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ちょっと世界を救ってくる〜神さまに保険で雇われた業界人はとんでもチートで無双する!現世と新天地を縦横無尽に飛び回る保険救世主の物語  作者: opocho


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ハグレ再び



強いアラートが来た!


「ギル!」

「歪みで間違いないぜ。ハグレが来るぞ」 

「「「「え!」」」」

「【予知】だ。時空の歪みを察知した」 

「大変だな。いよいよか」

「マスター、神眼とマップをシンクロさせろ」


言われたとおりにしてみると歪みの位置が特定できた。

「場所は……北海道、旭川だ」


道北に土地のリクエストはしていたが間に合わなかった。


「ごめんなさい。もっと早く進めていれば」

それを聞いた里山さんが嘆く。


「大丈夫だサチ。札幌の郊外にミズホの実家がある。

その近くに拠点が置いてあるから転移で対応できる」

「! よかった!!」

「まずは転移するぞ。出番があるかはわからないが全員着いてきてほしい。周りに集まってくれ」


全員で転移をする。

瞬時に札幌郊外の山中に設えた拠点に飛んだ。


「おお、こりゃすごいもんだな」


転移初経験の親父は驚きを隠せない。


「このあとは? もう転移は無理だよね」

「一度ひとりで現場に飛んでくる。時間に余裕がありそうなら転移で戻ってまた全員で転移だ」

「時間がなければどうするつもりー?」

「ひとりで対処するしかない」

「そんな!」

「仕方ないからな。我慢しろ。じゃあ行ってくる」


そう言い残して空へ舞い上がる。 

ここで押し問答している時間はない。

そのまま一気に加速して現地へ向かった。


前みたいに通り過ぎないように、かなり魔力をセーブしたが現場にはすぐ到着できた。 


空から眼下を眺める。

見渡す限りの平原。

舗装されていない道路が通っていているが車両は走っていない。

かなり遠く離れたところに町の灯りが見える。


「このあたりなら人はまず来ないな」

「まだ時間はありそうだぜ。みんなも連れてこいよ」

「いやまだいきなり本番は無理だろ」

「マスターは心配しすぎだ。それにバリアもある」

「あ、そうか」

「慣れさせた方がいいと思うぜ」

「わかった」


一度着地してポイントをマーキング。

即転移を繰り返してみんなを連れて戻る。


「あのあたりに歪みが起こる。みんなで見届けよう」


手早くバリアを発動。

仲間は外に出られず、仲間以外は入れない設定だ。


しばらくすると明らかに空気が変わる。

淀んだ魔力が溢れ出して空気が震え、やがて景色が歪んでいく。

モヤがかかったようにその周りが見えなくなり、やがてそのモヤが晴れていく。


現れたのは――またもやゾンビだった。


その数は前回と同じ規模で相当な数だ。

ひとつ違うのは少し離れた場所に一頭の巨大な狼が混じっていることだった。


「うわ、またゾンビだよ」

「キモいやつらやな」

「ウミはあんなのと戦ったのか」

「ギル、なんかデカいのがいるんだけど」

「あれは魔狼だ。攻撃力もあるがスピードがヤバい」

「魔狼!」

「三花くん、分かるのか」

「ファンタジーの定番モンスターです。中には主人公に懐くやつもいます」

「まあ現実でも噛む犬もいれば人懐っこい犬もいるもんな」

「うーん。なんだろ。困惑してる感じ?」

「そうだよねー。困ってるねー」

「あー、わかる気がします」


ウチの女子は勘がヤバい。

だとしたら……魔狼はワンチャンあるか?


マップを表示するとゾンビは赤点で数は1,000と前と全く同じだ。

これは明らかに人為的だよな。


で、魔狼は中立を示す緑の点だ!


「魔狼は中立だ。絶対に攻撃するなよ」

「「「「「「わかった!」」」」」」

「それにしてもデカさがライオンどころやないな。象より小さいくらいか」 

「カバとかサイとかくらいかなー」 


そうこうしているとゾンビがこちらに気づいて向かってきた。

ほとんどがあーうー呻きながらヨタヨタと歩いてくるが、やはり中には走る奴も混じっていた。


仲間たちは思わず後ずさる。


「バリアがあるから大丈夫だぜ。治療魔法のホーリーで簡単に倒せるぞ」

「ユキナ、ミズホは使えるはずだ。サチは練習してからだな。あと親父も全属性持ちだろ」

「使ってみたい! ユキナ、ホーリー練習したよ!」

「ミズホも!」

「よし、やってみな。バリアの中から撃てるよ」


ユキナとミズホは並んで立ち、片手を突き出す。

もう一方の手で手首を持って同時に魔法を唱えた。


「「ホーリー!」」


ふたりの掌から放射状に白い光が迸る。

向かってきたゾンビたちが一瞬で消滅する。


「おお」

「お嬢ちゃんたちさすがだぜ」

「白魔法キターーー!」

「すごいやん」

「ほほう。あれが効くのか。やってみるか」


親父はそう言うと同じように片手を突きだして詠唱。


その言葉は「消えろ」のひと言だった。


すると先ほどとは全く違う魔力が迸った。


「「「「!?」」」」


見渡す限りに広がっていたゾンビたちはその一撃で消え去った。


「なんか違わないか」

「嘘だろ……ありゃ古代魔法だぞ」

「なにそれ」 

「失われた魔法だよ」

「古代魔法キターーー」

「なんかかっこいい!」

「いいなー」

「そのまんま治療魔法で消えろと念じただけだよ」

「普通はあの規模じゃないみたいですよ」


さすがはスキル【賢者】だよな。

天才肌にもほどがあるだろうに。

ギルはまだ信じられないといった顔をしている。


そこに遠吠えが響く。

あ、そうだった!  

魔狼がいた!


「ちょっと話してくるよ」


反対されるのが目に見えていたので返事を待たずにさっとバリアを出る。

引き留めようと、あるいは付いてこようと動いたメンバーは見えない壁に阻まれた。


「心配するな。中立なんだから大丈夫だよ。敵対するならちょこっと叩いてくるよ」


そう言い残して魔狼のもとへ軽くジャンプする。

改めて目の前で見るとデカいな!

魔狼はグルルルと唸ってこちらを睨みつけている。


「まあ心配すんな。話に来ただけだ」


そう言って私はその場に座り込む。


「まあいきなり転移させられて混乱してるんだろ。大丈夫だよ。オレたちは敵対するつもりはないからな」


魔狼の唸り声は止まらない。


「うーん。言葉は通じないのかな。どうしたらいいんだろ。あ!」


三花図書館の教科書ではごはんで懐いてたぞ!


私はすぐに収納からステーキ肉を取り出した。

……いやいや、このデカさだ。アレにするか!

取り出したのは男の憧れ、大きな塊肉だ。


それをバーベキューコンロで焼き上げていく。

食欲をそそる香りが漂っていく。

お、唸り声が止まったぞ。


味付けは胡椒はやめておいて塩のみだな。

なるべく薄味にしておこう。

生肉のままでもいいんだろうけど味気ないだろ。

外側カリッと中に肉汁しっかり閉じ込めてと。


かなり気になってるみたいだな。

あ、ヨダレ出てんぞ!

ちょっと時間操作で急いでやるか!


よし! 完成だ!


「できたぞ。とりあえず食え!」


大きな塊肉を大皿にどかんと乗せて差し出す。


じっとこちらを睨みつけていた目を差し出した皿に移った瞬間、魔狼は肉に齧り付いた!


尻尾もブンブン振ってるなー!

よしよし。お近づきのご挨拶は成功したな!



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