雇われ救世主の未来
鐘の音が鳴り響き、残響が消える頃にあの方が姿を現した。
「創造神さま!」
『ウミ、おつかれさま』
「ありがとうございます」
『ウミのおかげで目の前の危機は去ったよ。ありがとう』
「よかった! ということは?」
『ミッションは終了だ』
「やったぜ!」
『後は、9番目に任せていい』
「え? もしかして……」
『うん。まだ世界の危機は終わってないんだよ』
「ならオレも手伝いますよ!」
『キミは覚えてないだろうけど前にもこの話はしたんだ。それはできないことだ。彼とキミでは目指す世界の形が違うから』
「どういうことですか? 前にも話した?」
『まあそれはややこしいから置いておこうか。9番目の救世主がもし失敗したりピンチになった時はまたウミの出番になる。それまでは一旦ゆっくり過ごしてくれればいい』
「目指す形が違うというのは?」
『これからまた異世界からの干渉が進む。でもそれは彼の周りで起きるミッションであってウミのミッションではないんだ』
「なんかややこしいルールでもあるんですか?」
『そうでもないけどね。神のやり方というべきかな。彼には彼の、ウミにはウミのやり方と成すべきことがある。私たちは人間の意思を、選択をなにより優先する。彼とウミでは目指す形が違い、それはどちらも正しいんだ。今言えることはウミの周りで起きる危機はウミが取り除いたということ。ウミは成し遂げてくれたということだよ。本当にありがとう』
「よくわからないけど……創造神さまがそう言うのなら」
『うん。それでいい』
「力はお返ししたほうがいいですか?」
『いや、そんなことはしないよ。これからも新天地で楽しく過ごすといい。9番目の危機はキミの世界で起きることだ。その時はキミの考えで力を使いなさい』
神さまには私には及つかない考えがあるのだろう。
なんとなく意味もわかった。
「わかりました。私にはモンスターの仲間が、ファミリーがたくさん出来ました。彼らと暮らしたいと思ってましたから、今の人間界に私の成すべきことがないのならこれからは新天地で生きていこうと思います」
『素晴らしいことだ。新天地は喜びに満ち溢れている。まるで天界のようだよ』
「そんな風に言ってもらえるなんて嬉しいな」
『ウミたちの創る世界を見守っているよ。9番目が危ないときには知らせよう。それまでは安心して新天地で過ごすといい』
「わかりました」
『じゃあまたいつか会うときまで。ウミらしく穏やかに楽しく暮らしておくれ』
「はい。ありがとうございます」
そこで創造神さまとの対話は終わった。
グレーの世界が色付いていく。
再びみんなの時間が動き出し、彼らの笑顔が飛び込んでくる。
人間もモンスターも、分け隔てなく楽しんでいる。
ああ、本当だ。
ここはこんなに笑顔で満ち溢れている。
これが私の目指す形だ。
これ以上も、これ以外もない。
ブラウたちの生き方とも違う。
そして9番目の選択ともきっと違うのだろう。
それを否定するのも確かに違うと理解した。
どちらも正しく。どちらも正解ではない。
そういうことなんだな。
なら決まりだ。
私はこの新天地で生きていこう。
また私の力が必要だと思えばその時に考え、動くべきだと思えば動こう。
うん。
これが私の選ぶ道だ。
みんな付いてきてくれるといいな。
今日もいい天気だ。
みんなと楽しく生きていこう。
完
ひとまずこの物語はここで終了です。
ご愛読いただき本当にありがとうございました。
いつかまた3つの物語が出会うお話が書きたくなるかもしれませんが、その時まで彼らの物語はお休みです。
拙いものでしたが少しでも楽しんでいただけたのなら幸せです。
ありがとうございました!




