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俺と後輩の珍道中  作者: 伊織
12/28

File12 怪しき視線の正体

「先〜輩♪おっ〜はようございま〜す」

「おし。そんじゃあ行くか」


あれから、強引に押し切られる形で俺は氷川麗奈と登校する事になった。

昨日の夜に怪しい奴の気配がしてもしやと思ったが、杞憂に終わってよかった気がする。

ってか、こいつ結構無防備だよな。弟があんなだから、自分はあまり気にならなかったってタイプかな?

まぁ、正直言うと、弟の方がキャラ的には立ってたりしているから、そこはなんとも言えない感じがする。


「...勝手に優希と比べないでくれますか」

「お前、なんでそんなエスパーみたいな事出来るん?」

「よく優希と差別されることが多いんですよ。まったく先輩は別かな〜と思ったのに」

「悪いな。...ただ...」


と会話をしていた瞬間に、誰かに見られているような嫌な視線を感じた。

やっぱり誰か見ているな。辺りをさり気なく見渡しながら、警戒心を高める

来るなら、来い。状況と場合によっては、拘束してやる。


「悪いな。ちょっとトイレ行ってくるから、先に学校に行っててくれないか?」

「...別に構いませんが」


と行った瞬間に俺は彼女を一人で送り出す。

俺は近くのトイレに行くふりをして、トイレの裏に回る。

そして、好機と見たのか一気に麗奈に近づこうとした瞬間に背後に回って取り押さえた。


「捕まえた。...お前、彼女に一体何の用だ?」

「えぇい、離せ。貴様僕のこと一体誰だと思ってやがる。」

「ただのストーカー」

「違う!!僕は彼女に好意を持つ一人の少年だ。」


上手い事言ったみたいな顔をしている男。

ってか、こいつ相当のアホだな。間違いない


「じゃあ、なんでこんな事した?」

「...だって、こうでもしなきゃ近づけないと思ったから」

「ふざけるな。テメェのやってる事は本人だけの自己満足なんだよ。それであの娘が傷ついてもみろ。俺はお前を絶対に許さないからな」

「じゃあ、お前は何なんだよ。あの子の彼氏か?」

「あの子の先輩だよ。俺は、それ以下でもそれ以上でも無い」

「えぇい、離せ。僕は優希ちゃんとお話しするんだ。絶対にそうすると決めたんだ」


この野郎。随分と強情なやつだな

ん?優希?今こいつ優希といったよな。って事はまさか...

俺はここであることに気づいた。

ストーカーはこちらを見ながら言った


「...何で、お前そんな哀れな目で見てるんだよ」

「い...嫌、随分間抜けなストーカーだなーと思って」

「歯にオブラートを着せる事すら出来ないのか貴様は...ってなんの事だよ。」

「...お前、自分の立場を考えてから物を言えよ。一応、教えておくと。あれは優希じゃ無い。しかも優希は男だ。二度と間違えてやるな。本人が悲しむ」


ストーカーはショックのあまり立ち直れず、そのまま膝を落とし、うな垂れるようにその場に座り込んだ

しかし、随分と悲しい話だったな。まぁ自業自得な部分もあるだろう。これを機に反省すればいいさ

さてと...今から走ってギリギリかな。やるだけやってみるしか無いか

そう思い立って、俺は走っていった。


ーーーーーーーーーーー


結局結果はギリギリセーフ

マジで良かった。いや、本当に

あれだけ啖呵を切ったんだ。負けないように練習しなくては...

