エピソード14
月のカタチは毎日少しづつ変わり、一回りして同じ形になる。それがひと月だ。
タカはそろそろ森へ行くとユカに話そうと思っていた。
シュウがいるのだから、ユカは安心だ。
タカは小さく溜息をついた。
夜空の月が見降ろしている。
ちょうどひと月経った。
帰りが遅くなってしまったとは思った。つい油断してしまった。
タカは裏口から家に入ろうと道から家の脇に回って、足が止まった。家のへこんだ部分、道からは見えない軒下に黒い影があり、しばらくすると、それが人が壁にもたれて座っているのだとわかる。
人物の予想はすぐについた。
シュウだ。
理由もわかる。
ユカが心配なのだろう。
住まいとして倉庫の納戸を借りたと聞いたが、村の奥にある倉庫とここまでは距離があり、そもそも何かあったなんて分からない。
畑に色々持ち込んでいたようだから、畑に寝泊まりするつもりだったのかもしれないが、道から丸見えだからやめたのかもしれない。
けれど、温かくなってきている時期とはいえ、夜は冷える。それに、夜風にさらされて、体を休められるとは思えない。
だからと言って、自分に何ができるのか――。
タカは高く飛び上がった。草に触れてしまったら、シュウを脅かしてしまうかもしれない。
屋根を超えて裏口の所に降りる。
裏口は開いていて、灯りが漏れている。土間の見えるところにユカがいて、木を削っていた。
「ユカ、遅くなってごめん」
タカは声をかけて、戸をしめた。
ユカが振り向く。
「おかえり」
答えてくれると、ユカが立ち上がり手を払う。
「私は体を拭いてから行くから、先に寝室に行っていて」
「あ、ユカ――」
シュウのことを相談したかったが、どう説明しようかと思う。
「話なら明日でいい? 疲れちゃった」
「わかった」
もう夜も更けている。
タカは寝室へ行くと、いつもように腕に紐をまいて床に座った。
何か落ち着かない。たぶん、理由はシュウのことだろう。
けれど、どうしたら良いのかわからない。
この家には空いている使っていないへやがある。そこを使ってもらえば良いと思う。ユカを助けてくれるのだから。
しかし、ユカはどうなのだろう――。
シュウもユカに知られたくないかもしれない。
しばらくすると、灯りがおち、ユカが寝室に入ってくる。
「おやすみ」
声をかけてベッドの中へ入る。
「おやすみ」
タカも声をかけた。
とにかく、話は明日だ。
朝はいつもようにやってくる。
タカはやりたいことがあるとユカに言って、いつもより早く家を出た。シュウはどんな生活をしているのだろうと思ったのだ。
昨晩、シュウを見かけたところに行くと、シュウの姿はなかった。畑にもいない。倉庫へと足を運ぶと、シュウは外で体を伸ばすように動かしている。そしてベンチに座ると、きっとユカが作ったのだろう握り飯を食べ始めた。
一晩中、家の外にいると思ったのは違ったのだろうか、と思う。食べ終わると、倉庫の中へ入る。何をしているのかと窓から覗くと置いてある物を整理し、床をはく。そして、出てきたので、後をつけるとユカの家に着いた。
それからは、共同作業に行き、戻ってきたらユカと畑で昼食を食べ、その後水汲みをしたり畑の作業をしたり、ユカは家に戻って細工物の作業をしていたりする。
コウが大量の木材を運んでシュウのところへ来た。
何を作るつもりなのか気になって、タカはコウとシュウの近くへ降りた。




