里山さん②
親父の店の片付けを手伝い終えて2階に上がる。
あとは酔いつぶれた里山さんだな。
先にソファに寝かしておいたがこれは起きそうもない。
「オレたちも屋上リゾートってわけにはいかないよな」
「あー。そっかー」
「確かにね」
「よし、作ろうと思ってたグランピングテントを作るか!」
「うわーい」
「いいね!」
里山さんを寝かせたまま、3人で屋上にあがる。
イメージは……前にいったことのある農園ファームや温泉施設がくっついたグランピングリゾートだな。
拡張は使えないから……いや少しくらいならバレないか。
外見に対して中身は3割増しくらいのイメージにしておこう。
最近流行りの透明なドーム型は無しだな。
周りの高層マンションから丸見えになる。
となると……サファリテントだよな。
中にベットを4つほど置いて、ラグジュアリーな内装にしてと。
外にウッドデッキだろ。
そこにバレルサウナと大きな水風呂にもできるジャグジーだろ。
となると周りからは見えなくしないといけない。
ユキナとミズホは隙だらけだからな。
ほっとくと周りから丸見えでも平気でサウナに入りそうだ。
なんなら全裸で行く可能性もある。
それだけは阻止せねば。
でも壁を作るとなると解放感なくなるよなあ。
となるとサファリテントじゃないか。
よし、もうコンテナハウスの二階建てにするか!
一階部分をオープンにしておいてそこにサウナとジャグジーを置こう。
ウッドデッキは秘密リゾートになっている小部屋向きに階段のドアまで広げておけばいいだろう。
で、二階は全面バルコニーだ。
屋上が屋上を生むという不思議なことになるけどな。
よし! これで完成だー!
階段をあがって屋上のドアを開けるとまずウッドデッキが広がる。右手には秘密リゾートになっている小さなサービスルーム。
奥に今回のグランピングリゾートが広がる形だ。
大改造だけどもうマンション半分買ったからいいよな。
消防法……これアウトかもな。
でも魔法で安全面は完璧だからな。
誤魔化すしかない!
審査の際はサウナとジャグジーは収納しよう。
いや、丸ごと収納かな……。
ユキナとミズホを呼んだら大喜びしてくれた。
おいおい、小脇に里山さん抱えて飛び跳ねるのは止めなさい。
とりあえず里山さんとふたりはここで寝てもらえば辻褄は合うな。
私は元々いた3階の寝室て寝るとしよう。
―――――――
で。
起きたらなぜかグランピングリゾートにいた。
両脇にユキナとミズホ。
頭の上に里山さん。
何だコレは!?!?
と、目を覚ました里山さんと目が合う。
その距離10センチ。
5秒ほと見つめ合った後でそっと目を閉じられた。
止めなさい。
キスはしません。
「えーと。おはようございます」
声をかけると里山さんは慌てて目を開けて飛び起きる。
「ゆ、夢かと! これは一体!?」
「いや、わからないです。ここで3人に寝てもらってオレは自分の部屋で寝てたはずなんですけど」
そこに「ふわぁぁ」と声を上げてユキナが目を覚ます。
「ユキナ、これはどういうことだ?」
「あ、ウミさん……おはよう」
朝のいつもの人見知りモードだ。
「あのさ、オレ自分の部屋で寝たんだけど?」
「あー、ミズホがさ、やっぱりウミさんも一緒がいいって言い出してさ、魔法で眠らせてふたりで連れてきた」
「ばっ!」
寝ぼけてる! 里山さんいるから!
「……魔法?」
「な、何をバカなこと言ってんだよユキナ。あれだな、つまり酒を飲んで泥酔してるうちに連れてきたってことだな」
「ん? あ! 里山さん!? えーと、ユキナなんか変なこと言ったかな?」
「魔法がどうしたとか」
「えー! ごめん、寝ぼけてたあ」
えーい、とにかく誤魔化せ!
「あのさあ、里山さんと同じベッドにおっさんを連れてくるとかヤバすぎるだろ!」
「ユキナもだいぶ飲んでたからなあ。みんな一緒の方が楽しそうだなあって」
そこにミズホが目を覚ます。
やべえまたなんか言われる前にどうにか……
「あー、ウミさんおはよ。魔法かけたからいつもよりバッチリ眠れたでしょー」
「……魔法……」
間に合わず。
ユキナに目配せしながら慌ててフォロー。
「里山さんの前で変なこと言ってんじゃないよ。お前たちオレに何飲ませたんだ!」
「ご、ごめん。かなり強めの、そう、マジカルな酒を飲ませました」
「へ? 何言ってんのー?」
「里山さん!! 今日はお休みだって言ってたけどほかの予定は大丈夫だったのかな!」
「え、あ、はい。特に予定はないですけど……」
「それはよかった!!!」
「ねえウミさん、魔法どうだったー?」
「うるせえミズホ。変なもん飲ませてんじゃねえ! それより里山さん!! ここ屋上のコンテナハウスなんですよ。サウナとジャグジーもありますから酔い覚ましにいかがですか!?」
「え、いや着替えもないし」
「ユキナの貸してあげるよ!」
「ねえウミさ……」
「ミズホ! 目を覚ませ! そして! 里山さんを! そう! 里山さんを! サウナに! ご案内しなさい!」
「へ? あー! そうだ、里山さんいたんだったー! ごめーん! 魔法の秘密バラしちゃったあー!」
終わったかな?
「あの……」
「「……はい」」
「魔法って」
「「……はい」」
「もしかして……非合法なやつですか?」
はい、ありがとう!
「いや、全然違います!! 海外の強いお酒で一発で飛ぶからオレたちは魔法の酒、マジカルって呼んでるんですよね」
「あー、そういうことですか。驚きましたよ」
「芸能やってんのにそんなヤバいものになんて手を出しませんよ」
「ですよねえ」
「ユキナもミズホも里山さんを誤解させるようなこというなよ!そもそも酒で眠らせて連れ込むとかそれもう犯罪だからな!!」
「「ごめんなさい」」
「てかな、里山さんが訴えたらアウトだ!」
「いやそんな! こんなラッキーなハプニング……いや違う! 少しだけラッキーな……だから違う!」
「えー?」
「あー!」
「「もしかして?」」
おいおい何を言い出すんだ?
「里山さん!」
「ウミさんのこと!」
「「好きなのー?」」
やめておけーーーー!
「そうなの?」
「仲間なのー?」
「同じだね!」
「仲間だねー!」
やーめーろー!
里山さんが顔を真っ赤にしているじゃないか!
「ふたりともそんなはずないだろ。なに言い出してんだよ。里山さん困ってるだろ」
意を決したように顔をあげる里山さん。
そして私の顔をまっすぐ見つめる。
「はい! 私は! 藤沢さんのことが! 初めて会ったときから! とても気になってて! それからもう! 気になって気になって気になって!」
大きく息を吸って叫んだ。
「あなたのことが大好きです!!!!」




