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ちょっと世界を救ってくる〜神さまに保険で雇われた業界人はとんでもチートで無双する!現世と新天地を縦横無尽に飛び回る保険救世主の物語  作者: opocho


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ダンジョン



ダンジョンへ潜ることになった。

異世界といえばダンジョン!

楽しみすぎるだろ!


認識阻害をかけ直してこっそり部屋に戻って作戦会議だ。


「ギル、この町のダンジョンはどんな感じなんだ?」

「知らん」

「えー」

「そんな世界中のダンジョンを知ってるはずないだろ」

「そういやそうか」

「主、ギル、さっきギルドでこんなものが置いてあったからもらっておいたぞ」


リュカが出してきたのは冒険者ギルドのダンジョンマップだった。


「やるじゃないかリュカ!」

「どれどれ……どうやらまだ踏破されてないダンジョンのようだぜ」

「へえ」

「今までの最深フロアは29階だ」

「中途半端な数字だな」

「ダンジョンってのはたいてい10階刻みでボスフロアがあるんだよ」

「30階のボスが手強いってことか。楽しみだな!」


準備をして私たちは夜のうちにダンジョンに潜ることにした。

まあ準備するものはないのだけど。

なお、もちろんこっそりである。


夕食の時間となり指定された時間に食堂にいくと昼間よりさらに同席者が増えていた。


というかブラウがいた。


「なんでいるんだよ」

「そりゃ大事な客人だからな!」

「本当は?」

「ヒマだから。ウミを出汁にしたら執務から逃げられるんだよ」


まさかの国王参加に城下町は大騒ぎになったそうだ。

そりゃそうだわな。


そこにターキーさんが声をかけてきた。

「ウミ様、お待たせました。こちらがケンターの名誉市民ライセンスでございます」

「わざわざありがとうございます。うわ、これまたえらく立派なものですね」


渡されたのは金ピカの立派なカードだ。


「お、いいモンもらったな! そういやワシも似たようなものを持ってきたんだったわ」

そういってブラウが手渡してきたのはやけにゴテゴテしたブレスレットだ。


それを見た周囲のものが驚きの声を上げる。


「そ、それは!?」

「まさか!?」

「お、王家に伝わる伝説の腕輪ではないですか!」


なんかヤバいもんだな。


「またかよ。ミスリル金貨だけでも貰いすぎなのに」

「いやなんも持たせずに行かせちまったからな。フローラにえらく怒られてよ」

「だからってさあ。なんか通行証みたいなの一筆くれるくらいでもよかったのに」

「筆跡なんてあてにならんよ。これがあれば世界中どこに行っても悪くはされんから持っとけ」

「そりゃすごいな。いいのか?」

「フローラのためだからな」

「いや悪いんだけどそれは無理だからな。それとなく孫娘の縁談まとめようとするのはどうかと思うぞ」

「ワハハハ、よく気付いたな!」

「でもこれヤバくないか。なんかえらいパワー感じるけど」

「よく気づいたな。いろいろ魔法効果も付加されてるらしいぞ」

「こんなの簡単にあげていいのかよ」

「まあ孫になる男だからな。他人でもあるまい」 

「やめろ」


ブラウが参加した食事会はとても賑やかで楽しかった。

その後、場所を移してブラウと食後のシガータイムに。


「オレはタバコ吸わないぞ」

「ワシもだよ。こういうもんなんだよ」


ふたりでウイスキーをいただく。


「ん? 思ったより美味いな」

「ツバメにもらったやつだ」

「だからか。どうも飲み慣れた味だなと思ったよ」

「貴重な酒だぞ」

「昼間飲んだ酒場のは強くてキツかったからな」

「そりゃそうだろ」

「あ、ならオレの世界の酒をやるよ」


日本酒、焼酎、ウイスキー、ワインとストックしてある色んな酒をアイテムボックスから出していく。

これは異世界あるあるで酒は交渉の切り札になるという三花くんの準備だ。


「おお! こりゃありがたい! 異世界交流で酒の作り方は一気に向上したんだがまだまだ開発途上でな」

