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ちょっと世界を救ってくる〜神さまに保険で雇われた業界人はとんでもチートで無双する!現世と新天地を縦横無尽に飛び回る保険救世主の物語  作者: opocho


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ゾンビ



歪んだ景色が戻ったとき、そこに現れたのはゾンビだった。


その数は――無数。


観客席の最後方からさらに向こう。

身体能力が爆上がりしている私にはそのうめき声が聞こえるが、大きく鳴り響くライブの音源で観客にはまだそれは届かない。


「マスター、ゾンビだ。あれならイケるだろ」

「いやいや無理だろ!」

「は? あれなら打撃だけで秒殺だぜ」

「バカ言え、噛まれたり引っかかれたらゾンビになっちまう」

「あのな、まずマスターに触れれるやつなんてこの世にいない。まして奴らはあんなにノロノロだ」

「いやでも素手で触ったらダメだろ」

「マスターならどんな病気にもならないぞ。もちろん噛まれようがゾンビ化なんて絶対しないさ」

「え、そうなの?」

「当たり前だろ。どんだけ神気纏ってると思ってんだ」

「いやわかんねえよ」


ともあれだ。

観客が気づいたらとんでもない事になる。

やるしかないか。


まずは能力解放だな。

ソッコーで終わらせるなら、まあ10%解放とかにしてみるか。


あとは触りたくないからな。

何かないかと辺りを見回すと、舞台裏に余ったパイプ椅子があった。


「素手よりはマシかな。これでいってみるか」


まずは誰にも気づかれないようにタイミングを見計らって転移。

観客最後方とゾンビの中間点にジャンプする。


「んでもってマップ起動と」


目の前に浮かんだ画面には赤い光点が無数に光る。 


「えーと数はどこだ……1000 !? 多すぎだろ!」

「早くやっちまえよマスター」

「はあ、イヤだなぁ。なんでゾンビなんだよ」

「ゾンビなんて雑魚だぜ」

「この世界じゃゾンビは恐怖の象徴なんだよ。映画とかのイメージ最悪だからな。ま、走らないだけマシか」

「走るやつもいるぞ」

「嘘だろ」


とか話していたらこちらに気づいてダッシュしてくる個体が何体かいた。


「げ、本当だ」

「いけマスター!」

「あーっ! ちきしょう! やるしかねえ!」


そう言って走りだすと……瞬間でゾンビを通り過ぎた。


「早え! 合わせんのキツイな!」


振り返ってほんの軽く前へ。

ゾンビに向かってパイプ椅子を横殴りすると、ゾンビはまとめて弾け飛んだ。

豆腐をバットでフルスイングしたみたいな感じだ。

そんなことしたコトないけどね。

手応え的にはそんな感じ。


「うわ、キモい。これって煙みたいに消えたりするのか?」

「消えないぞ。あとで掃除だな」

「イヤだよ!」

「あー、なら次からは魔法だ。ホーリー」

「白魔法! 治療魔法だな?」

「ゾンビはそれで浄化できるぞ」

「早く言えよ。で、ホーリーってどうやるんだ?」

「イメージだ。聖なる魔力な」


ゲームのイメージがあるからな。

なんとかなりそうだ。


私はゾンビの群れに向かって魔法を唱える。


「ホーリー!」


直後、白い光が前面に放射される。

その一撃で全てのゾンビが塵と消えた。


「うおっ、すげえ」

「ほらなマスター、簡単だろ」


さっき吹き飛ばしたあたりにも控えめにホーリーをかけておく。


「これで大丈夫かな。マップにも反応がない」

「オッケーだぜマスター!」


そしてミズホの最後の曲が始まった。


あのアラートはこれだったんだな。

すまん越上、てっきり君かと思ってたよ。

ヤクザに捕まっていたとはな。


「なあギル、これは何だったんだ?」

「異世界と繋がることはたまにあるぜ」

「マジかよ。こんなのどうやって解決してたんだ?」

「してないな。過去に起きたから伝説がある」

「嘘だろ。……ドラキュラとかドラゴンとかネッシーとかイエティとか……ファンタジー世界もあるのか。え、まさか宇宙人とか?」

「オレはこの世界に実際に起きたことは知らないぜ。だけど昔の伝承はあながち嘘じゃないってことだ」


これは……とんでもないな。


「でも1000体のゾンビなんていまオレたちがいなかったらもしかしたら文明崩壊してただろ」

「ありうるかもな。5万人1000体のゾンビ軍が誕生してたかもしれないからな」

「こんな規模で過去に似たようなことが起きてたらとっくに世界は崩壊してるぞ」

「そんなの何度もしてるぞ」

「はい?」

「その都度、創造神が作り直してるんだよ」 

「おいおい。それ聞いていい話なのか?」

「半分神なんだからいいだろ」

「まだなってねえよ」

「だけどまあな。いきなり1000体はどうなんだろうな」

「どういうことだ?」

「紛れ込むには数が多すぎる」

「たまたまそこに集まってたってのは? あれだよ、えっと、そう、スタンピードみたいなの」

「まあ無いとは言えないけどな」

「ほかに何があるんだよ」

「神がマスターを選んだ理由だろ。世界の危機はこれしかない」


そりゃそうか。 

規模がデカいのが分かってたから神の力を与えたんだもんな。


だとして。


これで解決ならいいけど、これが始まりだとしたら?

神に与えられし力を持つ大勢が失敗してきたミッションだ。

これで終わりはないよな。

この力が必要なほどの危機がこれからも来るのが普通か。


転移が意図的なものだとするなら必ずまた起きる。


なんにしてもだ。

言いたいことはひとつだな。


神さま、説明足りなすぎだって。



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