そう思っていた時に、なぜか周りがそわそわしていることに気付いた。

俺は、金次郎に話を聞こうとして近づいた。


「いや、なんか変な男がいきなり、勝負をしに来たと言い張ってきてな。対応に困ってんだよ。」

「はぁ、そんなの追い返せば良い話じゃないか」


と素直に思った。

偵察にしては随分おふざけが過ぎる

そんなの簡単に渡す訳にはいかないじゃないか


「まぁ、本来はな。でも今回の相手の両親がこの学園の出資者らしくてな。人間関係的にめんどくさいらしい」

「何だそりゃ。ところで部長は?」

「今は留守にしてる。何でも急に先生に呼ばれたらしくてな。...それで副部長が相手にしてるんだが...」

「手こずっていると。めんどくさいなぁ」


そう思って、俺はどんな奴が相手なのかと思った瞬間正直にいうと「うっ」と思わず言ってしまった。

って言うか、何でこう面倒なことというのは、次から次へと起こるのかと頭を抱えたくなった。


「だ・か・らなんども言ってるだろう。俺はここにいるある生徒と一騎打ちをしに来たと」

「今は大会が近いのです。そんな簡単においそれと対外試合を認めるわけにはいかないのです。」

「別に良いじゃねぇか。こいつと戦わせてボコボコにさせたいだけだからよ」


と言って後ろの大男を指差しながら言った。


「すみません。副部長多分そいつは俺の相手です。」

「常盤...どういう意味だ。」

「いや...なんと言いますか?」

「こいつが嘘をついたから、俺は仕返しとして、こいつの得意なことでボコボコにしてやろうとこいつを連れてきたのさ。このビリー君をね」


嘘って思っていたのか。真実なのに...

そして今まで沈黙を貫いていた男が急に喋り出した。


「コンドウサン。コイツデスカ。タイセンアイテ?」

「あぁ、そうだ。お前がテニスでコテンパンにするのはコイツだ。」

「ハジメマシテ。ボク、ビリー・コミューン。ヨロシクデス」


と言って握手をしてきた。なんか、隣のやつと違って、好印象なやつだな。


「ビリー。そんなやつと握手する必要はねぇ。今からコイツを潰すのが目的なんだからな。」

「お前が潰すんじゃないのかよ。」

「うるさい。ビリーは母国では、テニスの名門校でエリートさ。ちょうど僕たちの高校に語学留学としてきてるし、僕の親戚でもある。テメェなんかにゃ負けねぇんだよ。」


コイツ、俺に仕返しするのにテメェ自身でこないってところがゲスいな

気にしても仕方はないが、素直に腹がたつ。


「そもそもテメェ、さっきまで俺と近くにいたのに、なんで先回りしてるんだよ。」

「あれは僕じゃない。僕の弟だ。弟が貴様に泣かされたと聞いてな。いてもたってもいられずこうして相手してきたというのに...」

「うちの弟って、そもそも何者だよ。アンタら」

「僕らは、霊帝学園の近藤武というものだ。」


霊帝学園って、あいつのいる高校じゃねぇか。随分と因縁付けられてんな。俺ら。


「さぁ、ビリーボコボコにしてやれ」

「ヤダ」

「へ?」


...って断るんかい。

正直拍子抜けしてしまった。


「おい、なんで断る必要がある。」

「キンヨウ、シアイアル。」

「あるなぁ」

「ソコデ、ケッチャク。イイアイデア」

「でも、確実にコイツらが勝ち上がるとは限らないんだぞ。

「ダイジョブ。チーム、ツヨイ。ダカラ、マケナイ」

「...まぁ、大舞台でってのも魅力的か。よし、お前ら、そこまで死んでもこい。そして貴様、必ず決勝まで登ってこい。コイツがテメェの相手だ。」


コイツが対戦相手になるのか?

っていうか、近藤ってのも、俺の対戦相手になる可能性もあるんじゃないのか?


「何の用だ。近藤」

「水上ィ〜貴様俺のことを忘れたとは言わせんぞ。」


知り合いなのか。しかもコイツら

この絡み方。成る程どうやら似た者兄弟だった訳だ


「フン、どうせ貴様のことだ。コテンパンにでもするつもりだったのだろう。」

「覚悟しろよ。金曜の試合では、絶対にシングルス1のお前を潰す」


そう言って、二人は去っていった。まるで嵐の様に。
















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