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俺と後輩の珍道中  作者: 伊織
25/28

File25 ブルーインパルス7

「覆面Xってあんなのいつからいたんだ?」

「何時って...最初から居たじゃないですか?あの人」


麗奈はさも当然の様に答えた。

黒いヘルメットをした男が威風堂々と立っている

え....?嘘でしょ。あんな特徴的なの最初から居た?

よっぽど、俺ってまわりを見てなかったんだな。それとも、必死過ぎたか?

そして覆面Xはこっちをつらりと見た瞬間にすぐそっぽを向く


「しかし、あいつ一体何者なんだろうね?」

「さぁ?でも、あの人どっかで見たことある様な無いような感じなんだよね」

「まぁ、俺もそうは思っていたのだが...」


しかし、あいつに心当たりが全くと言っていいほど無い

...いや、まさかな。そんな訳はないだろう

少なくともこう言った大会に出場する気のない奴だった気がするからだ


「でも、大丈夫ですかね?相手の方。少なくとも、高山を倒した奴ですからね。」

「天宮だぞ?心配するだけ無駄だろ?」

「そうとも言えませんよ。あの来栖って男も令成学園の生徒でないだけで肩書きは十分な存在ですからね。」

「そうなのか?」


そう言ってもイマイチあいつが負ける姿ってのはイマイチ想像がつかない

本戦の1回戦で戦った彼らも実力的にもはるかに上だった。

そもそも勝てる確率自体薄かったのを突破している



「言っとくけど、あの話は私が勝ったら、白紙にさせて貰いますから」

「構いませんよ。但し私が優勝したら貴方は私と結婚して貰います。」


周りはドッと騒然となった。

....い、今こいつなんて言った?

結婚?天宮が?コイツと...?

