表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と後輩の珍道中  作者: 伊織
22/28

FIle 22ブルーインパルス4

「あら...私のことを甘く見ていますの?」

「勘違いしてるわよ。貴方」


天宮は俺の方をチラッと見て、そして姫柊の方を見て、呟く。


「私はこの場で最も信頼出来る人を選んだだけよ。」

「天宮さん。それだけで、私達に勝てる事を甘く見ていると言ってるのよ。」


姫柊はこっちに威嚇する様に見つめる。

天宮はそれをまるで気にしないかの様に見つめる


「それでは本戦の内容は2対2の勝負の内容はビーチバレーです。」

「ビーチバレー?」

「そう、あのビーチバレーです。季節的にはなんの問題も無いでしょう。」


まぁ確かに今は夏だから、特に問題はないが....


「場所はあるのか?そんな広い所」

「まぁ、時間的にはそんな取れないので、10点先取ですけど...」

「ahaha、まさに私達にとって幸運以外の何物でも無いわね。」


確かにあっちは、2M越えの男が一人いるし、運動神経もかなり良いだろう。

俺も人並み以上は動けるが、やはり競技の性質上、あっちの方が有利なのは否めないだろう。


「貴方達も可哀想ね。そんな好条件で負けたら、恥もいい所じゃない」

「憎まれ口もそこまでにしないと、後々が惨めになるだけよ。天宮」

「ご忠告どうも。でも私不思議な事に負ける気が全くしないのよ。」


天宮は自信満々に言い放つ。

天宮がこう言った風に相手を罵倒するところは見た事なかったのだが、なぜか妙な安心感がある

天宮はこっちに手でチョイチョイと呼び出す

そして小声で会議を始める


そして試合が始まる。

まずは俺がサーブを打つ

多分...サーブだけなら、狙いを打つ方向はなんとなくは分かる。

天宮に言われたとおりにある方向に狙う


「意外と真摯なところがあるじゃないか、益々良いね。君」


鋭いサーブが黒部の方に行ったが、彼にトスを上げられる。

やっぱりちょっと勝手が違うか。

そして、姫柊がトスを上げて、黒部が思いっきりアタックする。

豪腕から繰り出されたアタックは砂を巻き上げ、彼らの得点になる


いきなりピンチじゃないか。

しかし、天宮は冷静な顔つきで、彼らのことを見る。


そして相手側のサーブは黒部

俺は警戒心を高めながら、構える。


『フン』


と思いっきり、力を込めたパワーサーブが、遥か彼方に飛んで行った。その為こっちの得点になった。

危なかった。今のサーブがまともに入っていたら、唯じゃ済まなかったぜ。

ラッキーラッキー

そしてその光景を見た瞬間、『良し』と何かを理解したかの様にボールを持って、サーブをする。

ジャンプフローターで相手を撹乱し、姫柊と黒部の真ん中にボールが渡り、どっちも動こうとして、一旦動きが止まったところでこっちのサービスエースとなる。


「何やってんの?あんた。」

「あぁ!?そっちこそ何邪魔しようとしてんだ」


と軽い喧嘩をし始めた。

しかし、即座に冷静になり、次に集中する両者

どうやら...あの二人特別仲の良かった連中ではないということか


更に天宮はサーブを続ける

同じ様に両者の間を狙ったが、今度は姫柊が避けて黒部がトスをする

そして、姫柊が完璧なトスを上げて、相手側の得点となる。

一進一退の攻防が続き、取って取られを続けマッチポイントまで漕ぎ着けた瞬間ある事に気付いた。

コイツ....もしや

俺は再び、サーブを放った。


(....あの男、意外とやるではないか...)


黒部は素直に感心する様に相手を見ていた。

圧倒的に身体能力で遥か上をいく相手に必死に食らいついてくる。

その姿に素直に感動していたのだ。

彼はかなり身長が低く、その事に少々のコンプレックスがあった。

彼はバスケットが好きで堪らなかったのだが、身長差で負けると行ったケースが多々あり、悔しい思いをした。

しかし、彼は自分にできる事をやった。

ドリブルや、パスそしてシュート背丈をカバーするかの様にテクニックを磨いていった。

そして、転機が訪れたのは、中学3年の頃からである。

彼は身長痛で、最後の大会にあまり参加する事が出来なかったのだが、その最中に身長が20cm伸びたのである。

それは高校からも同様であり、彼の磨き上げたスキルは、やがて身を結び彼は名門校で選手となり、

そしてついに令成学園の選手を打ち破ったのである。


(...だからよく分かる。貴様はちゃんと段階を踏んで強くなったのだと。立場は違えど、決意は同じ!!だからこそ負けん。俺の全身全霊をもって貴様を葬る)