「そうだよな。酒って時間かかるもんな。確かウイスキーなんて何年も熟成するんだよなー。何年かして失敗!とか笑えないわな」

「楽しみだ。大事に飲まんとな」

「あ、コピーしとくよ」

「そんなスキル持ってんのか!」


とりあえず1000セットに増やしたら大喜びしてた。

ブラウのアイテムボックスもツバメ仕様でかなりの容量があるらしく余裕だというからさらに倍にしておいた。


ふたりで酒を酌み交わしながらあれこれ話し込む。

アーメリの文化や歴史はとても面白かった。


「で、このあとはとうするんだ?」

「あ、それなんだけど、実はダンジョンに潜ろうかと思ってるんだ」

「そんなヒマあるのか?」

「こっそり聞き込みしたら、なんか怪しい奴らがダンジョンを隠れ家にしてるって聞いたんだ」

「なるほどな。なくはない線だな」

「ケンターのみんなに言うと大ごとになりそうだからこのあとこっそり潜ろうかと思って」

「うむ。いいだろう。だがワシも行くぞ」

「はあ?」

「それがダンジョンに潜る条件だ」

「なんだよズルいだろそれ」

「そんな楽しそうなイベント、ワシが大人しく留守番するはずなかろうが」 


結局、国王同行でのお忍びダンジョンツアーが決定した。

国王が不在になることはよくあることらしく(いいのかよ!)、さらには勝てる人間もモンスターもいないのであまり心配されないそうだ(それはわかる)。


でもそんなことに慣れた王城ではないので、一応みんなで出かける旨の手紙は部屋に残すことにした。


「ダンジョンが24時間出入り自由とはありがたいな」

「どこもそんなもんだ」

「何階まで行けるかなあ」

「ワシが行くのだからな。踏破するに決まっておろうが」

「主なら簡単である」

(なあ、オレ出ちゃマズいのか?)

「あー、そうか。なあブラウ、妖精ってレアなんだっけ」

「ピクシーか? まあかなり珍しいがツバメが連れていたからワシは見たことがあるけどな」

「ならいいか。いいぞギル」


アイテムボックスからギルが顕在化した。


「おお、ウミも連れているのか」

「ブラウ、こいつギルっていうんだ」

「良い名だな。よろしくな。ブラウだ」

「よろしく頼んだぜー」


ギルの紹介をしてるうちにダンジョンに到着した。

ダンジョンは町の入口からいちばん外れたところにあった。

兵士が張り付いているのはお決まりのスタンピード対策だろうか。


「どうすんだよ。オレたちだけでもヤバいのに国王がいるとかもうめちゃくちゃだぞ」 

「ワシは意外と顔バレしておらんぞ」

「そんなわけないだろ」

「主は目立ったからな」

「いや目立ったのはリュカと魔狼ちゃんたちだからな」

「一応、認識変更しておくか?」

「名前でバレるんじゃないか」

「ならこっそり?」

「それもマズいぜ。たぶん踏破するからそれなりな騒ぎになる」

「ならまあ堂々といくか」


シレッと受付をしてシレッとエントランスを通過。

どうやら魔狼騒ぎに居合わせた兵はいなかったようでお咎めもなかった。

てか国王。

意外すぎてセーフだったのか?


「国王のお忍びがバレないとか国としてヤバくないのかよ」

「まあラッキーだな」 

「なんだよそれ」

「軽装すぎる方が問題であったな。アイテムボックス持ちだと説明したからなんとかなったが」 

「次からはリュックくらいは持ってこよう」


そんな話をしながら歩いていたらダンジョンのゲートに到着。

ダンジョンは無骨な岩山のような作りになっていた。大きさは2階建ての一軒家くらいか。

真ん中に頑丈そうな鉄の扉がしつらえてあり、そこから入れるようだ。


「おお、これがダンジョン!」


扉をくぐって一歩中に入るとそこはだだっ広い洞窟が広がっている別世界。

さっきまで町の中にいたとは思えない。


「拡張か。いきなり雰囲気あるなあ」

「9階までは迷路にもなっておらんし罠もないみたいだぜ」

「ならさっさと進もうか。広いしクルマにするか?」

「ほかの冒険者がいるからダメだろ」

「なら馬車?」

「いいんじゃないか?」

「ダメじゃん。魔狼ちゃんたち迎賓館だよ」

「仕方ない。走るか」


ダンジョンの始まりはマラソンだ。



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