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俺と後輩の珍道中  作者: 伊織
6/28

File6 後輩とテニス部

ハァとため息が溢れる。

ったく、今日は踏んだり蹴ったりの日だった。

朝一は氷川姉弟のドタバタに巻き込まれ、天宮さんは恋愛ごとに現を抜かすなと言われた

今日も今日とて葛藤が続く日々でした。


「...って何、いい若者がこんな所で黄昏てるのさ...ほら部活あるんじゃないの?」

「あ...あぁ、悪い圭介。そろそろ行く時間だったわ。ありがとな。」


と言って、俺は圭介と別れ、部活動へと行った

現在の所属は令成学園テニス部2年という立ち位置である

始めたのは中学に入る少し前にたまたま近くに大きな公園があって、其処で髭を生やした仙人みたいな爺さんに教わった。今でも何者かずっと気にはなっているのだが...

最初は、球を追いかけるだでも、結構楽しくて夢中になっていたのを今でも覚えている

中学の頃に一度だけ、県大会で全国区の高山智ってやつと激突して接戦の末に負けたのが今でも悔しくて続けている。


この令成学園は、元々部活が盛んに行われている

推薦で選ばれる人が多いという特徴故、中学で名を挙げて全国区というやつも珍しくはない

ウチの学校の部活から、プロに転身したなんて奴は腐る程いるらしい

その為、俺の肩書きは来た当初から弱いのだが俺は自分の実力試しとしてこの部に入部した

まぁ、自由な校風の為故なのか、あんまり実力で、文句を言われた事は無いのだが...

結局、俺は負けたままじゃ終われないっていうのが、本音だ


「お〜い、礼治君。部活始まるよ。」

「は〜い、今行きます。」


マネージャーに呼ばれ、俺は部活前の軽い自主練を切り上げた

しかし、高校にも入るとレベルが段違いに上がった故なのか強豪のことも相まって練習はかなりハードに設定されているのだが、正直に言うと、悔しさ半分楽しさ半分で充実していると思う

まぁ、今はそんな気分じゃ無いんだけどね。大会も少しずつ近づいて来てるし、それに...



「よぉ礼ちゃん。最近随分とモテているようだが、絶対に負けないぜ。」

「こっちだって、折角のチャンスを逃すような真似はしないよ。」


そう今現在新入生も入り混じってのインターハイ団体戦選抜試合の真っ最中である

うちは強豪ではあるが、皆平等にチャンスが与えられるシステムである為勝負は1セットマッチのシングルスでリーグ戦とトーナメント戦の二つで決める

リーグ戦は予め先生達が、俺達の実力を把握している為、バランスよく配置する


補欠を含めて選ばれるのは、6名

うちの部活動の人数は約80名近いからメンバーに入るだけでもかなりの鬼門である

現在俺はCブロックに組み込まれており、戦績は3戦3勝次の対戦相手は、現レギュラー候補筆頭の新山隆君だ

ここで勝てばリーグ戦の勝負が一気に決まる。一気に俺は団体戦出場により一歩近づく

去年は現3年のレギュラー陣の先輩達と対戦してリーグ戦落ちしたから、今度は絶対に勝つ。


勝負が始まる。互いのサービスゲームはキープして状況は2−2のタイから第5ゲームで俺がサービスゲームをブレイク

そこから勢いに乗って、決めたかったのだが、そこから更に激しさが増し、チャンスボールをスマッシュした所で勝負が決まった。結果は6−4で俺が勝利した。

互いに「ありがとうございました」と言って握手をしてコートを去る。

勝った瞬間、正直に言って一気に肩の力が抜けた。


「トーナメント出場おめでとう」

「有難うございます。諒先輩」


試合が終わってひと段落しようとした所に、一人の先輩が現れた。

俺は礼を言いながらもらったスポーツ飲料をそのまま飲む


「...お前、だいぶ強くなったな。入部当初は最弱だった癖に...」

「負けっぱなしは好きじゃ無いだけですよ...昔から」

「恋愛毎にはビックリするくらい臆病の癖にな」


ブッと吐き出しそうになった。

ってか、この人なんで俺の事情知ってるの


「...何の事でしょう」

「いや...お前、その態度で騙し通せるのは、一昔前のラノベ主人公くらいだぞ。」

「やっぱり、愛しの天宮さんの為か」

「...正直に言うとそれもあるかも知れないです。でも一番は俺は自分が惚れたものに力の限り挑みたいってだけです。」

「トーナメント戦は見たか。お前と当たる可能性があるのは2回戦。そこでもし俺に勝てば、お前は晴れてレギュラー内定だ...俺にとっては、最後のインターハイ。悔いの残らないような結果を残したい。...だから絶対に勝つ。」

「...俺は負けるつもりは微塵もないですからね。」


と言った後に隅っこでこっちを見ている氷川優希の方にあった。

こっちに気づいたのか、凄いオドオドしながらこっちの方を見ていた。


「あ...先輩...えっと...その...」

「あぁ、わざわざ応援に来てくれたのか。サンキューな」

「僕は...先輩が勝つって信じてますから」

「まぁ、全力でやるだけさ」


俺は優希の頭をポンと手を置いた

...パァとした顔でこちらの方を見る。

オドオドしたやつを見たお陰で、いい感じに緊張がほぐれた。

足を叩いて、体に喝を入れる。リーグ戦の1、2回戦は今日行なう予定だ。

ここで勝てば、レギュラー確定。いい感じで挑めそうだ。


トーナメント1回戦の対戦相手は俺と同じ初めて挑戦する。1年生の若林君

最初は緊張で体が強張っていたが、徐々に慣れて来たのか急に後半で一気に勝負を仕掛けて来たのだが、終盤で粘りを見せたが6−2で勝利。


そして2回戦は先程喋った諒先輩と対決。

諒先輩も新山君同様、全国区のプレイヤーでかなりの猛者

去年は何も出来ずに負けたが、今は違う。

初回気合の入ったサービスゲームを皮切りにいきなりサービスゲームをブレイクされたのだが、中盤で盛り返して、4−4で進む。


そこから、終盤戦一気にタイブレークに入って一球一球がかなり重くなる

こっちも意固地になりながらも食らいつく。ここで負けるために今迄頑張って来た訳じゃない

大体、今朝の事と比べたらこんなのピンチでも何でもないという気分にすらなった

終始劣勢に立たされた状態の中、俺のフラットショットがいいところに決まった。

そこで初めて優位に立ち、結果は7−6で諒先輩に勝った。

よって、初めて俺は令成学園レギュラーの座を奪い取ったのである。

勝った瞬間思わずガッツポーズまでしてしまった

正直一杯一杯な部分も沢山あったのだが、それでも勝てて良かったと思える試合だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(おめでとう御座います。先輩)

氷川優希は素直に勝った常盤礼治を祝福した

今日は、同じクラスの若林君にテニス部のインターハイメンバーの選抜試合があると聞かされ、応援に来て下さいと言われた。

とりあえず近くまできてどうしようか悩んでいると先輩が現れビックリしたが、どうやら聞こえて来た話によると先輩も初めてトーナメント戦に出たらしい。

それでも、本来気にすべきなのは何かに気づいたかのように気にしないでいてくれた。

先輩は昔からちっとも変わってない

いつもまっすぐな目で前を見ているその目が私は堪らなく好きなのだ

僕は今まで自分に自信が無かった

姉は力強く、僕よりも雄大な部分が沢山あった

でも、先輩は逆境をも力に変えて、勝利をもぎ取った

あんな姿を見たら...やっぱり、諦める事は出来ない

優希は決意を込める意味で小さく呟いた。

「先輩、大好きです」と







































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