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ちょっと世界を救ってくる〜神さまに保険で雇われた業界人はとんでもチートで無双する!現世と新天地を縦横無尽に飛び回る保険救世主の物語  作者: opocho


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親父への告白



里山さんがまさかの告白をしてくれた。


これはもうきちんと受け取めるしかない。

そして気持ちを伝えないとな。


「里山さん……」


きちんとお断りをしようとしたその時。


「仲間だーーーーー!」

「3人目!」

「え?」

「ウミさんモテモテじゃーん」 

「ねえねえどこがいちばん好きなの?」 

「ちょっとウミさんどっかいってて」

「いやあの」 


なんだこれ。

あまり公言したくない好きなアーティストが同じだったことがわかって同志になったみたいな感じだぞ。

ちょっと例えがややこしいが。


「いやあのさ」

「あ。ウミさんもういいよー」

「ここ女子部屋だよ?」


お前らが連れ込んだんだが?

追い立てられるように屋上から締め出された。


まあこれもふたりの優しさなのかな。

どうあれガチ告白感はなくなったな。

意外とこれからもネタにできるのかもな。

まあ、そういう意味では良かった……のか?


―――――――


事務所スペースで仕事をしながら待つこと3時間。

ようやく3人が降りてきた。


「えーっと……」

「藤沢さん! ユキナさんとミズホちゃんとたくさんお話しができました!」

「え、どんな話?」

「ナイショです!」


これはどうしたものかな。


「じゃあ明日から9時に出社しますね!」 

「……はい?」

「ふたりから誘われてここで働くことにしました!」

「え?」

「古杉さんと三花さんのリモート面接も合格しました!」

「え、いま面接してたの? ってか今の会社が……」

「退職してフリーの業務委託にしてもらいました!」

「はあ!?」

「 ご心配なく。こう見えて私、宅建士の資格も持ってるんですよ! お預かりしている仕事は前の会社に義理を果たしつつ完璧にこなしますから!」

「いやそういうことじゃなくてさ」

「明日から宜しくお願いします! じゃ失礼します!」

「サッチー! バイバーーイ」 

「サチまた明日ね」


嬉しそうに里山さんは階段を駆け下りていった。


「おい、何が起きてる?」

「スカウトしたよー」

「なんで?」

「仕事できるし」

「ウミさんのこと好きだしー」 

「そこ?」

「良縁っていってなかったっけ?」

「いやどうだったかな」

「海クリエイティブに必要って言ってたじゃん」


それはそう。

仲間に引き入れられたらいいなとは思っていたけど。

恋愛が絡むなら無しにしようと決めてたんだけどな。


「いや実務は申し分ない。どうやら資格も持ってるみたいだし。あれめちゃくちゃ難しい国家資格だから。もとより一緒に仕事できればいいとは思ってたよ?」

「ならいいじゃん」 

「いや確かに不動産管理は必要だったけどさ」

「なら願ってもなくない?」

「いやそれはいいけど。オレ告白されたんだよ? さすがにそんな人を雇うってのはさ」

「え? ユキナもしたじゃん」

「ミズホもしてるよー」

「いやそれはネタみたいなもんだろ」

「「本気だよ」」


ネタであってほしかったんだよな。

神眼オフにしとけばなあ。

 

