この先の未来
サタンはアキラに奴隷紋をつけられて完全に無力化したのでとりあえずそのへんに転がしておいた。
「助かったよみんな! ありがとうな!」
「マジでなに捕まってんだよ」
「なんか特殊なスキル持ってたんだよな」
「そんなの予想しとけっての」
「確かにな。すまん!」
それから私は双方の紹介をしていく。
強者がたくさん来たことでブラウはご機嫌だ。
そしてなにより。
エンシェントドラゴンのジビエとブラックドラゴンのブラドの出会いは歴史的なものとなった。
ドラゴンはただでさえ珍しい種だ。
冷静に考えて、世界の守護者と呼ばれるジビエと、最強種ブラックドラゴンを従えるユニットなんてめちゃくちゃヤバいな。
「なんと父上はあの黒龍か! それに母上が白龍とはおぬし恵まれておるな」
「いやいや。まさかエンシェントドラゴンに会えるなんて思ってもみませんでしたわ」
「お前たち人前に出るときはまじ気をつけてくれよ。世界がひっくり帰るからな」
やることはたくさんあるな。
ブラドと両親を会わせてやらなきゃな。
ん? でも最大のミッションだったオレの世界を救うはこれでミッションコンプリートなんじゃないか?
でも念のためだな。
せっかく奴隷紋をつけたんだ。
世界をまるごと吹き飛ばすプランについてしっかり聞いておくか。
「おいサタン。お前なんで世界の破壊なんて目論んだんだよ」
「ぐっ。誰がお前らに……ぐわぁ!!!」
「やはり奴隷紋は強力だな。ほんと良くないなこれ」
「悪いが世界の危機だ。答えてもらおうか」
「ぐぐっ。誰がお前らなどにぐわぁっ!」
抵抗虚しくサタンは全てうたったのだった。
ツバメ世界とブラウ世界を吹き飛ばす計画には他にも真の黒幕がいた。
もともと魔王神とかいうのが悪魔や魔王を動かしていたそうだ。
ソイツはかなり昔に神様たちによって追放されて、どこかの狭間に封印された。
堕神を取り戻そうとこれまでに数々の企みが行われてきたというのが真相のようだ。
「魔王神か。また凄そうな名前が出てきたな」
「まあそいつはすでに封印されているようだし、一応はこれで解決したんじゃないのか?」
「おいサタン、お前の仲間は他にもいるのか?」
「いるはずだ。だが我は誰とも群れぬ」
「あとは小物だといいけどな」
ひとまず私の世界とこの世界に目に見える危険はもうない。
あとはルシルさえ守っておけば大丈夫だろう。
「掛川くん、よくやってくれたな」
「あんな見本を預かってるんですから。もっと早く作れればよかったのですが遅くなってすみません」
「間に合ったんだから十分だ」
「よく言うよ。お前に奴隷紋付けられてたら詰みだったぞ」
「いいところで来てくれて助かったよ相棒」
「ばっ、なに恥ずいこといってんだよ」
とにかく目の前の危機は去った。
とりあえずは……お祭りだな!
「バーベキューやるか!」
「「「「おお!」」」」
―――――――
両世界の仲間たちでバーベキューを楽しむ。
ストックは大量にあるけれどこいつらめちゃくちゃ食うからな。
念のためコピーで増やしておこう。
「で、これからはどうするのだウミ」
「まちろん元の世界に帰るよ」
「ブラウ、ウミそのことなんだけど」
「なんだルシル」
「ボクもウミの新天地に行っていいかい?」
「もちろんだ」
「ふむ。ルシルがそういうのならワシは構わんぞ。その力を狙う輩もいるだろうしな」
「ありがとうございます国王!」
「それやめろ。しかしまあつまらなくなるなあ。フローラも泣くぞ」
「まだ言ってんのかよ。さっき紹介しただろ。オレにはもう3人も許婚がいるんだぞ」
「まあ4番目を狙うかは本人に決めさせるさ。その時は頼んだぞ」
「親としてそこは止めておけよ」
と、ユキナたちのほうを見てみるとフローラも加わった4人でなにやら楽しそうに話し込んでいる。
なにやらサチの時を思い出すな。
勝手に話を進めるのはやめてくれよ。
そのあとはみんなと大いに楽しんだ。
久しぶりにワイバーンの空太郎にも乗ったりして楽しい時間を過ごすことができた。
私たちはその後2日をこの世界で過ごしてから元の世界へ帰ったのだった。
―――――――
「ふわーっ!帰ってきたって感じするよなあ」
新天地に戻るとそこでも私の帰還を祝うバーベキューが待っていた。
ハイコボルトのハチ、ハイゴブリンのゴブ、ハイオークのおっくん、ハイオーガの小……川じゃない、なんだっけな……もう小川でいいよな。
みんなそれぞれの種族を従えて嬉しそうに私を迎えてくれた。
この新天地も魔素はもう十分に生き渡っているそうだ。
異世界の転移装置があるので向こうにはいつでも帰ることができる。
彼らを送り返してあげることもできるんだよな。
それは……彼らにとっていいことなのかな。
……なんか違う気がするな。
あっちは人とモンスターが一緒に過ごせる世界ではない。
あくまで交わらないのが前提だった。
人間とクマやライオンのように。
出会えば敵対するんだ。
でも新天地は違う。
彼らの意思を聞いてみるけど、きっと彼らもここを選ぶだろう。
ここで産まれた世代もいるもんな。
うん。少なくともオレはここで生きよう。
そこでふと考える。
9番目はどうしているだろうか。
危機が去ったことは知っているのだろうか。
その時だった。
「カラーーーーーーーン」
あの鐘の音が鳴り響く。
辺りがグレーに染まり私は神さまと対峙していた。




