FILE26 ブルーインパルス8
「いよいよ最後となりました」
とアナウンスが流れてくる
正直に言うと、緊張していないといえば嘘だろう
県大会の決勝を経験はしたが、いつまで経ってもこの決勝という舞台は緊張する
...まぁ俺の場合は一生慣れないとは思うが
それにしても流石に皆威風堂々な立ち振る舞いだ
俺より年下の麗奈ですら、堂に入っている
思う所はあるが、気にしない気にしない
「先輩、何緊張してんですか?らしくないですよ」
「...案外ばれるもん?」
「バレバレですよ。先輩案外分かりやすいから」
くすくすと笑う麗奈
俺は少し強がりながらもそっぽを向いた
しかし、不安げな目でこちらを見る
「やっぱり先輩の好きな人って天宮先輩だったんですね」
「知ってたのか?」
「理解はしてたんですけどね」
「どっちみち優勝したらの話だよ。全部」
「優勝しなかったら?」
「そりゃ今までの話はご破算だな。」
「へぇ」と小さな声でつぶやく麗奈
その言葉とともに即座に反応して返す
「なら、私も折角なので勝ちにいきます。」
「それは構わんが、今はちょっとコテンパンにしたいやつがいるんでね。」
と言って、来栖の方を見る。
来栖はこっちをチラリと見た後、まるで気に求めていない冷ややかな目でこっちを見る
成る程ね、天宮以外は有象無象と大して変わらないと
そのナメくさった態度屈辱に歪めてやる。
「何やらいろんな火花が散っているように、見えますが。今回のバトルロイヤルルールで戦うのは、こちらのサバイバルゲーム『Survive Snatch』です!!」
その時、出場者の頭に?が飛び交う
正直に言うと、戸惑ってる部分も沢山ある
ってか、此処まで来てなんでサバゲー?
「えぇ〜と、納得出来ていない方も沢山おられると思うので、簡単な説明から...今回のルールはこのVRヘッドフォンでこのゲームをして頂き、最後まで生き残れば勝ちです。」
まぁ、多分自社製品の開発のテストプレイみたいなものだろう
俺たちは実際につけてみて、プレイを始める。
目を開けてみると、いきなり空から降ってきたような感覚に陥った。
一瞬びびったが、視界が揺れて一瞬の浮遊感と共に無事に着地した。
...凄いな今のCGは
と驚きを隠しきれないでいると、目の前に現れたのは点滅しているカウントダウン
3.2.1.GO!!と言う合図と共に一気に動き出す人間が襲いかかり、それを回避いた先に現れたのは、圭介だった。
「喰らえ!!礼治」
「させるか!!」
と言う二人の掛け声と共に、互いの攻撃を避けた瞬間に背後のアバターを倒した。
アバターは、小さなポリゴンとなって、消滅し、礼治は接近しながら戦う
そもそも銃で撃ち合うって感覚が分からない俺にとって、この勝負は結構不利だ
なら、やるべきことはたった一つ
ナイフを使って、接近戦を仕掛ける
圭介はそのまま距離を取るように逃げた瞬間、背後からいきなり閃光が肩をかすった。
「ん〜まだ調整がうまく出来んな。」
「チッ。そう言う事か」
多分圭介の作戦は自分を囮にして、来栖をサポートするといったスタンスなのだろう。
現に俺の見える範囲で、拳銃を放ったのがそれを如実に表している
...これじゃあ、実質2対1だな。
一度体勢を立て直そうとした瞬間に、麗奈が来栖に接近して、一気に肩をつけようとする
が、俺を見越したかの様に、背後からの攻撃を捌き、そのまま蹴りを入れて、空間を作った。
それをみた瞬間に、こっちは来栖との距離を一気に縮めながら、飛び蹴りを当てた。
「中々、良い当て勘してるじゃないか。...けどまだまだ甘い」
「よく言うよ、つい今し方2対1をしてた奴が...」
圭介の方は、あまり慣れていないのか、邪魔をしない為か、先ほどまでやっていた、射撃を取りやめた。
どうやら、圭介の攻撃パターンは、深追いをしないと言うものだろう。
...普段のやつを見ている限り、余り考えにくい事だけど
「然し、君の命運も此処までだ。現にこの状況君の打てる手立てはあるのかな?」
「...だったら、一時撤退させて貰おうかな」
礼治がそう呟いた瞬間、来栖の背後にいた、麗奈が拳銃を連射した。
いち早く察した来栖は急いで体を捻る様に避け、致命傷を防いだ。
俺は予め撃つと知っていたので、麗奈のほうに身体を向けて、体制を立て直した瞬間
俺と来栖の拳銃の弾が交差し、頬をかすめた。
