相部屋withてぃあら(1)
意味が分からない。一体どういうことだね君!
俺は、退散した女神の面影を思い出しながら、ともに宿屋のロビーへ戻ったティアラへ、頬膨らませながらのジト目攻撃を披露。
「だって、私一人じゃ攻略できるわけがないでしょうこんなへんてこりんな異世界」
「へんてこりんなんて久々に聞いたぞ……いやお兄さんが怒っているのはそこじゃなくてだな……」
「どこですか」
そこから先を話そうとしたのだが、どうにも力が出ない。お説教は明日の自分に任せるとして、今日はもう寝ようか……
しかし、目の前のティアラはなんだか不敵な笑みを浮かべている。一体どうしたことか。こんな場面でニヤニヤしやがって、これじゃあ不敵な笑みというより不適な笑みだ。
俺は、借りた部屋へ向かうべく階段へと歩みを進めつつ、後ろ姿で『ティアラよ、明日話そう。今日は寝る』と伝えた。
しかし、意図が上手く伝わらなかったのか、ティアラは『なに? 何ですか?』と追いかけてくる。
俺の部屋は五階にある。そこまでは階段を使う以外に方法がないので、よたよたと軽い段差を上がっていくしかない。
「お、おいティアラよ。俺は眠るぞ。君のいたずらを叱るのは明日にするから、早く部屋へ行って君も休むんだ……」
「ええ。そうするつもりですよ」
三階。
「では、何故着いてくるんだ」
「? 何故、とは?」
四階。
「いやいや、君も部屋を借りているだろ?」
「当たり前でしょう」
五階。
「にしても、この階段の昇降はなかなか体力を奪われるな」
「そうですね……疲れているので、なおさらでしょうね」
部屋の目の前。ポケットに入れたはずの鍵が見つからずにもたつく俺。
何故か、ポケットから鍵を取り出し、開錠するティアラ。
ここで、初めて相部屋であることを知った、俺。
ティアラよ。君はどうして一部屋しか部屋を取らなかったのだ。




