なんだかおかしいぞ(1)
俺の異世界転移がおかしすぎる件について。
なんかラノベのタイトルみたいになってしまったが、別にウケを狙ったわけではない。
「俺、女神も『ジョブ選択ポップアップ』も出てきてないぞ」
「ええ? ……じゃあ、まさか貴方もNPC的存在なのですか? ……はっ。ということは、先日の悪しき山賊NPCたちと同じで、私をお世辞で上手いこと丸め込んで、アイテムストレージを漁ってしまおう、という魂胆なのですね!? とあらば、貴方と話すことはありません! 帰った帰った!」
何じゃそりゃ。帰った帰った、と言われても。帰りたいのは山々なんだが帰れんから、こうして話し合っていたじゃありませんか。うわぁん。
しかし、山賊のNPCとかいるのか。とんでもない目にあっているなこの子。アイテムストレージを漁られた、とかスゴいかわいそうだ。俺が遭遇したNPCは、運良くイイ奴だったから良かったものの、ティアラの言う山賊みたいな奴に出会っていたらヤバかったろうな。それこそ、身ぐるみ剥がされ装備を奪われ、裸に……
いや、俺は壁抜けするから結局なるか。裸に。
「ま、待ってくれ。俺はNPCじゃないってば……さっき話しただろ? 好きな料理は焼き鳥だし、好きな焼酎は芋だって。こっちの世界に鳥は存在しないし……ああドラゴンはいるけど。それに、焼酎なんて見たこともないだろ?」
「……だとしたら一体、貴方というおじさんは何者なのですか。それに、まだダンジョン『地下』で、どのようにしてボスを撃破したのか、治癒アイテムを手に入れたのか聞いていませんよ! 隠そうとするなんて怪しいです」
「隠そうとしてないし! それ話そうと思ってたよ? 思ってたけど宿屋に着くなり、飯を爆食いし始めて聞く耳持たなかったのはそっちだべゃ……痛ぇ舌噛んだじゃないか!」
「へへーんだ! ザマーみろ!」
「急にクソ野郎になるのやめてよ! 心痛いから!」
ティアラがテーブルにフォークとスプーンを叩きつけた。ごいぃんという音が鳴り、フォークが半分に。どんなパワーだこの人魔法使いとかじゃないのか見た目的に。魔法使いは非力だよね大体。バーサーク魔法使い? 前線に出ちゃうタイプの魔法使いなのか?
「お、おい落ち着いてくれティアラ。過去の嫌すぎる体験を思い出してしまったのは、同情するが……」
その時だった。
宿屋のロビーを取り囲むように設置された15の窓から、猛烈な光が降り注いだ。これは……外で何かが起きている?
俺は、スケルトンアーマーのがしゃりという音を立て、立ち上がった。
「じゃあNPCおじさん。とりあえず外見に行きましょうか」
「おじさんじゃねーよ! NPCでもないです!」




