FIle27 ブルーインパルス9
「へぇ、最初から当て馬のつもりだったのか?あいつは...」
「元から、彼奴は俺の家の執事さ。実力はあるが、元来の性格故かあぁいう事でしか上に行けない男なのさ。」
「ってことは例の約束ってのは、お前を倒さなきゃならないって事になるな」
「...聞いたのか。ならその通りだな。俺を倒さなきゃお前の目的は完遂できない。」
そう言って、俺と圭介は睨み合う。
正直、こういう形で戦うとは思わなかったが、勝たなくてちゃいけないのは同じ事
だったら、正々堂々と戦ってやる。
互いに拳銃を引き抜き、一気に勝負に出る。
互いに発砲をした弾丸は相手の心臓を狙うかの様に向かっていたが、互いにそれを見抜いていたかの様に避ける。
そして、それを引き金とするかの様に、一気に距離を取る。
距離を取りつつ思考を巡らせる。
...俺は圭介と今までまともな勝負をしたことがない。
何だかんだで彼奴が勝負事を流す性格をしていたからだ。
正直、恩はある。今まで俺の学校生活で彼奴に助けられることは多々あった。
大事な友達だったからこそ、もし困っているなら助けてあげたいと思っていた。
でも、今回は別だ。彼奴の目的が何なのかはよくわからない。
でも、やるべきことはたった一つ。
....絶対に勝つ。ただそれだけだ。
ここに至るまでにいろんな人達と協力してきた。
ライバルや友人...それに好きな人まで俺はいろんな人に支えてもらって今この場にいる。
だからこそ、勝たなくちゃいけない。
俺を信じてくれた麗奈や天宮の為に俺は自分に出来る事を精一杯やるだけだ
俺は身を隠しながら、次の手を考える。
(...思っていた以上に強くなっていた様だ。)
というのが俺海原圭介が常盤礼治という男に抱いている現在の印象だ
最初にあいつにあった頃は何とも頼りないというのが、第一印象だった。
そもそも俺自身この令成学園で友と呼べるものを作る気が無かった。
元々俺がこの学園に入った理由はたった一つ。
祖父に言われたからだ。
俺の祖父はいわゆる元政治家海原正剛という男だ。
なぜ祖父なのかというと、俺の両親は既にこの世を去ってしまったからだ
表向きの理由は交通事故となっているが、おそらく違うのだろう
その理由は恐らく、俺が私怨を起こさないよう祖父が配慮したからだろう。
本当の理由は両親の部下の中に裏切りがおり、そいつの復讐だと言われている。
祖父には感謝をしている。
しかし、祖父はそんな状況でも、信頼できる人物を作れという。
俺にはその意味が分からなかった。
両親が自分の身内に殺されたというのに、何故そんなものを作らなくてはならないのか理解できなかったからだ。
だから、私はこう解釈した。
祖父が言っているのは、利用できる人間を増やせという意味だと...
二人の勝負はまさに一進一退の攻防戦となっていた。
互いにアバターを殺害しようとする瞬間を狙って、攻撃を繰り返す。
確実に補給するタイミングを奪い合いから始まった。
そして、狙撃戦は互いに埒が明かないと考えた彼らはいかに接近するかを思案する。
然し、彼らの行動がそれを予測し、確実に先回りをしようと模索している。
(...多分、お互いに相手の行動の意思をなんとなく読めているのだろう)
少なからず、1年以上の付き合いだ。
相手の真意はわからないが、何をしようかくらいならなんとなくは理解している。
だから、迂闊に動けない。それが自殺行為であるということを理解しているからだ。
(...然し、礼治の性格は大体把握している。この場合は、おそらく...)
と思考を巡らせた瞬間に一気に接近戦を仕掛けてくる礼治
それを待ちかねていたかの様に狙撃する体制を取ろうとした瞬間に
突如彼の投げたものが一気に煙を発し、一気にこちらの視界を奪う
(...しまった。まさか奴らが拾っていたのは、煙玉だったとは...それにあれはあの女が持っていると思っていたが、まさか嶺二のやつが持っているとは...)
そして彼の姿を見失ったと思った瞬間、礼治は圭介への接近を許し、互いにナイフを取り合って、近接戦をする。
繰り出される斬撃に回避をする圭介
然し、それを避けられるのを見越したかの様に、蹴りを混ぜつつ互角の勝負を繰り広げていた。
「ハァ...ハァ...まさか、流石に諦めが悪い」
「....それはお互い様だっつうの、お前がここまで負けず嫌いだなんて思わなかったよ。」
本来ここ迄追い詰めるほど実力があるやつだとは思えなかった。
そもそも俺自身がここまで追い詰められるとは正直微塵も思っていなかった。
然し、現に俺をここまで追い詰めている。
...それは彼の努力の賜物なのか、それとも...
接近戦を繰り返し、互いのナイフで確実に急所を狙っていく。
然し、実力の差なのか、経験なのか確実に礼治は息を切らし、そして圭介の攻撃は確実にヒットしていった。
然し、圭介は油断を一切しなかった。
それは、彼の目が全く死んでいなかったからだ。
(...こいつはここから信じられない力を発揮する。)
それは直感だった。
現にこいつは追い込まれた時と追い込む前じゃまるで別人の様になる。
本人はそのことに全くと言って良いほど無自覚だが...
だからこそ、本当は追い込む前に決着をつけたかったが、こうなってからでは、もうすでに遅い。
少しでも早く決着をつけようと躍起になる圭介
然し、慌てた隙を礼治は見逃さなかった
その隙を一気について、一気に攻勢に回る礼治
それを狙っていたかの様にカウンターのナイフを見事に食らわせる圭介
その攻撃をまともに喰らいナイフが深々と刺さった。
倒れていく、礼治の姿を見て思わず、笑みが溢れる圭介
勝ちを確信した瞬間突如圭介の胸元に弾丸の跡がつく
それは礼治が持っていた拳銃によって発砲されたものだった。
「な...何で...」
「最初から、これを狙ってたのよ。お前勝ちを確信すると、すぐ調子乗るからな」
「ば...馬鹿な、お前は弾切れのはずじゃ...」
「この拳銃は麗奈に託されたものさ。」
「ま...まさか...あの時に...ち...ちくしょ」
と言いつつ倒れる圭介
然し、当然の様に礼治のダメージも深刻であり、そのまま同じ様なタイミングで勝敗が決した
二人の勝負は互いに引き分けという形で幕を閉じたのであった。




