敵をバグらせよう(2)
高くそびえる塔の正面庭で、綺羅羅ちゃん12thシングルの第二コールを熱唱しつつ、斧兵から全力で逃げるのは俺だ。
ついさっき、ティアラが放った魔法攻撃により、しばしのスタン状態を被ったらしい斧兵は、状態異常から回復しても動きがグズグズだった。
その隙を突いて、俺はダンジョン内へと走る―――壁抜けをするために必要な材料『壁』と対面するために。
ついさっき俺が思いついた案を復習しよう。
まず、斧兵の繰り出した翡翠色の突き攻撃。これはかなり強力で、俺の生命を絶えさせるに十分な威力を持っていた(というか、俺とのレベル差が圧倒的すぎるがために生まれた破壊力なのかもしれない)。
その前に披露してきた金色のエフェクトを持つ振りかぶりからの叩き付け攻撃。こちらは、一度しか使用されなかったが、広範囲の地面を抉り取る―――いわゆる範囲攻撃だった。
この二つの攻撃パターンにおける明確な違いとして、使用された場所、ということが言える。
前者は、俺とかなり接近した状況において使用された。もっと言えば、金色のエフェクトを持つ突撃範囲攻撃のあとで用いられたものだ。
対して後者は、距離を詰めたあとで使用。やはり、違いは俺との距離であると言えるだろう。こちらは、かなり隙が大きいらしく、超近距離戦でしか使用されていない―――今のところ。
俺の狙いとしては、隙だらけの近距離攻撃―――翡翠色の突き攻撃を誘発したい。そして、上手いことティアラに斧兵を狙ってもらい、撃破したいのだ。
だが、そのためにはまず戦況を整えておきたい。斧兵、弓兵を分断し、俺とティアラの体力ゲージを回復させておきたい……
単調な動きしかしてこないこの斧兵も、NPCのようなものだと考えていいのかもしれない。現に、ダンジョン入り口まであと少しに差し掛かった俺の背中を、疑うことなく律儀に追いかけてくるのだから。
評価してねーっ♡ んみゅーん♡




