敵をバグらせよう(3)
塔の内部へと入ると、そこにあったのは吹き抜け式の長い長い階段だった。
高さが底抜けだったのもあって、エレベーター的なものが備えられていることを予想していたが、現実は甘くないらしい。
だが、これだけの壁があれば引き付けて壁抜けすることは容易! おいで斧兵! 遊んであげるわ(綺羅羅ちゃんのライブ前掛け声より引用)。
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ふぅ、と一つ息を吐くと弓兵による次の攻撃が襲ってくる。
レベル差はそれほどでもないんですが―――あの『在庫無限の矢』がかなり厄介ですね……おまけに、NPCの弓兵はスタミナ切れの概念が無い……私、このままだとかなりダルい結末になるのではないでしょうか?
攻撃自体は単調。避けるのにも、十分なマージンを取ることができるレベルですが、いかんせんその量が凄まじい。
おじさんに何らかのバグ技でも使ってもらって、有利に進めたいところでしたが―――彼はバグアイテムの火炎放射器を失ったようで、ほぼ戦力になりません。
こんなことなら『大丈夫、俺にはバグ武器あるから市場での買い物は不要さ』と調子に乗っていたおじさんに小型の武器でも持たせておくんでしたね……
おまけに、何故か突然走り出し、一人で先にダンジョンの中へ……斧兵が追いかけていきましたが、大丈夫なのでしょうか。彼が塔に入ってから早五分―――まさか、中で斧の餌食になってないでしょうね……?
***
「おい……おい! ティアラ聞いてる!?」
「ぎゃあああああああああああああ!」
「失礼だぞ人の顔見るなり叫ぶなんて」
後ろを振り返ったティアラは、俺を見て叫んだ。
「いや急に話しかけられたら驚きますって!」
「とうとう俺が裸であることを指摘しなくなったな?」
「慣れとは怖いですね……」
「いいかティアラ? 斧兵はダンジョンの奥深くに置いて来た。多分、俺を追って来るまでには時間が掛かると思う―――俺が弓兵のタゲ取るから、その間に回復してくれ」
ティアラは、俺が壁抜けで斧兵を撒いたことを言わずとも理解したようだった。
本当なら、俺がティアラを抱えて壁抜けの一つや二つすれば、ダンジョン内へ飛び込みたいところだ。しかし、壁抜けのたびに毎度装備が全部外されてしまうデメリットの存在から、抱えたティアラも『装備品』と見なされ、外に置き去りにされる可能性が高い。ここはやはり、先ほどの作戦で行くしかない。
「ティアラ、俺の作戦はこうしてああして……」




