エピソード24
太陽が高い。陽射しがまぶしい。
日光浴は日課だ。広場に寝転がっているだけでいい。
「感じるっていうのは大事なんだってよ」
彼が言う。
「気持ち良いことをやれってことか」
例えば、今のように。
「そうなんだろうな。そして、イメージで叶える」
「なんでもできるってことか」
「かもな。アスラ爺さんはその二つしか教えてもらってないから、具体的にはやってみないとなんにもわかんないんだよね」
「人間と触れたことはあるか? 」
結局ユカに触れずにすんだ。
「俺はないよ。触れたいと思ったことないし。悲鳴あげたり、気絶したり、そんな姿を見てただけ。それに、人間の血を浴びると人間に戻ってしまう」
「人間に戻れるのか? 」
タカは飛び起きた。
「戻りたいの? 」
彼が険しい顔で見てくる。
「そういうわけじゃない。驚いただけだ」
「戻れるといっても、血を含んだ分だけ人間の体になる。おまけに人間体と触れていることになるから、痛みはある。一体どれだけの血を浴びれば完全な人間体になるのかは知らない」
「へえ」
タカはまた寝転んだ。
「後悔してんの? 」
彼が不安そうな声をだす。
「オレは助かったよ。どうやって逃げ出すかばかり考えていた」
それも事実だ。
「そっか」
ほっとしたような声をだす。
「オレにも神の花が作れるのかな」
村のためにできるのはそれくらいらしい。
「できるよ。ちょっとコツみたいなもんを掴めば。同じやり方でエネルギーを大きくすればもっと大きなものも変えられる。動物とか人間とか」
「どうやってやるんだ? 」
「自分の体のエネルギーを移してやる感じ。分身を作るみたいな感じかな」
「やってみるか」
タカは起き上がった。
目の前の花に気を集中する。そして、それはすぐに輝きだした。
「やっぱさあ。経験あるんだよ。ひとつだけ変えるなんて熟練の技だよ。最初はできたとしても力のかけ方がわかんなくて、半分くらいしか変わらないとか二つ三つ一回で変えちゃうとかひとつって難しいんだよ」
彼はにやにやしている。
「今のはまぐれだよ。何かを飛ばすのだっておそるおそるゆっくりしかできなかったし」
タカが言い訳のように言うと、彼は笑った。
「ゆっくりの方が難しいって。微妙な力加減になるし。そういえば、最初に飛ばしてもらった時にもう安定してたもんね。全然怖くなかった」
タカはうそだろと思いながら。
そうなのか? と疑心暗鬼ながらも彼の言うことは正しいのかもしれないと思ってしまう。
「――神の花って勝手に増えるのか? 」
タカは話を変えた。
「偶に増えてることもあるよ。俺たちみたいに仲間を増やしていく感じなんかじゃないかな。村のやつらが神の花を増やそうとしてたんだけどさ。大切にしたいのはわかるけど、周り全部草花を刈ってて、肥料や水をあげててもだめだよね」
「教えてあげればいいんじゃないか」
「そうしたら、村が襲われる」
「そうか」
町へ持って行けばお金になる。
「忘れた頃にやってくるんだよね。来てほしくないお客さんが」
「撃退しようと思えばできるんじゃないか」
「人間同士のことは関わりたくないのと、ずるいやつらを排除すると、そいつらは関係ない村人を使おうとするかもしれないじゃんか」
「なるほど」
「だから、神の花はそんなに増やす必要はないんだよ。ひとつあれば数年は大丈夫なんだから。こっちだって、寿命が減るんだし」
寿命といってもそれは蛹でリセットされる――とは言っても危険が伴う。
彼の言うことは長い経験からでてくるのだから、従うのは正しいのだろうと思った。