近くにあった、建物の外に身を隠しながら、麗奈と会話をする。
「まさか...既にあっちが手を組んでたなんて、思いもしませんでしたよ。」
「あぁ...憶測でしか言えないが、多分来栖のターゲットは俺ら二人。現に圭介の奴は、何考えてるか、分からんところがあるからな。」
「じゃあ、互いに2対1になるのもアホらしいので、手を組みましょう。そのかわりカッコイイとこ見して下さいよ。」
「お前...いつも妙なプレッシャー与えてくるな。」
ニシシと笑う麗奈。まぁ、この光景も彼女らしいちゃ彼女らしい。
俺はこの大会中にすっかり忘れていたことを改めて、伝えた。
「そういや、悪かったな。案内途中になっちゃって」
「別に構いませんよ。先輩の意外な一面を発見出来ましたし...」
「そうなのか?まぁお前が楽しめたのなら良いが。こっちは」
「...そのかわり、私が勝ったら、私の言うことを一つ聞いて下さい」
コイツ...さてはタイミングを狙っていたな。
微妙にソワソワしているコイツを横目に見ながら、俺は答えた。
「まぁ、構わねぇよ。こっちも色々とドタバタしてたしな。」
「約束ですよ。先輩」
といって、作戦を立案していく。
俺たちの手元にあるのは、拳銃とナイフ
これは最初に与えられる初期装備であり、拳銃やら装備はどうやら、あのアバターが持っているとの事
拳銃の弾や武器を新調する手段はアバターから奪う事
どうやら、さっきまでいたアバターが弾と拳銃を持っているらしく、そいつらから強奪しながら、武器を調整していくと言うゲームらしい。
随分と過激なゲームだなと思ったことは内緒だ。
「じゃあ、あの時に撃ったアバターから、強奪しとけば良かったのか」
「それなら、安心して下さい。私が既に回収したので」
「お前...こんな物をいつの間に」
「来栖ってやつに接近した時に落ちてたんで拾っただけです。」
とさらっと言ってきた
コイツ...ちゃっかりしてんなと感心しつつ、作戦を組み立てる。
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「自らリタイヤしに来たのかい?」
「そんな訳ないだろう。テメェを倒しに来たに決まっているだろう?」
俺は来栖と真っ向から向かい合った。
勝負は一瞬、あいつの言う事が確かなら....
互いに拳銃を取りつつ、一気に発砲する。
弾けた球を互いに避けて、一気に距離を取る。
その時、奴は閃光弾を投げつける。
...思った通り、奴も何かしら拾っていたのだろう
思わずみてしまい行動不能に陥ってしまい、しばらく動けなくなった隙をつく為に一気に距離を詰めた瞬間、
俺の背後からそこを狙い撃ちするかの様に発砲した麗奈の拳銃が火を噴いた
咄嗟のことだったのか、そのまま直撃した。
そして、怯んだその隙に一気に距離を縮めた瞬間、俺は距離を一気にとって、ナイフでそのまま突き刺した。
「馬鹿な。この俺がこんな陳腐な策に乗るなんて...」
「あぁ、個人的にはタイマンで決めたかったが、このままお前を倒させて貰うぜ。」
「いや、私の影武者としての仕事もここまでかと思ったのですがね...」
「...?何を言って」
と思った瞬間、来栖の真後ろから、直接弾丸が飛んできた。
俺はそれに気づくのが遅れたと直感した瞬間、麗奈が背後から俺を引っ張った事で事無きを得たのだが、
そのまま連射してきて、麗奈と来栖が蜂の巣状態になってしまう。
「お....お前...何で...?」
「体が勝手に動いちゃったんですよ。情けない話だけど...」
「そんな事より...絶対に優勝して下さいね。...先輩」
と言って、そのまま力つきる様に倒れた。
その背後に立っていたのは、海原圭介だった。
「来栖のサポートに徹するんじゃ無かったのか?」
「それはお前が勝手に勘違いしただけだろ?最初っからコイツが俺の手助けをするつもりだったんだよ。」
「やっぱり、あの時の言葉はそう言う意味だったのか...圭介」
「その通り、最初から俺が優勝する為に仕組んだ事さ。コイツの特技は物真似だからな。上手だったろ?コイツの演技」
淡々と喋る圭介
然し、その目は今まで俺がみた事もないドス黒い雰囲気を漂わせていた。
「さぁ、礼治。本気で戦ってやるよ。今からな」
圭介は消えゆく来栖の体の背後からそう呟いた




