敵をバグらせよう(4)
ティアラがポーションにより、体力ゲージをじわじわと回復している間、俺は弓兵の猛攻から逃げ回るのが役目だ。
多分、もう間もなく斧兵さんが『おっす〜』と帰ってくる。ティアラの回復にはあと30秒近く掛かるので、その時間を俺が埋めて―――
「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
轟音が響いた―――と言うよりは、怒りの雄叫びがこだました、と言った方が正しい。
斧兵、あまりにも早い帰還である。早いよ、ちょっと早すぎるよ。
ええい。上手くいくか分からないがやってみるしかない。斧兵を―――バグらせる。
「ティアラ〜! もう体力良い感じか〜?」
「半分までは回復しました〜! 二発くらいはもらっても問題無いですよ〜!」
「じゃあ、作戦通りに!」
俺は、塔の入り口付近でアックスを構える斧兵のもとまで駆け抜け、通常ならあり得ない距離まで接近した。というか、斧兵の装備した鎧にしがみつき、その状態で壁抜け発動条件のスクワット開始。
「うおおおおおおおおおおおおお!」
NPCの斧兵とて、裸の男にしがみつかれるのはなんか嫌だったのか、その場でじたばた暴れ出した―――斧に翡翠色のエフェクトを引っ提げて。
出ました、突き攻撃。さっきこれを食らった俺は思った。
めちゃくちゃに接近していれば、この攻撃食らわないんじゃない? と。
おまけに、斧兵は今までこんな状況下(敵にしがみ付かれる)に置かれたことが無かったのか、誤作動したかのようにアックスを取り落とした。やっぱりだ、NPCの行動パターンは単調!
ミアの時にも思ったが、彼らNPCの行動パターンは事前に定められているのだろう。
同じセリフを繰り返したり、こちらの質問に答えなかったり―――ゲームテスターとしてティアラが転移させられただけのことはあって、この異世界は抜けが多い。
そんな俺目掛けて、やっぱり単調に動くNPCこと弓兵がきりきりと矢を引き切る。さっき、ティアラを回復させる際の時間稼ぎとしてタゲを取っておいたままだからだ。
―――おいおい、君の友人の斧兵はまだ俺の手の中だぜ? いいのかい? それを放って。斧兵も巻き添えだぜ?
と、弓兵の隣には水色のエネルギー弾を杖の先にくっつけたティアラの姿が。
そして、ついに弓兵とティアラが同時に発射。翡翠色に輝く矢と、水色のおもちみたいなエネルギー弾が俺と斧兵のもとへ真っ直ぐに放たれた。
評価よろちく〜♡




