斧と弓の戦士たち(1)
俺が、ほんの一瞬だけ隣にいる青い髪の少女のことで、思考を放った、その時。
目の前にある塔の入り口―――あまりにも重厚で、高さが10メートル近くもある―――が、ぎしぎし不愉快な音を立てて開き始めた。
何年も開けられていないのか、ほんの少し隙間ができただけで、相当な量の埃が立っているのが遠くからでも分かる。
ティアラは、咄嗟に右手で杖を構えた。何らかの魔法を発動するつもりなのかもしれない―――と、なるとこの後戦闘が始まるのでは?
俺もアイテムストレージを漁り、すっかり手に馴染むようになった火炎放射器を取り出した―――取り出したのだが、なんと火炎放射器はボロボロの鉄の塊へとフォルムチェンジを果たしていた。
「はぁーっ!? さっきまでは使えてたのに何で!?」
手の中で粉々に砕け散った『火炎放射器(無限燃料)』。理由はまるで分からないが、俺の主力武器とお別れの時が来たらしい。
仕方が無いので、どうせ脱げてしまうスケルトン・アーマーを自ら脱ぎ捨てアイテムストレージへ。本当はやりたくないが(裸になってしまうので)、壁抜けを使うしかない。
「おじさん、来ましたよモンスターが」
目を離した隙に、塔の入り口は完全に開け放たれていた。
さっきまではいなかったはずの、体長5メートルにも達しようか、という鎧を身に着けたモンスターが二人。片方はアックスを、もう片方は弓を手にしている。
いやいや……確かに、動物型のモンスターは出てこないで欲しいと願ったよ? でもさ、別にここまでのモンスターは求めてないから。スライムとかで良かったのにさ。
アックスを手にした方のモンスターが、武器を振り回して何らかのモーションを始めた。多分、攻撃の前動作のようなものかもしれない。
弓を手にしている方も、輝く赤色の矢を弦に引っ掛け、真っ直ぐにこちら目掛けて狙いを定めている。
「おじさん、これは想像以上のが来てしまいましたね」
「全くだな。おじさん、怖すぎて漏らしそうだよ」
「いいですか? 私は弓の方と戦いますから、おじさんはアックスの方をお願いします。一度タゲを取ったら、しばらくはそのターゲットしか攻撃しないので、実質シングル戦闘です」
「飲み込み早いな……わ、分かった。おじさん、致命傷は与えられないと思うけど、ひとまずは逃げ回ってみるよ」




