアラっ! 君、ペン持ってないか? できるだけ太いものが好ましい!」


「な、何ですか突然……私のアイテムストレージから探してみてください」



 そう言うと、ティアラは自身のストレージ内アイテムたちを、一斉顕現させた。


 どしん、ずどん、ことん……と多様な音を立てて石畳にぶつかるアイテムたち。異性の荷物を漁るのは、なんだか悪い……が、そんなことを言ってはいられない。


 もしかすると、このだだっ広いダンジョンを真面目に攻略せずとも、お目当てのアイテムにありつくことができるかもしれないのだから。



「悪い、ティアラちょっとここに座っていてくれ」



 顕現されたアイテムの中には、小さな椅子もあった。多分、室内用として使用されるものだろう。



「おじさん、何をするつもりなんですか……」


「ええと、これでもない……あった!」



 荷物の端の方に、いかにもレトロな見た目のペンが。かなり高級そうだが、これをお借りしよう。


 事態をまったく理解できない、といった様子のティアラを今は差し置いてポップアップのもとへ。そして、さっき弓兵からドロップしたアイテム『守り人の弓』と『矢』をポップアップ目掛け構える。


 『クリア! 斧と弓の兵士』と書かれたポップアップは、頭上30メートルほどの位置で未だぷかぷかと浮かんでいる。しかし、これが消えてしまうのも時間の問題だろう。


 ぎしぎしという音を立てて軋む弓を、これでもかと引き付け、鋼鉄の矢を放った。


 小気味良い音を立てて風を切った矢が、見事ポップアップに命中。ぐらぐらと揺れてから、真下に落下して来た。


 すかさず、右手の弓を借りたペンに持ち変える。


 ごとんという音を立て、石畳に落下したポップアップ。まさか、これに当たり判定があったとは……やってみるもんだ。

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