成る程、なぜ来栖があいつに気をつけろと言った理由が今にしてようやく、理解した。

そして来栖の背後にいた覆面Xは物静かに威圧感を放つ。

そして、ギリッとした目で彼女が睨む

多分、彼女にも何か思うところがあるのだろうか


試合は来栖サイドからボールが手渡され、試合が始まる。

来栖は強烈なサーブを放った。先程の試合でも見せた強烈なサーブを華麗にあげる大宮

それを天宮が華麗にトスを上げようとして、警戒を見せたところで華麗にツーアタックを決めて、得点となった。

それ位に反応できずに得点を奪われる来栖


「相変わらず、人の顔色をよくみて、姑息な手を使いますね」

「あんたが分かり易すぎるだけよ?もっとポーカーフェイスを磨かないと」


互いに罵り合いながらも最初に流れを掴んだのは天宮達だった。

最初は天宮側が優勢だったが。逆転の狼煙のきっかけを作ったのは、やはり覆面Xの力だった。

覆面Xは、まるで、相手側の弱点を理解しているかの様にポイントを奪っていく。

それに呼応するかの様に来栖はエンジンを上げていき、そして8−8の終盤戦にもつれ込んだ


「一体何者なんだ?あの覆面?」

「案外...バレーの達人って可能性も捨て切れませんよ。」

「いや...そんな風には見えないんだが...」


後半に入っていくことで、互いに攻めのパターンを理解しているのかラリーが長引いていた。

覆面Xは大宮の方を狙って、得点を重ねた。


「やっぱり...あいつは」

「先輩?何か気づいたんですか?」

「いや...もしかしてと思ったが、あいつの正体がわかった気がする」


そして、天宮は諦めずに必死に食らいつく

その姿はまるで何かの執念の様なものを垣間見た様な気がした。

ここで、初めてマッチポイントとなったが、相手の方が少し上手だったのか、12−10で勝敗が決した

来栖はフフフと笑いながら、勝利を堪能していた

そして、完全に我が物顔で勝利を確信し切っているような目つきでいた

そして、真後ろにいた覆面Xに声をかけた


「よくやってくれました。あとはもう必要ない。好きなところで辞退してくれたまえ」

「仰せのままに、来栖坊っちゃま」


そして覆面X控え室の方へと向かっていった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


控え室に向かう小さな通路を俺は歩いていた時に天宮を見つけた

彼女はもう終わりを突きつけられた顔をしていた。

....こんな姿を見たのは随分と久しぶりのような気がする


「お疲れ様。あいつとは一体どういった関係だったんだ?」

「良くある、政略結婚の駒よ。私に断る権利もない、勝手なものよ。」


天宮は吐き捨てるように俺に向かっていった。

...俺はそれを静かに聞いていた。


「これは私にとって、最初で最後のチャンスだった。このブルーインパルスで優勝して、来栖との結婚の解消。しかし、私にはもうその手段を取る機会を失ってしまった。...だけど、それはうちの財産が目的。政略結婚だから、目的自体は間違ってないけど。でもどうしても勝ちたかった。」


多分、頭の中では、彼女も理解しているのだろう

だから、この勝負に賭けたが、結果は負け

...悔しいことは良くわかった。

涙を流した彼女を見て、俺はある決意を固めた。


「あいつ...言ってたよな。優勝したら、お前と結婚するって」

「えぇ...そうだけど?」

「だったら、俺が優勝して、それを阻止してやる。」

「気を遣わなくていいわよ。貴方の実力は私もよく知ってる。けど、あいつの実力は未知数。勝てるとは...」


多分、彼女は俺が気を使ってこんな事を言ってると思っているのだろう。

俺だって、実力差がわかっていない訳ではない

でも、それでも....


「勘違いすんな。俺だってあんな形で阻止できるなら、喜んでしてやるさ。」

「何で...?そこまでしてくれるの」

「簡単な話さ。お前のことが好きだから」


俺は堂々と天宮の前で告白した。

天宮は『へ?』とした瞬間即座に真っ赤になった。


「だから、一つだけ約束してくれるか?」

「何を?」

「あいつに勝ったら、俺と付き合ってくれ」


俺は天宮の目を見ながら、呟いた。

正直かなり恥ずかしい事をしていることは良くわかっている。ここは引くわけにはいかない。

天宮は赤面したまま、コクンと頷いた。

これでよし。と思いながら、俺は彼女と別れた。

...彼女に赤くなった顔を見せないように



しばらく歩いていると覆面Xを見つけたのながら、覆面Xにこう告げた


「お前、圭介だろう?」

「...さすがは礼治。よく俺だと分かったね」


覆面を外して、正体を現したのは、海原圭介だった。

どうにも懐かしい感じがしたのだ。


「お前、こういうのあんまり好きそうじゃなかったのになんで出場してんだ?」

「...なぁに、俺にも欲しいものがあってね。...まさか、お前まで出場するとは思わなかったが、」

「ふ〜ん、まぁそんな事はどうでもいいや。俺は一つ天宮に聞きたいことも聞けたし、十分だ。」

「言っとくけど、俺はあくまでも来栖の執事でね。お前に手を貸すことは出来ない。」


そりゃそうだろうな。そんな理由でもなきゃお前がこんなところに出る訳がないもんな。

決勝は1対1対1対1のバトルロイヤルという形で決着がつく。

どうせ、そこでサポートにでも回るつもりだろう


「心配しなくても、俺は決めたからな、来栖に勝つって」

「そうかい。陰ながら、応援してやるよ。」

「何言ってやがる。お前も本気出せよ」

「は?」


前から気にはなっていたのだ。あいつがのらりくらりとしているのが

だから...こう言った


「別に構わんだろ?本気を出すこと自体」

「そりゃそうかもしれないが...」

「だったら、そうしな。一回くらいガチでやりあおうぜ、折角だしな。」


と言って、俺は圭介と別れる。



こうして色々様々な思惑を乗せたブルーインパルスの結晶が今始まろうとしていた





















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