俺のいいところに決まったサーブをダイビングで取りつつ、姫柊はトスを上げる

それは綺麗に放物線を放ち、黒部の所に集まる。

それをアタックした瞬間に俺の思っていたことは確信へと変わる


それは...単純な話だった。

多分球技の性質上が原因だろう

バスケは、基本的にキーパーがいない為コースを狙うという意識があまりない

それはゴールが固定されているからだ

その為最初は2Mのインパクトに押され、そのままの勢いを利用しようしたのだろうが、彼には弱点があった

狙うコースに視線を釘付けにする癖があるそれも予め助走の段階から

別にそれは悪い事ではない、ただそれが露骨過ぎたのだ。

そして、彼をサポートする彼女もしっかりそれを認識していたのか、なるべく正確で、基本的にぶれない様にしていた。

その献身さが仇となる。


俺はコースを見切り、完璧にトスを上げる。

今まで、散々苦しめられたアタックを完璧に拾う事が出来た。


天宮はそれを知っていたのだろう。

多分喧嘩していた時に互いにすぐに怒りを引っ込めた瞬間何かあると踏んで行動をしていた。

二人は警戒心を高めながら、俺のアタックを返そうと、二人は後方へと下がる。

それを見越したのか、天宮はトスを上げる振りをしてツーアタックをした。

意表を突かれた彼らは、そのまま滑り込むが時すでに遅しとでもいうべきタイミングでポイントが入る。


これでマッチポイント。

勝負は9−8でこっちの有利ほんの一瞬でも気を抜けば、一気に持っていかれる状況で、俺はサーブを入れる。

変化をつけたサーブが入ったが、それを姫柊が完璧にトスをする


(...私は負けたくない)


姫柊は思う

天宮平良は今までずっと、負けっぱなしの相手だった。

彼女は全国模試から何から何まで、負け続けていた。

いくら、黒皇学院のトップに上り詰めても、結果は同じ。

彼女は多分私の存在を気にしてすらいないだろう

だからこそ、この大会に参加を決意した。

全ては彼女に私の存在を認めさせるために


そして、黒部がトスを上げて、姫柊がアタックを決めようとした瞬間天宮がブロックに入る

その時この空間の間だけ1対1となる。

すかさずストレートをクロスに変えようとしたところを完璧に決められ、勝負が決した。


「10−8で勝者天宮・常盤ペアの勝利です。」


歓声が上がり、俺はフゥと息を吐く。

然し、正直いうと、かなり強かった。


「負けたよ。君には...完敗さ。」

「そっちこそ、いい勝負を有難う」


俺と黒部は互いに握手をし、いきなりグッと引っ張られ、抱き着いてきた。

俺は一瞬戸惑ったが、即座に小声で忠告をしてきた。


「この大会にいる来栖って男には十分注意しろ。それと...彼女のことを後は頼む」


と言って、去っていた。

何かはよくわからんが、俺はその来栖って男を警戒する事にした。

それにしても、彼女って一体誰の事...と思った瞬間、泣き崩れている姫柊の姿が見えた。


あぁ、成る程めんどくさくなったのか単純に

ってか俺にどうしろというのだ。あの男

まぁ、ずっと泣かすわけにもいかないしと思ったところでそっと近づく


「悪いな。なんか勝っちゃって」

「別に負けた事も悔しいけど...やっと認めさせられると思ったのに...」

「何が...?」

「平良によ。あのこいつも私の一歩上を行く存在だからせめてこっちを見させるくらいに認めて欲しかったのに...」


成る程、彼女は彼女なりに思う事があったのだろう

考えてみれば、互いの両家も良い所のお嬢さんだし、彼女自身も良きライバルで居たいって思っていたのだろう

その気持ちはよく分かる。

俺だって彼女に見合う男になるために頑張って来たからな。


「そんな事は無い。あんたも十分俺から見たら立派だよ。」

「...そんなわけ無いじゃない。あんた私の計画に利用しただけよ。」

「でも、その割にはちゃんと助けてくれたじゃん。時間かかっても」


彼女と組んだ予選で思った。

多分、彼女は本来優しい性格なのだろう。

基本的に時間がかかっても少しでも楽な道でゴールさせたいってのは組んでいてよく分かった。

それに最後の意思を貫き通した時も気にせず送ってくれたし、俺の意思をちゃんと尊重していた。

もし本当に勝負に徹するだけなら強引に命令を下すだろう

でも、そう言う事をしなかったのは、俺の実力以前に危ない真似はさせたくないって気持ちもあったと俺は思ってる。


「だから、心配するな。ちゃんとあんたの気持ちも伝える気概がなくなったって言うなら心配するな。お前の気持ちも伝えてやるよ。」


今の俺にできることなんて、これくらいだろう。

そう言って、彼女と別れた。


姫柊はぽかんとした顔で彼を見つめていた。


(...変な男。嫌味どころかわざわざ励ましにくるなんて)


彼女はフゥと息を吐いて、彼の後ろ姿を見ながら、小さく呟いた。


「有難うね。常盤礼治くん」


彼女の心がほんの少しだけ和らぐのを感じた。




















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