File17 合衆祭 裏側
「....いよいよ、この日が来たのね。」
「あぁ、絶対に譲る訳にはいかないだろう。今日こそ必ず奪い取って見せるぞ。」
「望むところよ。あの栄光を勝ち取るためならば、私は死さえも恐れない。」
各校の学園の生徒会長が集う。
本日、海浜高校で行われているのは県内の学園全てが集まって、開かれる若者たちの夏の祭典『合衆祭』の模擬店等の話し合いである。
その場に立つのは、我が学園の生徒会長天宮平良含め、それぞれの代表同士が並ぶ。
この光景はまさに小さな社会の縮図とも言える。
「皆様今日は遠路遥々お集まり頂き、感謝する。」
「海浜高校の瀬戸さん。こちらもより良いものにしていきたいという気持ちは同じです。」
「その気持ちはこちらも同じですわ。」
今回代表を務める高校は全部で5校の学校が集った。
毎年各学校から抽選で代表を選び、その代表達を中心に各学校がサポートに入るのである。
今回のテーマは友情や結束が主なテーマである。
この祭りは高校の威厳を賭けて行なう行事の一つでもあり、自校の文化祭よりも優先することであり、この場で後攻を決めるという生徒も数多くいると言われている。
瀬戸は話を続ける
「諸君。今年もいつもの目玉。ブルーインパルスは勿論我等も参戦することを決定している。」
「...それは他に出場する子達には不利に働くのでは無いのかね。」
「その点は先生方に任せているし、種目を考えるのは参加をしない諸先輩方だ。何の問題もない。あくまで平等に純粋な勝負で決する。それがブルーインパルスだからな。」
淡々と天宮が言う。
それに同意したかの様に、皆相槌を打つ。
そして、司会をおこなっている一人の男が手を上げて周りにいう。
「その心配は全くご無用。何故なら今回考えるのはこの私折宮源五郎の兄折宮士郎なのですから。」
「へぇ!!あの規律の番人と呼ばれた男の...なら問題は無いですね。実力も公平性も彼なら何も問題は無い。」
天宮は周りを見渡す
この『合衆祭』は確かに全国でも有名な大舞台の一つであり、様々な分野のトップが来ることでも有名である。
場所は県内で最も敷地面積が広いと言われる令成学園付近であり、そこでコネを作り
又は実力をアピールする事によって、将来をより優位に進めると言う目的も存在している。
だから、彼らも必死なのだろう。彼らもその辺を踏まえた上でこの舞台に立っているのだから...
この世界において何が大事かをちゃんと把握している連中だからだ
...おそらくあの子がこれを指定したのは、なんらかのアピールもついでにと言うのもあるのだろう。
「成る程...確かに彼はいい尻...ではなく、立派な人格者だ。それは信用出来るだろう。」
「相変わらず、下品なことを話すな。この野郎。」
「それは俺に言っているのかい?僻みをいうのはやめなさい。淑女が集うと言われる黒皇学院の名が泣きますよ。」
「アラアラ、わざわざ感謝しますわ。令成学園を崩して、全国行きを決めた鎧武学園バスケ部黒部さん。脳筋の名に恥じぬお活躍だこと」
「いい加減にして下さい。本来力をあわせるべき場で何はしたないことをしているのですか?」
天宮は先ほどの二人を諌める。
二人はその場に座り込む。
「...それでは続きをしましょう。今回は正に既に部活動の時点で波瀾万丈でしょうな。海浜高校含め」
「確か、令成学園のテニス部があの天才高山智率いる昨年の全国優勝校に勝ったとか...」
「そちらの鎧武学園のバスケ部もあの『高校界の覇者』と呼ばれた令成学園を倒したというではないですか。」
「お世辞と世渡りが相変わらずお上手だこと。葉柱商業の斎藤賢吾さん?」
「いえいえ。黒皇の姫柊さんには到底及びませんよ。」
バチバチと火花を散らす両者。
もう既に臨戦大戦が始まっていると言っても過言とは言えないのである。
天宮は両者を睨みつける様に黙らせる。
「いい加減にしろよ!!テメェら!!黙ることすら出来ねぇカスどもか!?アァン」
「お前が切れてどうすんだよ...瀬戸」
「ハッ!!失礼...でも皆さん。夜の海にダイブする勇気があるのなら話は別でしょうが、そんなことをする輩はいないと信じておりますよ。」
((((...まだ微妙に怒ってるな。コイツ))))
4人はそのまま、何もしませんよというアピールし、司会が話を続ける。
話は当日の進行の仕方などを進めていき、そして、最後の議題へと話がついた。
「しかし...今年のブルーインパルスも荒れそうだな。景品がこれだと...どいつもコイツも目が血走るのではないのか...」
「だから、良いんじゃねぇか。勝負は本気の奴とやってこそ!!命が輝くってものよ。」
「そこの男の案には悔しながらも賛成ですわ。勝負において勝敗は必然。寧ろ荒れる理由のオンパレードなら全力を尽くすのが筋ってものです。」
「上等だよ。絶対に負けないからね。皆さん」
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天宮は海浜高校を出て、車に乗って思案する。
恐らく、あの景品を用意すること自体は可能だ。
それだけの財力と権力を彼らは充分に持っている
だからこそ、今回の勝負は私達だけではなく、数多くの人が狙うだろう
あくまで、平等なのは勝負のルール自体であって、それ以外は何でもありなのだからだ。
....しかし、私にも負けられない理由がある。
あの子。氷川麗奈だったか。彼女は間違いなく、彼を狙っている。しかも彼の寮にまで潜り込んだというでは無いか。
破廉恥にも程がある。そういうのは、結婚してからするべきものであって、若い身の彼らがすべき事ではないのだ
彼女のせいでちゃんとお祝いも出来なかった。...出来る立場でも無いのだが
これはチャンスの一環でもある。私の願いはただ一つ。
『私の運命の人と添い遂げる事』
自分でも随分と随分とメルヘンな事を思っているし、現に居ないとさえ思っていた。
でも、私の近くにその人がいる。
なら、私はそれを全力で掴みに行きたい。
それがこの私、天宮平良の生きた証となるのだ。
そのためにできることは全て行う。絶対油断も慢心もしない。
これまで通り、全てが敵になる。
今回のテーマなんてあってない様なものだ。
天宮は天に輝く星を見つめながら、勝負の日を目指す。
そして他のものも動き出す。各々のプライドかけた勝負まで、残りの日数は少ないと言えるだろう