「同じ人を本気で好きになってくれたんだよ? これ以上仲間にしたくなる相手なんていないよ!」

「そんなもんなの?」

「適当な人は却下だよー」

「取り合いとかヤキモチとかさ。なんか面倒なことにはならないの?」

「本気だったから問題ないよ」


なんかよくわからん。

まあ揉めないならいいのか。


「あとさ。ウミさんに判断は任せるけど。サチにも早めに本当のことを教えてあげて」

「そればっかりはな。まだ付き合いが浅すぎる」

「わかってる。その上で頼んでる」

「そんなに信じられたのか?」

「間違いないよ。サチは運命のひとりだと思う」


珍しいな。

ユキナがここまで言うなんてな。


「ユキナの気持ちはわかった。早めに判断するよ」

「うん。お願いします」


おっともうこんな時間だ。


「ユキナ、ミズホ。そろそろ迎えが来るぞ」

「あ、やばーい!」

「準備してくるー」


ふたりして階段を駆け上がっていく。

今日はそれぞれ午後からの仕事だ。


私は居残りで親父に神のミッションについて話をすることにしている。

朝は行けなかったからそのことも謝らなきゃな。

ちょうどランチの片付けが落ち着いたくらいだよな。


迎えが来たタイミングでそのまま親父の店に入る。


「おぉ、揃ってるな」

「みんなはこれから仕事なんだ」

「「昨日はありがとうございました!」」

「パパ行ってくるねー!」

「お父さんいってきまーす!」


慌ただしく4人は走って仕事へ向かった。

それを見送ってから私はひとり中に入る。


「朝から来たかったんだけどいろいろあってね」

「全然かまわないよ。で、話ってなんだ」

「片付けはいいのか?」

「あらかた終わってるよ」


テーブルにふたりで座る。


「どこからどうやって話せばいいかな」

「なんだ重い話か? 金ならいくらでもやるぞ」

「あはは。それは大丈夫。オレもそこそこ持ってるよ」

「ならなんだ? 女関係か? ふたりは泣かせるなよ」

「親父、違うって」


軽く深呼吸。

しっかりと親父の目を見て伝えた。


「信じてもらえるかな。でも本当のことなんだ」


親父の顔も真剣なものに変わった。


「茶化してすまなかったな。聞こう」


「……実は神さまからの啓示を受けた。この世界を救えと頼まれてる」


親父は……無言。

ただ私の顔を見ている。


「その時にとんでもない能力も授かったんだ。そのあとユキナとミズホも能力が開花した」


「このことを知っているのはあとマネージャーのふたりだけだ」


「信じて……もらえるかな」


親父は軽く息を吸ってから答えた。


「当たり前だよ。息子の本気の告白を信じないわけがないだろ」


よかった。


「ありがとう。嬉しいよ」

「大変だったな。よく打ち明けてくれた」

「やめてくれ、泣いちまう」


本当にこの人は。デカい人だよな。


「……で、何が起きるんだ?」

「まだ詳しくは分からない。でもこないだ異世界からゾンビが沸いた。たぶんこれが続くんだと思ってる」

「なんてことだ。大丈夫だったのか?」

「ゾンビは倒せたよ。貰った力が半端ないからね」

「そいつはよかった」

「稀に違う世界とこの世界がピンポイントで混じることがあって、その時にはぐれモンスターが迷い込んでくるんだってさ」

「ほう。だとしたらネッシーや雪男なんかもあながちデマじゃないのかもな」

「そうらしいよ。この世の伝承のいくつかは本当に過去に起きたことらしい」

「そうなのか」

「偶然の遭遇ならいいんだけど、それが意図的なものならヤバいと思う。攻撃を受けてるってことになる」

「確かにな。神さまがわざわざ過剰な能力を授けてるのが心配だ」

「あと大事なことなんだけど、この能力がバレると危ないらしいんだ。オレの前にこの役目をもらった人間はことごとく能力バレで命を落としてるって」

「そういう縛りなのか?」

「いや、人間による力の奪い合いだって」

「……浅はかだな」

「いきなりでごめんな。家族になった早々にこんなことに巻き込んじゃって」

「何を言ってるんだ。さっきも言っただろう。打ち明けてくれて嬉しいよ。私にも出来ることは多いと思うから安心しなさい」

「……ありがとう、親父」


これでひと通りの説明はできたかな。


「しかし羨ましいな。お前魔法が使えるのか」

「あ、見せようか」


私は隣にあったテーブルを収納して見せた。


「おおおお!!! すごいな!」


テーブルをもとに戻してから話を続ける。


「親しい人には能力が伝播するらしい。親父もたぶんそのうち魔力が発現すると思うよ」

「そりゃ楽しみだ! 楽しみに待ってるよ」


その後はランチのまかないをふたりで食べながら、これからのことについて話し合ったのだった。



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